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2019年7月の記事一覧

偲ぶ季節

偲ぶ季節

こちら悠凜さんが書かれた私小説。優しく、深く、そしてわたしも先に還った人達を思った。

夏は偲ぶ季節でもあろう。
薄れる記憶。愛おしく哀しく、それだからこそ人は生きていけるのだと、何度も思った。
未練を離し、か細く忘れていく事が供養になると聞いた事がある。真理であろう。

ただそれでもたまに思い出す。
愚かしくもそれは人だから。

うつろうものを手繰り寄せ、その掌から祈りの舟に乗りやがてさらさらと

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詩 おいらく

詩 おいらく



よく知りもしない草に手をついて
落とした色を見る

星の少ない夜にあらわれた
翳りをおびる無彩色
どこまでもどこまでも広がり
落とした色は仮の姿だと思い知った

熱の枯れた土の上で
目を閉じて
熱の枯れた身を
ひとり笑う

知ったつもりの黒いしじま

待ちくたびれた星が
蛍を呼んだ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ちびまゆさんが日曜作曲で発表された『tobari』とい

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中央線も白線も
横断歩道も書いてない。
ここから見れば道なき道で
遅々とした歩みを重ねても
はるか目的地は彼方。
いつ到着かもわからない。
それでも晴れた日、
カラカラ薄茶のハトロン紙に
なってしまった姿は、
とんと見かけない。
必ずみんな
辿り着いているのだ。
誘導なしで。

帰国のランディングまで

帰国のランディングまで

「旅」という言葉を聞けば、真っ先に思うのは「無事の帰宅を祈る者達」
わたしの中でそれは、沁み付いているのではなかろうか。

noteが「旅とわたし」という記事を募集している。彩り豊かな旅の思い出記事を見かける事が多くなった。
わたしにだって旅の思い出はある。
でも、少し違う事を書いてみたい。

夫は日本の某航空会社の海外旅行部門で会社員生活を貫いた。添乗員だった時期もある。
わたしも結婚まで同じ職

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