リクルーター制度、どう立ち上げる?
採用活動に欠かせない存在のリクルーター。
しかし、リクルーターの多くは人事部の涙ぐましい働きかけと、現場社員の貢献意欲に支えられており、なかなか仕組み化できていない会社も多いのではないでしょうか。
制度としてしっかり体系化し、適切に運用するために、どう立ち上げると良いのでしょうか?
リクルーター制度を成功させる第一歩:キーパーソンとの握り
リクルーター制度を導入するために最も重要なのは、キーパーソンとの握りです。なぜなら、現場との調整が甘いままだと、思わぬ反発を受けてしまい、制度が計画通りに運用できない可能性があるからです。
多くのケースでは、リクルーターの役割は人事部以外の若手社員が担当します。若手社員もかつて同じ悩みを持った学生に向き合いたいと思い、熱心に取り組んでくれることが期待できます。
しかし、現場のマネジメント層からすれば、リクルーター業務よりも本業を優先してほしいと思うでしょう。特に、リクルーター業務によって本業に支障をきたす場合、マネジメント自身の責任問題にもつながります。何より、本業も忙しい中で、若手社員に無理をさせたくないという気持ちもあります。
こうした問題を未然に防ぐためには、会社全体で、リクルーター制度の重要性に対して共通認識を持つことが大切です。具体的には、人事部だけでなく、企業トップや各現場のマネジメント層との合意形成を取ることが重要です。
採用の優先度の高める背景をしっかり伝えた上で、リクルーター活動と本業のバランスを適切に保つためのルール作り、業務の優先順位付けなどを明確にすることが鍵なのです。
採用戦略は立てられてる?:少ないリソースをどう投下するか
リクルーター制度をリリースする前に、しばしば見落とされる重要なステップが「採用戦略」を立てることです。
やみくもに候補者に対してリクルーターをアタックさせても、投下したリソースに見合ったリターンは期待できないかもしれません。したがって、制度を立てる前に意識しておきたいのは「採用市場で勝つためには、リクルーター活動において、どこにリソースを注力するのか」という点です。
たとえば、新卒採用向けのリクルーター制度であれば、限られたリクルーターをどの学校に向かってもらうかが重要になります。その際、事前に言語化された人材要件に沿って、採用したい人材が集まりそうな学校を選び、リクルーターを派遣します。そのなかで、採用上の競合とバッティングする可能性もあるため、こうした戦いをどう勝つのかを練り上げるのが勝負の分かれ目でしょう。
制度立ち上げと同時に必要な「選抜」と「育成」:誰をどう育てるか?
社内の巻き込みや戦略立案に加え、忘れてはならない重要な視点があります。それは、「リクルーターの選抜と育成」です。
学生から見ると「リクルーター=企業」のイメージが強くなるため、適切なリクルーターの選抜が重要です。全てに当てはまるわけではありませんが、一般的には、学生が親近感を持つことができる若手で、かつ優秀な人材をリクルーターとして選ぶことが、成功につながります。
さらに、リクルーターとして選ばれた人材には、一定レベルのコミュニケーションスキルが求められます。
選ぶだけ選んで「あとはよしなに」にならず、リクルーターとして期待されるコミュニケーションや関わり方を伝えることが重要です。たとえば、候補者に対する接し方やリクルーターとしての判断にばらつきが出ないように、手を抜かずに取り組むことが成功の鍵を握ると言えます。
リクルーター制度の構築:制度に盛り込むべき要素とは?
ここまで来て、ようやくリクルーター制度の構築に取り組む段階になります。実際には、これらの要素を同時並行で進めることが多いですが、理想的には、社内の合意形成が完了し、採用戦略が明確になり、リクルーターの人材も確保できる見込みが立った上で、制度設計に入ることが望ましいです。
では、リクルーター制度にはどのような要素を含めるべきでしょうか。
まず、「制度の目的」を明確にします。「優秀な人材に早期に接触する」「選考中・内定後の候補者のモチベーションを高める」など、同じリクルーター制度でも目的によって内容は異なります。制度を立ち上げる目的を明確にすることが重要です。
次に、「リクルーターと人事の役割分担」を明確にします。採用プロセスにおいて、リクルーターがどこまで担当し、人事がどこから対応するのかを明確にすることが重要です。例えば、リクルーターには企業の魅力を伝えることに集中してもらい、選考は人事が担当するといった具体的な役割分担が必要です。
また、「リクルーターが担当する仕事内容」も明文化します。例えば、「どのような候補者に接触してほしいのか」「それはどのような場で、どのような手段で行うのか」「避けてほしい行動(禁止事項)」などを明記します。採用会食などをアプローチ手段として許可する場合、その費用の上限や経費精算方法も案内します。
さらに、選考に進む際の「プロセス」や「判断基準」も示します。選考プロセスや判断基準を明確にすることで、現場で自律的に判断してもらうことが可能になります。
その他、企業によっては、「リクルーターとしての心構え」「具体的なコミュニケーションの流れ」「人事評価への反映」なども制度に盛り込むことがあります。これらの要素を考慮に入れ、戦略的かつ効果的なリクルーター制度を設立することで、組織は優秀な人材を確保し、競争力を維持することができます。
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