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194-2「この世のおわり」"End of the world"

闘病のつぶやき

1.この世の終わり?

数年ぶりの再発。下半身からの出血が激しく、今回はこれで終わり、と思った。567で家族や友人との面会はない。こうやってみんなこの世を去るのかな、と思った。
院内は567対策が万全、室内もビニールの仕切りだらけ、これだけ完ぺきに遮断されると、不安が増す。

私は今回は駄目かと思った…。

2.看護師さんが泣いていた

真っ暗闇の病院内の4人部屋。隣にわずかな薄明り、家族のいないカーテン越しに看護師さんが泣いていた…。

静かなお爺さんがいなくなっていた…。

3.生きてほしいのよ!

「ちゃんと食事してください!ちゃんと食べないと元気にならないわ!」
「そんなこと言ったって、不味い、不味すぎる」と答える患者さん。

看護師さんは悲しそうな顔をして、「お願いできますか…」と答えた。
「…食べても、食べなくても同じ。どうせ長くない命なんだからな!このまま死んだって、誰も面会には来ないし、会いたくたって会えない。死に目にだって会えない…」」

彼女はマスク越しの大きな目を見開いて、怒った…。
「食べてください、食べてほしいのよ!」

「生きてほしいのよ!」と答えていた。

4.伝えたいこと

567の世の中の病院はあまりにも酷い。患者もへとへとになっているが、看護師さんたちも疲れ切っている。でも、全くの身動きできない老人たちもいる。「面会禁止」明日死ぬかもしれないのに、誰にもお別れができない。

指の動くおじいさんは看護師さんに紙とペンをもらい、深夜に何か書き続けている。

みな、夜遅くまで起きている…。

5.私の家族です。

病院には我儘な患者も多い、深夜に怒鳴る患者もいる。気勢をあげたり、うなされていたり、はっきりと聞こえる寝言まで賑やかだ。共同部屋はどこも同じ。さらにピンポン、ピンポンとベルを押し続ける人がいた。何も用事がなくてもただ鳴らし続ける。

きっと、怖いのだろう…。
誰かにそばにいてほしいのだろう。

院内は真夜中すぎても騒がしい…。

私は毎晩眠れず、不眠症。

6.天使がいた

この病院は若い看護師さんたちばかり。娘と同じくらいの年頃だろう。20代から30代のナイチンゲールたち。とても大変で、とても嫌な仕事をこなす。

私は天使たちに「どうしてそんなに頑張れるの?」と質問した。

すると、「私の家族だと思っています、父や母だと思っているのよ!」と答えた天使がいた。

この子たちは夜勤専門、仲良しの3人組でした。

7.みんな父や母

そして、「ここの患者さんたちはね、みんな私のお父さんとお母さんたち、おじいちやん、おばあちゃん。私はね、自分の父や母に何もできなかったから、ここにいる人たちはみんな父や母だと信じているのよ!」と話をつづけた。

8.冷たい風

私は父や母がこの世を去ってしまい、はじめてわかった、父や母の素晴らしさを。
そして私の胸は大きな穴が開き続け、冷たい風が吹き渡っていたが、私の周りにもたくさんの父や母がいることを知った…。

そう、血縁なんて関係ない、家族は家族だと思える人たちが家族なんだね。

ここにいる3人の天使たちは、私の娘にしました…。

9.クリスマス・イブ

今夜はクリスマスイブ。
今までクリスマスなど意識したことがなかったが、看護師さんがクリスマスカードと、とても小さなケーキを食べさせてくれた。

私の身体は胸には心電図、両手、両足、前・後ろは管(USB)だらけ。まるでパソコンのコードだらけのよう。

味などわからなかったけれど美味しそうに食べた。

天使さん、あなたたちはクリスマスはあるの?

心配した…。


10.希望という痛み

誰も来ない病院、家族とも友人たちとも連絡を入れることができない。

麻酔が切れてからの痛み、痛み止めの薬を飲み続けても、あまりの痛みのため痛みが止まらない。
この痛みのストレスは拷問のように辛い。

これは、早く外に出たい、という希望がこの痛み。

周りの人たちからも、痛い、苦しい、辛いという声が聞こえる…。

11.ありがとうございます

下の世話までする若い天使たち。

患者さんに、終わると「ありがとうございます」と言って次の患者さんのところに向かう。

身体を洗う、全身の血を洗う、終わると「ありがとうございました」という。

私は恐縮してしまう。

12.あなたたちは奴隷ではない

「私はお金を払っているんだ!客だ!」と怒鳴る患者がいた。
そばにいた看護師さんは今にも泣きそうな顔をしていた。

まるで完全看護のホテルだと勘違いしているたちの悪い患者だ。
彼女らは奴隷ではない。

私はみんなの代わりに怒鳴ってやった…。

13.48時間勤務

それにしても院内はベルが鳴り続ける。
看護師さんたちは深夜走りつづる。
人は足りない、ブラック企業…。

私の担当の看護師さんがまるまる2日間いた。
24時間勤務でなく、48時間だ。これって労働基準法違反だ。
私は「どうしたの?」と聞いた。

すると、「同僚が倒れたのです…」と答えた。

私は「ごめんなさい…、ありがとう…」と答えた。

夜間の3人組は2人となった。

14.医師には病気を治せない

どこの病院も医師は現場を知らない。診察室で患者の身体にも触れず、聴診器さえも使わない時代。
検査結果の数値の画面だけを見続け、患者の顔を見ることもない。

しかし、現場の看護師さんたちは患者の顔色、痛む具合、気持ちなどを理解している。医師たちはこの看護師さんたちを認めてあげて見習うようになったなら、病院のおかしな体質が変わるかもしれない。

病気は医師が治すのではなく、看護師さんたちがそのお手伝いをしている。

15.現場の声

医師と術後の説明を聞いた。私は先生に質問した。
「先生たちは、この痛みや辛さ、苦しさがわかりますか?」と。

彼らは、「…わからない」といった。

私は、「現場の看護師さんたちに教えてもらえれば簡単に患者さんの気持ちがわかりますよ!」と答えた。

16.リハビリ

身体全体からすべての管が外された。

しかし、今度は歩くことがままならない。トイレやシャワーですら一人では無理。そのたびに看護師さんが付きそう。

しばらくはリハビリが続いた。

17.医師の役目

私はほかの病院関係の理事もしている。このことを退院したら現場を知らない医師にはっきりと言ってやろう、と思った。

18.みんなの笑顔

クリスマスも年末も正月、新年もただの月が変わっただけのような不思議な気持ち。たくさんの人たちに心配と迷惑をかけてしまった。
ようやくすべての人に連絡ができるようになった。

みんなの笑顔がわかる、きっと私も笑顔だったのだろうね。

coucouです、みなさん、ごきげんよう!
私は、昨年から時間が止まったまま。

わずかなときでしたが、まるで浦島太郎のよう。

もう年が明けてしまったのですね。

もう、世の中は動き出しているのですね。

今年は初めて年賀状を出せませんでした。

また、スマホにはたくさんの伝言が入っており、メールやラインでは説明しきれぬまま本日に至ってしまいました。

私は子どもの頃から7回死んで、7回も生まれ変わった気分です。天はまだまだ頑張れというのでしょうか?

今日も、最後まで読んでくれて

みんな~

ありがとう~


さて、今回のタイトル「coucouさんとつぶやきJanuary」を①として勝手に、毎月連載始めます。これもおつきあいお願いしますね。

日夜、現場でたくさんの人たちを励ましている、にゃむさん、全国の看護師さん。クラークの方々、介護福祉士、ヘルパーさん、お掃除のおばさんたち、そして3人の天使さん。あなたたちはたくさんの人たちを支えて救い続けている人たちです。

ありがとう!

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