マガジンのカバー画像

小川志津子の文。

91
20年来取り組んだライター職を離れた派遣社員が、日ごろ見聞きし感じたことを記す随筆マガジン。
運営しているクリエイター

2020年1月の記事一覧

ひとり旅の空の下。

ひとり旅の空の下。

どうやら私は今、台湾に行きたいらしい。

YouTubeがそれを教えてくれた。よく観るメイク動画や、バカリズムや東京03のライブ動画に混じって、このところ、台湾の旅動画(「VLOG」というらしい)が流れてくるようになった。流れてきたら、観る。そうすると、また違う旅動画が流れてくる。また観る。だんだん、流れてくる動画に統一感が見え始めた。

だいたいが、「屋台グルメ旅」である。「胡椒餅」とか「麺線」

もっとみる
人生の操縦桿は自分の手に。

人生の操縦桿は自分の手に。

占いのたぐいは、あまり信じていない。なにか物事が起きたとして、それが「良きこと」なのか「悪きこと」なのかは、受け取り手次第だと思っているからだ。本人の調子がよければ「良きこと」になるだろうし、悪ければ「悪きこと」になるだろう。とんだ災難が起きたとしても、そこにあるのは「災難」ではなく、それらを「災難だ」と思っている自分だ。

それでもやっぱり、「大吉」のおみくじを引くと、うれしい。

「しいたけ占

もっとみる
「大変申し訳」の大洪水。

「大変申し訳」の大洪水。

週4回、コールセンターで、電話を取っている。

たいていは、お客さまから質問の電話がかかってきて、それに答えるわけだが、たまに即答できない内容がある。そういうときは一度電話を切って、調べて、回答が用意できたら、こちらから電話をかけなおす。

その先輩オペレーターは大ベテランだ。彼の手にかかれば、ゴネ気味のお客さまとの対話もすんなりと終わる。そんな彼が、こちらから電話をかけるときのことである。相手が

もっとみる
ユメのない人生、ばんざい。

ユメのない人生、ばんざい。

こんなにも全面的に正論扱いされている、つまり誰も信じて疑わないフレーズって、ほかにないんじゃないかと思う。

「夢を持って生きよう♪」
「何かひとつ、好きなことをみつけなさい♪」

すべての人が、幼い頃から、いろんな局面で、これを言われたおして生きていると思う。最初の洗礼は「おおきくなったら何になりたい?」だ。すべてのコドモがかならず、かなっっっっらず聞かれる質問。

幼かった私には、その答えがさ

もっとみる
なんか、こわかった。

なんか、こわかった。

小さいころ、「ヘレン・ケラー」が猛烈に怖かった。

なんだろう、字面が怖いのだ。国語辞典を引いていて、「へ」の項なんかを開くと、かすかに、どきどきしてくる。注意深く「ヘレン・ケラー」のページを避けながら、そーっと、そーーーっとページをめくる。でも、ふとした拍子にそのワードに行き当たっちゃおうもんなら、一瞬で心臓が凍る。あわてて目をつむる。でも、「ヘレン・ケラー」の残像がまぶたに残っている。ああ、今

もっとみる
初日の入りを、撮りました。

初日の入りを、撮りました。

だって、初日の出なんて、起きられるわけがないんだもの。

私が小さかった頃は、たぶんこういう「縁起もの」とか「季節ごと」とかを、周りの親や大人たちが大切にしていてくれたんだろうと思う。私たちの中に残っている「年末感」とか「正月感」とかは、その頃にはぐくまれたものたちなんだろうと思う。大人たちが「めんどくさいからやーめた!」ってなったら、すぐにでも、年末年始は普通の1日になるだろう。

ちなみに我が

もっとみる