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嵐のピレネーを越えたサムライガールは霧の中で何を越えた?【あの恋②】

雨の日は雨の日の思い出を。
フランスのサンジャンピエドポーで「Hi,I'm ニコラス!」とイタリアーノにウィンクされて、私のアドベンチャーが始まった続きを。

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その翌日はカミーノを歩き出す初日。一番ハードなピレネー山脈越えというのに怪しい雲。嵐の予感。町の出口辺りでポンチョを被ろうとしていたら、偶然その宿からニコラスが現れて再会。ニコラスとオランダ人の女性二人組(今も交流が続く友達となった)と一緒にポツポツ雨の中歩き始める。

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山道か車道を歩く迂回路かの分かれ道の所で、「どうする…?」という空気が流れてみんなで立ち止まった。
映画「星の旅人たち」で主人公の息子が初日のピレネー越えを嵐の中遭難し亡くなってしまうストーリーだったので、ここは慎重にいかねば、と思いつつ、私にはピレネーの山道を歩く以外の選択肢はなかった。
暴風雨になりつつあったが、1人じゃないしまあ大丈夫だろうと思い、私は迷わず山道の方を指さして「this way!」と言ったらみんながびっくりした。
「なんて勇敢な女だ!」と尊敬され、まるでジャンヌダルクのように崇めたてられたので、「Follow me!」と言って雨の中、山を登っていくことにした。
ニコラスには「サムライガールだ」と言われ、私も悪い気はしなかった。しかし、あっという間にのろのろ歩きになった私は最後列になり、フォローミーなジャンヌダルクはどこかに消えていた。

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