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映画「七人の侍」が想像以上だった話。

※お話のネタバレはしてないつもりです。

黒澤明監督と言えば、世界でも有名な日本を代表する映画監督です。
「スター・ウォーズ」などで知られる、ジョージ・ルーカス監督が黒澤監督のファンで影響を受けているというのも、有名な話。


私も黒澤作品をいくつか観ていたのですが、
先日、ふと思い立って名作と名高い「七人の侍」を観ることにしたのです。


その結果……


なんだぁこりゃあああ!!!


という衝撃を受けました。


そしてめちゃくちゃ感銘を受け、
「これは名作だわ!!」と今更納得し、
「そりゃあ『荒野の七人』も出来るわ!」と納得し、
こうやってnoteに向かっています。(笑)


名作だって分かって観ても名作だって思えるってすごくないですか!?

(どんだけ名作名作言ってるんだ私)




あんまりネタバレして語るのが好きじゃないので、
今回はネタバレしない程度にすごいところを3つ書いてみようと思います。


【1】面白くなるシナリオ構成を使わず面白い

最近の映画やゲーム本など、色々なエンタメ作品が「ハリウッドメソッド」とか「三幕構成」と呼ばれる、いろいろな研究から導き出された、わかりやすくて共感の得やすい、つまり「面白くなりやすいシナリオ構成」で作られています。

例えば90分の映画なら、
スタートから30分以内に、誰がどこで何をする映画なのかをわかるようにお話を作る、とか。
お話の中に必ず主人公の葛藤するシーンを作って、1番のピンチを○分のあたりに作る、みたいなテンプレートのようなものがあるんですよね。

でもそのメソッドが確立されたのは1970年代後半。
「七人の侍」は1954年公開なので、そういうメソッドが確立する前の作品。それもあってか、そういう形式にはあまり沿っていないように見えます。

それでも圧倒的な物語と映像で人の心を動かします。

たしかに、今の映画より長尺で、面白いシーンやストーリーがたくさん詰まっているのも要因だと思うのです。

ただ、それを今ほどネットで簡単にメソッドやらなんやらが出てこない時代にやるのって、それだけやっぱりすごいんじゃないかと。



世界的にノウハウ化されていない時代に、
自分の得た知識や経験、身の回りの人の力だけで面白くすることの難しさ。

今よりも圧倒的な情熱と、意志がそこにはあるんじゃないかな、なんて感じてしまうのです。


逆に言うと、今ほど研究しつくされていないし、今ほど「正解のようなもの」もなかった分、形式にとらわれないものづくりが出来ているという事実。

正解の検討がつかないことって大変ではあるのですが、
自由なような気もして、そう思うと、少し羨ましくなりました。(笑)


【2】「人」だけど同じじゃない、絶妙な描き分け


ストーリーを見ながら特徴的だなと思ったのが、
登場人物である「侍(武士)たち」と「百姓たち」が徹底的に描き分けられていることです。


「七人の侍」は身分制度が存在している世界観なので、
同じ「人」でも生き方が全く異なるので、
言動が全く異なるように描かれているのです。


同じものを見たとき、同じ事件に遭遇したとき、
立ち向かうか逃げるか、同情するかしないか。

そういうときの反応や決断が明らかに違っていて、
同じ「人」でも考え方が根本的に違うだなあと感じさせられます。


今も時代劇の映画やドラマはあるし、農民と武士が関わる話もあると思うのですが、こんなに身分別の人の動きにフィーチャーして描かれてることって無い気がする……。

そんなところでも、少しカルチャーショックを受けました。
身分制度がほぼない現代に生きる私にとっては、良い刺激をもらいました。


【3】映像で訴えかける技の凄さ


「七人の侍」で圧倒的だな、と思ったのは映像でした。


「七人の侍」は白黒映画で、音質も映像も鮮明とは言えません。
しかも今のような綺麗なCGが作れない時代の作品で、
今ほど撮影や編集の技法の種類もなかったであろう時代のもの。
なので、その点で見れば全体的に荒々しい印象を持つ人もいると思います。

私の言う映像のすごさというのは、アクションシーンなどの派手さというより、この映像で見る人に何を感じさせるか、というところへのこだわりが感じられるところでした。

黒澤明監督の作品は、カメラの画角の中に写っているものに「どんな意味を持たせたいのか」が徹底的に考え込まれています。

それをシーンとして映像と音とで表現することで、セリフでみなまで言わなくてもで状況がわかったり、人の気持ちが見えたりする。

映り込むもの一つ一つが、
メタファー(暗喩)になっているところも結構あって、
気づくと自分が状況を理解できていて、なんなら心を掴まれている、
という感覚が何度もありました。



さり気なく、でも分かるように作られた伏線や、
心情を煽るようなシーンの差し込みが絶妙で、
「いかにこのシーンを伝えるか」が考え抜かれている。


並々ならぬ熱意を持って作られていることが分かりました。
(黒澤作品の構図などについては、研究されていたりお詳しい方が沢山いらっしゃって、本やブログで書かれているはずなので、詳しくはそちらをどうぞ)


【4】さいごに

ネタバレしないように書いたので、内容としてはかなりぼんやりとしてると思います。
詳しい内容は、ぜひ映画を観てご確認ください。(笑)

3時間を超える少し長めの映画ですが、現代に通じるような色々考えさせられるも感じる作品なので、観たことが無い方はぜひ!


また、今までも古い映画は結構好きでいくつか観てきた方ではありますが、まだまだ面白い映画は沢山あるのだと気付かされました。

思えば「雨に唄えば」や「王様と私」みたいな洋画のミュージカル映画や、「アラビアのロレンス」とか「カサブランカ」など、とにかく洋画が多かったので、これを機に邦画の古い作品もちゃんと観ようと思いました。

1、2作品しか観ていない、小津安二郎監督や成瀬巳喜男監督のほか、日本だけでなく海外でも評価されてる日本映画ってたくさんありますよね。

もっと観てみたい、どんな物があるんだろう…?


そんな気持ちで、今日は小津安二郎の「東京物語」を観ました。(笑)
こちらもまた、今見ても考えさせられる部分の多い作品でした。
また気づきなどをnoteにまとめたいなと思っています。


ではでは、最後まで読んでいただきありがとうございました☆

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