二段熟カレー

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祝日

ドアが開くと、篭っていた水の流れる音が鮮明になる。 「ねえ、ちゃんと便座下げて出てきてよ」 「ごめんごめん、あ〜腹痛え」 彼がお腹を愛でるように摩りながらトイレから出てきた。 「だから昨日言ったじゃん、お腹壊すよって」 「それでもニンニク食べたかったんだから仕方ねえじゃん、今日休みだしお腹壊してもなんとかなるかなって」 昨晩仕事を終えた私たちは、祐天寺で集合してラーメンを食べに行った。 そこのラーメン屋はつぎたしのタレで漬け込んだ焼き豚ラーメンを売りにしており、そ

    • 遊星

      下弦上で居座る関係はいとも脆く、 だのに沈もうとしない もう沈もうよ、 満ちていたあの時、まだ満ちる 欠けたのは私たちじゃなくてどこだろう、 きっと海だ 沈まないそれが漂う行方、それも遊星

      • 爆発して

        この頃はなにも考えていない。 はっきりとしない不安だけがゆらゆらと常に漂って、それをボヤけたままにしているのは自分の意思でそうしている。 血液の巡りが悪く、もちろん脳にも行き届いていないから思考の始まりは待っていられずに去っていくのだ。 長い立ちくらみを何とか鎮めて、台所で水道水を飲む。 古いエアコンからヘリコプターのプロペラが回る音がする。 白昼を思い出すと、月面を歩く人影がいた。紛れもない自分が他人のようで、その軽やかな月歩は現実を受け入れたくない、枯れたくも咲きたくもな

        • 冷蔵庫

          通り雨が過ぎて それはコンクリートで弾ける雨粒 私の骨身を空洞だと知らす雨粒 濃紺ブラウスとうずまる黒いスカート 全部、すみずみ濡れたんだから重くて どこまで遠回りをしたんだろう そんな風がそこから吹いてきた スカートが膨らんで熱気球 だのにずしりとした体じゃいけないね 雲、雲、雲、白くて灰色で 一つだけ見つけて光 私かもしれない 指パッチンをして急な夜 生物な、それは生きてる音で 冷蔵庫を開けて黄ばんだ明かり それをずっとずっと見てるだけ

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          スーパーの弁当

          昨日食べ忘れていた常温の弁当があって、6月、食べられるっけ。そもそも弁当って売られてる時はどこに居座っているんだっけ。そもそも食べ忘れられてしまった弁当の心寄りはどこにあるわけなの。 漬物はぐでんぐでん。ナポリタン、下敷きナポリタン。あんたは主役だよ、それだのにあんた。全てを受け入れることになるなんてナポリタンさんが考えて命名したならば、そんなのあり得ないよ。でもね、もちろんその才能はあるはずだよ。お前は私の子供なのだからって親バカ、しかも白書。この弁当の主役は唐揚げ。唐揚げ

          スーパーの弁当

          どこへもいけない

          「今日は夕立が来るから」 開けっぱなしの窓から聞こえる 私はすることもなく、自分の本棚を眺め あれやこれやとごまかした どこへもいけないね 穏やかな陽射しが まるで穴だらけで 長いクラクションが響いた ベッドに座って三時間 思い出すのは春や冬のことばかり ねえ今は何時だろうか どこへもいけないね 過ごしやすい部屋で 自分のことばかりです 熱を帯びて伸びた昼 苦手なスイミングでクロール やっと夏

          どこへもいけない

          川辺

          今日は川の流れと歩いた 雨季から乾季 雨はここのところ降っていないから 川の流れは穏やか 踏み出して、でもまだ進めない 靴底の影が丸い のっそりのっそり 心臓の流れへ 会いたい人を浮かべては どこまでも自分一人 いつも いつも思い出すよ だから、大丈夫  それだけは揺るがないの 泳いでいる2匹の鯉の 背びれが少し渇いている

          孤独と祈り

          先週の金曜日辺りから体調が変だった。熱が出るとか喉が痛いことはなかったが、辺りが灰色になる倦怠感と、掴めるところがないからダムで溺死した幽霊が私の両肩に掴むように取り憑いている肩こりが主な症状だ。去年の夏、それはカネコアヤノの野音でのライブ数日前のこと。ひどい扁桃炎にかかり、野音にも行けず(悔しすぎてレコードも買わなかった)、その時から大きい発熱などにはならないものの体調を頻繁に崩すようになった。 それでも、一年弱時間を経て、だいぶその回数は減っていた中での、体調不良である。

          果物と果実

          今日はなんとなく悲しい 悲しい理由はない もしあるとすれば、 友達が果物から果実になった理由を知ったこと 本棚が崩れて読みかけの小説が部屋から逃げたしたこと 二の腕にいつの間にかデキモノが生まれたこと 街のリズム 川は水かさを増して逆向き 果実になった友達のそれは 甘かった 甘かったけど美味しくなかった 美味しくはないけどうなずいた 甘い、甘いとうなずいた だから、皮は庭に埋めた 春の土で隠した 「裏のおばあちゃんからもらった果物どうしたのよ」 食べた、美味しくはな

          二度夢をみる

          朝見た夢と同じ夢を正午にも見た 夢は二度みているのだと 祖母はよく言っていた 人は同じ夢を二度見る 一度は覚えていても 二度目は必ず忘れてしまうものなの 私は同じ夢を二度 それも一日で果たしてしまった 小さかった私は、 もし二度目も覚えていたらどうなるの?と聞いた その時もうあなたには 夢はないわ 叶えたか諦めたかどちらかよ、と言った 私には夢などなかった 夢などなかったから、夢はなかった 忘れられない夢だけが増えていく すべての夢を復習してか

          二度夢をみる

          ニート生活記 延長線「14歳の栞」

          ゴールデンウィークで一回はもしかしたらと思っていたが、まさかのやめてすぐに書きたくなってしまった。本当に一旦これで最後にする。 名古屋駅から出てすぐの所を歩いていたら、足元が不確かな一人でぶつぶつ話しているおじさんを見た。その人を追い越しながら、ヤバそうな人だなと思っていた。そして信号が赤で止まっているととそのおじさんが追いついてきて話しかけてきた。 「その帽子かっこいいね」 前歯が欠けていた。 「あ、ありがとうございます」 「この帽子何かわかる?」 そう言っておじさんは自

          ニート生活記 延長線「14歳の栞」

          ニート生活記 31日目(最終日)

          今日はこの一ヶ月で一番なにもしなかったように思う。耳や喉がかゆくていつもより早く起きた。夜中も断続的に起きてしまったからやけに意識が手元から遠いところにあった。 雨が降っていたから朝の散歩もしないまま夜中にやっていたU23の試合を見た。オリンピック出場決定のテロップは昭和のテレビの書体だった。なぜテレビは変わっていっているのにこういったお祝いみたいな時のテロップは昔ながらなのだろうかといつも思う。 それが終わってからはゴットたんを見たりオドぜひを見ていたりした。ずっと眠いか

          ニート生活記 31日目(最終日)

          ニート生活記 30日目

          今日は29日(ブックの日)だから、起きてすぐにブックオフに向かった。 レンタルビデオ屋と同じように、五十音順に小説中心に探していった。この時間が本当に愛おしい。何かと出逢えるワクワク感が常にある。 文庫5冊と漫画1冊を購入して帰宅して、その本を適当に片付けていたら、買った漫画の同じ関数の漫画がすでに家にあった。 「あちゃ〜」と心の中で呟いて、それに続けて「アチャモあちゃ〜、あち、a chi chi a chi 燃えてるんだろうか」とポケモンと郷ひろみを数珠繋ぎで呟いた。これを

          ニート生活記 30日目

          ニート生活記 29日目

          今日も朝起きてすぐに散歩をした。どこか街が浮かれていたのは日曜日だからか。洗車している向かいの家では家庭菜園をしていたし、中学校ではサッカーの試合の準備をしているようだった。 家に帰ってテレビをつけたらワンピースがやっていて漫画ではチラチラと見ていたが、キャラクターのカラーがイメージと全然違った。食欲が失せるようなケーキの色をしていた。 それから私にはもう書くことしか残されていないから、昨日途中で寝てしまった構成を再度考えていた。音楽をかけながらメモ帳に書いていく。日曜日の

          ニート生活記 29日目

          ニート生活記 28日目

          朝起きて、少しダラダラした後レンタルビデオ屋へ久々に行った。 二階建ての店内は、前は一階にレンタルコミックやゲームなどで二階はすべてDVDやBlu-rayだったが、今はレンタルコミックも二階へ移動し圧縮されていた。 邦画、洋画、アニメ、それらの中でも分類されているジャンル、全ての配置を覚えていたが変わっていたので迷った。 やっと店内の配置を理解すると、レンタルするものを選んでいった。ジャケットで気になるものを選んで手に取り、表紙や裏表紙に書かれたあらすじなどを読んだ。もちろん

          ニート生活記 28日目

          ニート生活記 27日目

          本で読んだ愛を試そうよ 起きてまず、天気がどうだとか体調がどうだとか感じる前にlaura day romanceの「step alone 孤独な足並み」のひとフレーズが再生された。多分昨日寝る前に聞いていたからだと思う。 やることはあるが、今日やるべきことはないので熱帯魚を1時間ほど眺めていた。あまり動かないけどなぜか退屈はしなかった。 昨晩のU23の試合を見てから、お昼ご飯を食べて家を出た。 近くの距離にブックオフが3軒あるのですべて回った。ブックオフはその地域によって雰

          ニート生活記 27日目