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The Beatles 全曲解説 Vol.119 〜Rain

シングル『Paperback Writer』B面。
ジョンの作品で、リードボーカルもジョンが務めます。

その破壊力と影響力は、まさに「B面最強曲」⁈ “Rain”

「ダダン!ダダン!」と強烈なドラミングで始まるこの曲は、A面 “Paperback Writer” とはまた違った意味で、ヘヴィで強烈な印象を与えてくれる曲です。

「雨」を扱った楽曲は過去には “I’ll Follow The Sun” などが挙げられますが、今回の雨の語り方は、かなり斜に構えて皮肉っぽいですね。
表向きは「天気に一喜一憂する人々」を歌っているようで、実はLSDの効果について歌っているのでは?という説も存在します。

この “Rain” のレコーディングについては、こんなミニドキュメンタリー動画が上がっているので、是非観てみて下さい。
英語ですが字幕付きです。

この曲を何より特徴づけているのは、曲全体がテープスピード操作されているということです。
“In My Life” でのピアノのように、一つの楽器のテープスピードを変えるということはありましたが、全てのスピードをまるっといじるのはこの曲が初めてでした

具体的には、バックトラックをテープスピードを早めて録音し、ジョンのボーカルはスピードを遅めて録音しています。
(元々の演奏とボーカルがどうだったのかは、上の動画で確認することができます。)
結果、テープスピードを元に戻すことで、演奏はあの独特のもったりした感じに、ボーカルはいつもより若干甲高く聴こえる訳です。

そんなモタ〜っとした演奏を決してだらけさせないのは、まさにリンゴのドラムがあるから。
後年、リンゴはこの曲でのプレイを「生涯ベスト」と位置付けています。
この曲に限らず、『Revolver』セッション期のリンゴは脂が乗り切っていて、バラエティ豊かなドラミングを楽しむことができますよね!

曲の最後には、ジョンの逆回転したボーカルが収録されていますが、これは冒頭の「♪If the rain comes, they run and hide their heads.」を逆回転させたもの。
日本でこの曲が発売された当時は、この部分が逆回転とは気付かれず、必死に文字起こしされた意味不明な歌詞が掲載されていたそうです(笑)

B面での発売で、アルバムにも収録されることはありませんでしたが、この凄まじい実験性は、同時代のアーティスト達にも強烈な影響を与え、現在再評価されつつあります。
まさに「B面最強曲」と言えるでしょう。

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