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すらすら書ける!なんでなんだの最高のアセスメントのつくりかた⑤

※本書はメンバーシップ追加のため有料設定となっていますが、すらすら書ける!なんでなんだの最高のアセスメントのつくりかた①~⑤については全文無料でお読み頂けます。


「なんでなんだの最高のアセスメントのつくりかた」の続きです。
すらすら書ける!なんでなんだの最高のアセスメントのつくりかた①
すらすら書ける!なんでなんだの最高のアセスメントのつくりかた②
すらすら書ける!なんでなんだの最高のアセスメントのつくりかた③
すらすら書ける!なんでなんだの最高のアセスメントのつくりかた④

適切なテーマと質問選び、情報収集編

 前の記事のおわりにQマト3ステップトレーニングを使ったアセスメントを行う際、どのタイミングでどのようなテーマが良いのか、どのような質問が適切であるのかをなんで式Qマトリックス表を活用して「情報収集、アセスメント、看護診断、看護計画の評価」の順番にお話しますと述べました。今回は「情報収集編」です。

※なんで式Qマトリックス表は参考文献の後にあるPDFからダウンロードする事ができます。

なんで式Qマトリックス

情報収集における適切なテーマ

 情報収集における適切なテーマを考えるには、なんのために情報収集をするのか?を知る事が大切です。これについては【試し読み】-看護実習のすべてがわかる!-なんでなんだの看護過程ガイドブック-第1章情報収集の中で以下のように述べています。

情報収集を行う目的を一言で言うと「患者の健康状態をアセスメント(評価)するための材料さがし」です。

【試し読み】-看護実習のすべてがわかる!-なんでなんだの看護過程ガイドブック

 この事から、情報収集では患者の健康状態に関連した内容をテーマにすれば良いという事がわかります。ここでは、健康状態に関連したテーマを具体的にするためにヘンダーソンの看護の基本となるものを参照します。
 しっかり整理整頓!情報収集の素:ヘンダーソンの看護の基本となるものではヘンダーソンの看護と基本となるものの看護理論を以下のように説明しています。

ヘンダーソンの理論
 人間には14の基本的欲求があります。この14の基本的欲求のすべてが充足され、自身の体力・意志力・知識により自立して生活していれば健康と言えます。しかし、常在条件(年齢、気分、社会的状況や身体・知的能力など)や病理的状態(病気や手術など)の影響によって、基本的欲求が未充足になり、自身の体力・意志力・知識が不足し自立した生活ができなくなる事があります。この状態が病人です。
 看護師は14の基本的欲求を満たせるように健康あるいは健康の回復の一助となれるように援助する役割があります。基本的欲求が未充足になり、自身の体力・意志力・知識が不足し自立した生活できていない人ができるだけ早く自立できるように手助けしましょう。

しっかり整理整頓!情報収集の素:ヘンダーソンの看護の基本となるもの

この中で重要なのが、常在条件(年齢、気分、社会的状況や身体・知的能力など)や病理的状態(病気や手術など)の影響によって、基本的欲求が未充足になる点です。つまり、常在条件や病理的状態が影響して不健康な状態に陥っているのですから、この2つをテーマとして質問をしていく事でその患者の健康状態を評価するために必要な情報を得る事ができます。しかし、このままでは使えないのでよりわかりやすく噛み砕いていきます。

常在条件とはなにか?

 常在条件をかんたんに表現すると「その患者ってどんな人物?」です。以下は常在条件の中身になりますが、それぞれをそのままテーマにする事ができます。
・既往歴(※1)
・年齢、性別
・身体能力
・知的能力
・気質、感情、気分
・家族の有無、家庭内の役割、家族との関係性
・経済状況
・職業、仕事での役割り
・友人の有無、友人との関係性(小児やキーパーソンが友人の場合に特に重要となる)

※1.既往歴について、その患者が既往歴を踏まえて現在の日常生活を送っている事からここでは常在条件に入れる事とする。ただし、同じ病気を繰り返している場合や既往歴がいまある疾患に関連している場合は病理的状態にも入れるのが良い。

ヘンダーソンの看護の基本となるものでは、以下の項目に関連した情報を得る事ができます。(ただし、患者によってはこれに限りません。)
・環境の危険因子を避け、また、他者を傷害しない
・他者とのコミュニケーションを持ち、情動、ニード、恐怖、意見などを表出する
・自分の信仰に従って礼拝する
・達成感のあるような形で仕事をする
・遊ぶ、あるいは、ある種のレクリエーションに参加する
・正常な成長発達および健康へとつながるような学習をし、発見をし、好奇心を満たし、また、利用可能な保健設備等を活用する

ゴードンの機能的健康パターンでは、以下の項目に関連した情報を得る事ができます。(ただし、患者によってはこれに限りません。)
・健康知覚-健康管理パターン
・認知-知覚パターン(疾患に関連しない認知機能、知覚の状況)
・自己知覚-自己概念パターン
・役割-関係パターン
・性-生殖パターン
・コーピング-ストレス耐性
・価値-信念パターン

病理的状態とはなにか?

 病理的状態をかんたんに表現すると「その患者はどんな病気に罹っているの?」です。ヘンダーソンにおける病理的状態の中身は細かく分かれていますが、テーマにするにあたってはそこまで細かくする必要はありません。大まかに以下の2つにしてしまった方がわかりやすいでしょう。
・その患者の疾患
・疾患に伴う症状

ヘンダーソンの看護の基本となるものでは、以下の項目に関連した情報を得る事ができます。(ただし、患者によってはこれに限りません。)
・正常に呼吸する
・適切に飲食する
・身体の老廃物を排泄する
・移動する、好ましい肢位を保持する
・眠る、休息する
・適切な衣服を選び、着たり脱いだりする
・衣服の調整と環境の調整により、体温を正常範囲に保持する
・身体を清潔に保ち、身だしなみを整え、皮膚を保護する

ゴードンの機能的健康パターンでは、以下の項目に関連した情報を得る事ができます。(ただし、患者によってはこれに限りません。)
・栄養-代謝パターン
・排泄パターン
・活動-運動パターン
・睡眠-休息パターン
・認知-知覚パターン(疾患に関連した認知機能、知覚の状況)

 病理的状態をテーマにする際には、【試し読み】-看護実習のすべてがわかる!-なんでなんだの看護過程ガイドブック-第1章情報収集で述べられている以下の考え方が大切です。

(情報収集の)目的を達成するためには「情報収集を行った後にどのようにアセスメント(評価)をするか」ではなく、「どのようにアセスメント(評価)できるかを踏まえて情報収集を行う」という考え方が大切になります。

【試し読み】-看護実習のすべてがわかる!-なんでなんだの看護過程ガイドブック

つまり、疾患についての事前学習をもとに疾患や疾患に伴う症状に関連した項目をメインにしてより多くの時間を割いて情報収集するのが良いという事です。逆に言えば、それ以外の項目を見て問題がなさそうであれば、その項目はあっさりと終えてしまっていいのです。この辺の見極めができるようになると更に効率良く情報収集を行えるようになります。

例:患者が30代男性の右下腿の腓骨(すねあたり)の骨折の場合、移動動作や疼痛症状に関連する項目がメインとなり、食事姿勢に問題がなければ食事に関する情報はあっさりと終えていい。

情報収集における適切な質問

 前項目では情報収集における適切なテーマとして、患者の健康状態に関連した常在条件と病理的状態を選択するのが良いと述べました。この項目ではこの2つのテーマに対してどのような質問項目を選択するのが良いかを説明します。

常在条件における適切な質問項目

 常在条件の中身を改めて見ると、年齢、性別、身体能力、知的能力、気質、感情、気分、家族の有無、家庭内の役割、家族との関係性、経済状況、職業、仕事での役割りなど「これまでの人生(生活)~現在の様子」が当てはまる事がわかります。つまり、適切な質問項目は「過去の質問」と「現在の質問」になります。

常在条件=「過去の質問」+「現在の質問」

常在条件

病理的状態における適切な質問項目

病理的状態については、はじめにその患者の疾患や症状が発症してからどれくらいの期間が経過しているかを考えます。もし、急性期であれば発症から間もないので「現在の質問」だけで事は足ります。病気を繰り返している、回復期、リハビリ期、慢性期、終末期であるならば発症から一定の期間が経過しているので「過去の質問」と「現在の質問」が必要です。次に、患者や患者の家族が疾患や症状に対してどのように感じ、考えているのか、どのようにしていきたい(なりたい)のかその思いについて考えます。これらを情報収集するためには「意図に関する質問」が必要です。つまり、急性期に適切な質問項目は「現在の質問」と「意図に関する質問」になり、その他の期間(病気を繰り返している、回復期、リハビリ期、慢性期、終末期)に適切な質問項目は「過去の質問」、「現在の質問」、「意図に関する質問」になります。

病理的状態(急性期)=「現在の質問」+「意図に関する質問」

病理的状態(急性期)

病理的状態(病気を繰り返している、回復期、リハビリ期、慢性期、終末期)=「過去の質問」+「現在の質問」+「意図に関する質問」

病理的状態(病気を繰り返している、回復期、リハビリ期、慢性期、終末期)

質問については以上です。
本書ではあえてテーマに必要な質問項目が時間軸であれば、5W1Hの中身には触れません。なぜなら、本書で特定の項目が使いやすいと言った時点で私たちに偏見や思い込みが生まれ、それ以外の項目の可能性を無くしてしまう恐れがあるからです。

おまけ 2つの情報収集の進め方

 情報収集については以下の2パターンの進め方があります。
方法1.一旦あらゆる情報を収集してから質問項目に沿って必要な内容をピックアップしていく。この方法だとはじめにあらゆる情報を収集しなければいけませんが、後からじっくりと情報を整理する事ができるのがメリットです。

方法2. 5W1Hの質問項目毎に情報収集していく。この方法だと最大6回同じ情報を見て情報を収集する事になりますが、目的を持って必要な情報だけをピックアップできます。また、何度も繰り返し練習する事で質問項目が頭に入れば素早く情報を取れるようになるのがメリットです。経過が短い場合には効果を発揮しますが、経過が長いと逆に大変かもしれません。

どちらの方法がより効率的に情報収集できるかはその人によります。いきなり実習で試すのではなく、事例検討や事前学習を行う際にどちらの方法が良いのか上記の2パターンをそれぞれ試してみるのが良いでしょう。

この記事では情報収集に関する適切なテーマと質問選びについてお話しました。
次の記事ではアセスメントに関する適切なテーマと質問選びについてお話します。

この記事のまとめ

●情報収集の目的は患者の健康状態をアセスメント(評価)するための材料さがし
●情報収集のテーマは以下の2つ。
 テーマ1.常在条件
 テーマ2.病理的状態
●常在条件の適切な質問項目=「過去の質問」+「現在の質問」。
●病理的状態(急性期)の適切な質問項目=「現在の質問」+「意図に関する質問」。
●病理的状態(病気を繰り返している、回復期、リハビリ期、慢性期、終末期)の適切な質問項目=「過去の質問」+「現在の質問」+「意図に関する質問」。
●おまけ
 情報収集の方法には、一旦あらゆる情報を収集してから質問項目に沿って必要な内容をピックアップしていく方法と5W1Hの質問項目毎に情報収集していく方法がある。どちらが良いかはその人や患者の状況による。(いきなり実習や臨床で試さず、事例検討や事前学習を行う際に試してね)

参考文献

1.【試し読み】-看護実習のすべてがわかる!-なんでなんだの看護過程ガイドブック
2.しっかり整理整頓!情報収集の素:ヘンダーソンの看護の基本となるもの

なんで式Qマトリックス表をPDFでダウンロードする

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※すらすら書ける!なんでなんだの最高のアセスメントのつくりかた⑤は以上になります。
 以下、メンバーシップ追加のため有料設定となっていますが続きはありません。

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