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The Beatles 全曲解説 Vol.105 〜Eleanor Rigby

『Revolver』2曲目。
ポールの作品で、リードボーカルもポールが務めます。

救われた者は一人もいない…静謐に響く「孤独」の物語 “Eleanor Rigby”

ビートルズナンバーとして初めて、メンバーが一人も楽器を演奏せず、物々しい弦楽八重奏(スコアはジョージ・マーティンによるもの)が響くこの曲は、 “Yesterday” に続いて世界に衝撃を与えました。

“Taxman” であれほど荒々しいギターソロを演じた人物が、このようなストリングスに振り切った曲をほぼ同時に書いてしまうこと自体ちょっとスゴすぎるのですが、当時のロックミュージシャンが、第三者の名を借りて孤独や死を歌うというのは、常人の理解を遥かに超え、異常にすら映ったことでしょう

この曲で綴られているような、固有名詞を使って物語風の歌詞を書くスタイルは、ポールお得意のものとして定着することになります。
ジョンはこのスタイルをあまり好まなかったようですが、この曲については、ジョン含め各メンバーのアイデアも持ち寄られながら歌詞が完成しています。

物語の主人公となる「エリナー・リグビー」という女性の名は、ポールが響きを考えて適当につけた名前だったのですが、リヴァプールに同姓同名の墓石が存在するという、ファンの間で有名なエピソードがあります

こちらがこの墓石。
ジョン・リグビーの孫娘で、トーマス・ウッズという男に嫁いだのち、1939年に44歳で亡くなったと記載されています。

ちなみに、この墓石が見つかったのはセント・ピーターズ教会というところで、そこはジョンとポールがまさに初めて出逢った場所であるというから驚きです。
名曲には必ず名エピソードがあると言いますが、それは必ずしも言い過ぎではありませんね…。

さらに、リバプール中心部のスタンリー通りというところには、1982年に制作されたエリナー・リグビーの銅像があります。

普通銅像というと、クラーク博士のように堂々と聳え立って遠くを見つめているものですが、この像は楽曲をそのまま表しているかのように、ひっそりと侘しく佇んでいますね。
筆者は2013年にリバプールを訪れていますが、なぜか残念ながら銅像は素通りしてしまいました…後悔!!

“Eleanor Rigby” はアルバム発売と同時にシングルとしても発売され、世界各国で1位を獲得しています。
多くの人々の孤独に寄り添いながら、現在でも慎ましい響きを聴かせてくれます。

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