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ほぼ毎日エッセイ

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ほぼ毎日(と言いながら4日に1回)書いているエッセイです。ふと考えたことを勢いで書く。1000文字未満を努力する。
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2021年2月の記事一覧

ほぼ毎日エッセイDay8「深夜ラジオの親切なDJ」

ほぼ毎日エッセイDay8「深夜ラジオの親切なDJ」

「最近、怒りって感情湧かないんだよね。そう言えば涙を流した覚えも、本気で笑った手応えも感じないや」と友人は言った。「あぁ今が楽しくないってことじゃないよ、悪しからず」と断る。ホールケーキに縦横無尽にフォークを刺していき、人数分に切り分けていきながら彼女はそう言ったのだった。スーパーモデルのキャットウォークみたいにスタイリッシュな切り分け方だった。僕は僕で、右手の感情線を左指でなぞっていた。

それ

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ほぼ毎日エッセイDay7「健康で文化的な生活」

ほぼ毎日エッセイDay7「健康で文化的な生活」

健康で文化的な生活を送ろうと決めた休日は、意外にも他人の存在を欠くことによって時に空虚な気持ちになることもある。

仕事が体に染みついているのかわからないが、早朝6時に起床する。いやにスッキリ目覚めているものの、テレビの前にヨガマットを敷き、画面の中のインストラクターに従って朝のストレッチを行う。普段はこんなことしない。健康で文化的な生活を営もうと昨夜決めたからだ。

1つのフライパンで鮭の切り身

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ほぼ毎日エッセイDay6「マスクガニの道」

いつもよりも入念に歯磨きをしようと鏡の前で仁王立ちになった。1本1本手に取りながら磨くことが出来たのならいくらか楽なのに。それは靴磨きを小さいスケールでするようなもんだろうか、僕はふと思った。

親知らずが2本、上の奥に生えている。早めに抜き取らないと虫歯になる可能性もある。歯ブラシの構造上、そこを磨き上げるのは至難の業なのだそうだ。
前に親知らずを2本同時に抜こうとした時は「そんなの、人間として

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ほぼ毎日エッセイDay5「二十億光年の孤独」

実存的な不安を常日頃から抱えるには、私は年を取りすぎた。眠り、起き、そして働き、壁のカレンダーの赤い日付と、足元の掃除ロボットの仕事ぶりを眺めているその間で、我々はようやく手持ちぶさたに不安を抱える。

「1年後は何をしているんだろう」
「1年前はこんなことになるなんて思ってもみなかった」

火星に探査機が降り立ったニュースが流れる。開かれた広大な砂漠に生命体の痕跡がないかと人類の期待を背負った探

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ほぼ毎日エッセイDay4「動物について時々思うこと」

大学の講義で家畜の屠殺の映像を見たことがある。
「かなりショッキングだから見たくない人は顔を伏せていなさい」と言いながら、講師は動画を再生した。

こめかみをハンマーで叩き、脳しんとうを起こさせ、首を掻っ切って放血する。ストレスのない死を与えて、肉が不味くならないようにする。彼らは死んだことにも気づかない。
「あぁ、わたし怖いもの見たさで間違って見ちゃったよ。あんた、よくあんなの見た後に牛丼食える

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ほぼ毎日エッセイDay3「心配しているんだね」

何か恐怖症をひとつ持っておくことで、弱点のある未完成な人間であろうとしていた時期があった。弱さを人に見せることで、相手の庇護欲を駆り立てることができると思っていた。

例えばエレベーター。
「きっと閉所恐怖症なんだ」と階数掲示板をじっと見つめ、ぼそりと呟く。眉間に皺を寄せ、深呼吸をし、いかにも苦難に耐えているさまを演じる。簡単に同情を得られると思っている。

だが実際には、相手は大抵何も言わない。

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ほぼ毎日エッセイDay2「メロンと猫と枕」

メロンを見ていると時々不安になる。触れた瞬間、張り巡らされたシワに手首を絡み取られそうな気がしてしまう。そんなことが恐怖の対象になりうるということをぜひ覚えておいてほしい。

そのような恐れのせいで、人生で数えるほどしかメロンを食したことのない僕は、メロンパンを齧り、メロンジュースをドリンクバーからプラスチックコップへ吐き出させることで、世の中のメロンの全てを知った気でいる。

「人生を損している

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ほぼ毎日エッセイDay1「読書のすゝめ」

電気ポッドのお湯が湧けるのを、シンク台に寄り掛かりながら待った。マグカップにはインスタントコーヒーの粉と砂糖が1:1の割合で積もっている。背伸びしてブラックを飲み続けてきたが、結局のところ甘いコーヒーが私の好むところだ。

頭のスッキリした状態にはならないから、砂糖はいらないのではないかと言う者もいるかもしれない。ブラックこそ脳内を覚醒させる、と。だが文字情報から場面や情景を脳内に映像として再現す

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