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Google版マインドフルネス(SIY)の概要と目的。『サーチ・インサイド・ユアセルフ』チャディー・メン・タン (著)

本記事は、Google版マインドフルネス(SIY)の説明本『サーチ・インサイド・ユアセルフ』を紹介します。本書は、世界的に注目される「マインドフルネス」の基礎的な実践方法から、それを応用・発展したビジネスマンの能力開発、世界平和にまで話が及びます。

著者は、チャディー・メン・タン。元Googleフェローであり、マインドフルネスをベースにした情動的知能を高める研修プログラム「SIY」を開発。Google社内研修から他の企業・組織にも導入され、その内容を伝えた本書は米国でベストセラーとなり、世界で翻訳・出版されています。

<本書の概要>
・マインドフルネスの実践方法(瞑想の基礎から、実生活への応用まで)
・米国で市民権を得ていたEQにくっつけて、マインドフルネスを啓蒙した
・アンガーマネジメント、ジャーナリング、傾聴
・オキシトシンと社会脳で、社員全員を全体最適志向にさせる
・EQはいいぞ、EQは


Google版マインドフルネス(SIY)は、2007年以来グーグルで教えられており、次の3ステップからなります。

<SIYの3ステップ>
①注意力のトレーニング(基礎力UP、穏やか&明瞭な心へ)
②自己認識と自制(客観観察→自制可能な深い自己認識)
③役に立つ心の習慣の創出(固定せず変化し続け、全体最適志向で全体outputをup)


そして、SIYは米国で市民権を得ていたEQと結びつけることで、一気に普及を図りました。EQの恩恵は、以下とされます。

<EQの恩恵>
①優れた職務遂行能力
②抜群のリーダーシップ
③幸せのお膳立てをする能力


Googleは何故、このような社員研修プログラムを作ったのか。単純なストレス解消手法にとどまらず、人間性にまで関わる社員研修プログラムを作る必要が何故あったのか。筆者(私)が推測した、Google版マインドフルネス(SIY)の目的は、社員全員が創造性を発揮できる脳力・環境を整備し、社員と会社を全体最適志向に作りかえる事です。


<SIYによる、行動・思考の変化(筆者推測)>
マインドフルネス実践
→注意力UP
→観察力UP
→メタ認知力UP
→オキシトシンと社会脳を刺激して、脳の集団プレー機能を活性化
→個人プレー志向から全体最適志向に転換させる
→楽天的になり、脳の発想が広がり、イノベーションを起こし易くなる
→会社が儲かる
→マインドフルネスが人類全体に広がり、人類平和になる


人間の脳は、強いストレス下ではコルチゾールというホルモンが分泌され、考え方の視野が狭いネガティブ脳になるように出来ています。
原始時代に、大型動物と相対していた時の生き残り戦略が、遺伝子が温存されている為です。

また、人間の脳は、利他行動をする行為自体に喜ぶ機能があります。感謝されずとも、役に立っていると実感するだけで、脳内で快楽ホルモン「ドーパミン」が分泌されます。この仕組みがある事で、人々は協力し合い、文明を築くことが出来ました。更に、母子の愛情ホルモンとして有名なオキシトシンは、上司部下などの関係でも発生し得ます。これらホルモンの対象を、会社や社員全体にする事が出来たら、社員の行動はどうなるでしょうか?


Googleに代表される米国GAFAMは、従来存在しなかったビジネスモデルを急速立ち上げして、世界のデファクトスタンダードを一気に取りに行く経営スタイルです。社員たちが、視野の狭いネガティブ脳をして創造力貧困な状態になり、個人成果ばかりを追求していると、このような経営スタイルは成り立ち得ません。ならば、社員全員をポジティブ脳にして、皆で協力し合える文化に作りかえてしまえ。多分、こんなところです(私自身の、個人的な推測です)


日本でもSIYがメジャーになり、ストレス解消だけでなく、人々がポジティブ脳になり、思うままに行動するようになると、どのような事が起きるでしょうね?

筆者自身は、日本人の多くに、そうなって欲しいと思ってます。



<参考>
本書はボリュームが膨大なため、一部に絞ってマンガで簡単解説した本もあります。興味ある方は、マンガ版をご覧ください



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