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二段熟カレー
2024年5月13日 21:30
今日はなんとなく悲しい悲しい理由はないもしあるとすれば、友達が果物から果実になった理由を知ったこと本棚が崩れて読みかけの小説が部屋から逃げたしたこと二の腕にいつの間にかデキモノが生まれたこと街のリズム川は水かさを増して逆向き果実になった友達のそれは甘かった甘かったけど美味しくなかった美味しくはないけどうなずいた甘い、甘いとうなずいただから、皮は庭に埋めた春の土で
2024年2月10日 23:50
月の後ろを飛行機が通りすぎた灯がそれは違うってそんなはずはないよ月の明るさに機体がひととき消えたんだ飛行機は誰かを乗せたまま消えたんだ灯、ねえ灯呼んでいるんだけど、灯月の裏側は深夜でそれも醒めない深夜だってそれでも灯は飛行機はムーンライトの呪いにかかったって灯、じゃあ私を染めて月じゃない灯私を消さずに染めてそれを愛だと俗物だと行き交う人がそうやって名前
2023年12月18日 22:39
取るに足りない日常のある日を、何かに触発されて思い出す時がある。それは例えば、パターソンを鑑賞した時だとか、すべて忘れてしまうからを寝る前に読んだ時だとか、朝にカネコアヤノを聞きながら駅まで歩く時だとか。その日常のある日は、ひょんなことから絢爛とした記憶となって私を巡る。朝、カーテンを開けて、それから窓を開けると澄んだ鳥の声が網戸を越して私に届く。鳩の鳴き声は信号のように周期的なのに突然終わっ
2023年11月16日 00:01
ソファに沈んだまま二人は朝を迎えた。アサが先に起きて、キッチンまで行き水を一杯飲んだ。タナカはその様子を沈んだまま、視界は霞んだまま眺めていた。「明けましておめでとうございます」アサにそう言われ携帯を確認する。5:03と仰々しい文字の下に、1/1 sat。「うん、明けましておめでとう」タナカも立ち上がりキッチンで水道水を一杯飲む。本能的に体の内に閉じ込めていた熱が、水の冷た
2023年11月7日 22:16
「俺、絵本しか読まないんだ」私が毎晩のように本を読んでいると、彼は隣でこう言っていた。財布、携帯。出会った頃、彼はできるだけ荷物を持ちたくない性分であったが、いつしかそれに似つかないほど大きなカバンを持つようになった。小麦色で中身の重みによって湾曲したカバンは、マドレーヌのよう。彼はそのカバンに、財布、携帯それに絵本を2冊入れていた。「いつも思っていたんだけど、何で絵本1冊じゃなくて
2023年9月13日 23:14
淡く過ごしやすい夜になっていた私をおいて万物と移っていった夏の背を追いかけた逃げ水のように辿り着かなかった人も建物も空気もすべて影を残し揶揄していた毛量が多くうねった黒髪に反して、肌は白い「気持ちの悪い」に制約されて過ごした緩く吐き気を誘う風はいつの間にか、次へと移っていった万物たちの跡に風が吹き込むノスタルジーと橙な麗らか閉め切った窓が開き、どこかの庭で犬が強く吠える
2023年9月8日 23:08
急な雨に降られた。私は小学校のグラウンドにいた。ナイターで照らされていて、その光がはみ出して周りの家々も明るかった。奈落に浮かぶ島のよう。光の先から急に雨が現れているようで、反射して落ちる雨は均等に遅く見てた。光の帳の中がそれでいっぱいになって流れていく。土が徐々に濡れて色が濃くなって固まっていった。雨は強くなる一方だったので校舎の軒先へと移動した。「これ止みますかね〜」「雨雲レー