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  • イラク・クルディスタン地域旅行記

  • 【拙訳】イザベラ・バード「ペルシャ、クルディスタンの旅」1

最近の記事

今年のネウローズも大盛り上がり トルコの目論見は失敗か

 埼玉の秋ヶ瀬公園で開催されたクルド人の新年祭「Newroz(新年の意)」に参加してきました。2月あたりではまだ、ヘイト投稿に煽動された人たちが役所に電凸するなどして開催が危ぶまれていました。その後、在日クルド人支援者の方々のご尽力により、妥協案が成立し開催にこぎつけ本当に良かったと思います。 さて当日、会場に向かうと最初に目に入ったのは、多くの警察車両と大勢の警察官です。 まあ、察しはついていましたが、会場に到着するとその理由はすぐに判明しました。 最近、川口周辺でヘ

    • イラクで”PKK禁止” 「歴史瞬間間」トルコはぬか喜びも…状況は変わらなさそう

      どうもお久しぶりです。昨日、クルド系メディアを眺めていると、目を引く目出しがありました。 「イラクはクルディスタン労働者党(PKK)を”非合法組織”に指定」というもので、少し驚きました。そして、トルコの対PKK作戦にイラクも協力するということです。ここ数年対立することも多かったイラクの転回に、トルコ国営通信は「歴史的瞬間」と書くなど、トルコ側の喜びぶりが伝わってきます。 しかし、これまでイラクはPKKを黙認しトルコの主権侵害を非難してきたのに、どうしたんだろうと疑問が出て

      • トルコ版”IMF”爆誕!? エルドアン政権のための無尽講か…

        先日、トルコ史上初とされる大統領選の決選投票が実施され、現職エルドアンの勝利に終わりました。独裁政権が変化しないことへの幻滅から、トルコリラはさらに下落し底知らずの様相を呈しています。 こうした中、トルコメディアに「トルコ版IMF誕生」の見出しが躍りました。 トルコ諸国機構が独自の基金を設立するというのです。トルコ諸国機構とは、トルコが主導するアゼルバイジャンや中央アジア諸国のトルコ系国家による枠組みです。 その”IMF”とやらの本部はトルコのイスタンブールに置かれます

        • 【トルコ総選挙】日本におけるクルド人の在外投票 トルコの情報戦も?

          トルコは今月14日にエルドアン独裁政権の命運がかかった総選挙を控えています。票のことをクルド語で「deng」といいますが、これは通常「声」を表す言葉として使われます。トルコの弾圧により国外に逃れたクルド人たちは、それぞれの居住国で在外投票に臨み「声」を届けることになります。 CNNトルコはアメリカで在外投票が始まったことを伝えていました。 日本での在外投票はゴールデンウィーク終盤の5~7日に東京のトルコ大使館と神戸の総領事館で行われました。日本在住のクルド人の間では、「緑

        今年のネウローズも大盛り上がり トルコの目論見は失敗か

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        • イラク・クルディスタン地域旅行記
          6本
        • 【拙訳】イザベラ・バード「ペルシャ、クルディスタンの旅」1
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          朝日新聞の連載「ヤジディ教徒の悲劇」が残念だった件

           最近、朝日新聞朝刊で「ヤジディ教徒の悲劇」という不定期連載をやっているのを目にしました。本邦メディアにしては珍しい連載なので感じたことなどを書いてみようと思います。 まず本邦メディアが使う「ヤジディ教徒」ですが、「ヤジディ教」という宗教はなく、「ヤジディ」に「教徒」の意味も含まれています。そして、正しくは「エジーディ(クルド語:Êzidî)と言います。アサドのルーツであるアラウィーが「アラウィー派」と日本語で呼ばれているので、「ヤジディ派」とかがいい気がします。 細かい

          朝日新聞の連載「ヤジディ教徒の悲劇」が残念だった件

          トルコ・シリア大地震 「日本のような対策をしていれば…」PKKがトルコ軍の無能さを批判

          アナトリア南部で発生した大地震は、死者4万人を超える未曾有の大災害となっています。トルコ領内では遅すぎる対応、シリア領内では支援の妨害とエルドアンのトルコ政府の対応が被害の拡大につながりました。 https://agora-web.jp/archives/230216001138.html こうした中、トルコ国家が「テロ組織」と敵視するクルド勢力・クルディスタン労働者党(PKK)の最高幹部ジェミル・バイク氏が、いざという時に役に立たないトルコ政府・軍のあり方を批判していま

          トルコ・シリア大地震 「日本のような対策をしていれば…」PKKがトルコ軍の無能さを批判

          パキスタンでまたクリスチャン襲撃 銃撃事件で死傷者4人

          パキスタンのバローチスタン州でまたマイノリティを狙った悲劇が起きました。州都クエッタ郊外の街マストゥングにあるクリスチャン居住区で男が銃を乱射し死傷者が出たと報じられたのです。 筆者がバローチスタン訪問時に知り合ったクリスチャンの権利運動に携わる活動家によると、突然バイクに乗った二人組がクリスチャン居住区現れ、4人を銃撃したということで、そのうち3人は子供だったといいます。 (州都クエッタのクリスチャン居住区、今回の事件とは無関係) 今回の事件では1人が死亡しましたが、

          パキスタンでまたクリスチャン襲撃 銃撃事件で死傷者4人

          トルコへ薄毛治療目的に来た日本人旅行客が失踪

          先日クルド人からトルコメディアが報じたニュース記事が送られてきました。トルコ、イスタンブールに薄毛治療目的で来ていた日本人が失踪したらしいです。私自身このニュースで初めて知ったのですが、トルコは薄毛治療ツーリズムで外貨を稼いでたようです。トルコ国営通信は4年前、1年で10万人以上が薄毛治療目的でトルコを訪問したと誇っていました。お名前が杉谷さんというんだとか。続報がないかと今日までまっていましたが、何もありませんでした(後回しにしてました)。 報じられている情報も非常に少な

          トルコへ薄毛治療目的に来た日本人旅行客が失踪

          米大統領選はバイデンの勝利!クルドの運命や如何に?

          全世界がその結果に注目したアメリカ大統領選。郵便投票の集計等に時間がかかり投票から4日後の8日やっと大勢が決しました。民主党のバイデン・ハリスの勝利です。トランプは持ちネタの「お前はクビだ!」を国民から自らに突き付けられる結果となりました。トランプは票の集計中から不正があるだの根拠のない言いがかりをつけ、法廷闘争も辞さないと息巻いています。始めから負けることを見越して悪あがきの準備をしていたように見えます。極右武装勢力らは当然バイデンの勝利を認めない様子で、最悪武力衝突に至る

          米大統領選はバイデンの勝利!クルドの運命や如何に?

          ナゴルノ・カラバフ紛争は停戦へ―結局トルコはロシアに花を持たせることに

          先月27日に始まり一時全面戦争の様相を呈していたアルメニアとアゼルバイジャンによるナゴルノ・カラバフの戦闘に出口が見えてきました。 ロシアの仲介により9日モスクワで両国代表が対話のテーブルにつきました。10時間に及ぶ協議を続け、現地時間10日午前12時より停戦を発効することで合意しました。ナゴルノ・カラバフを統治するアルツァフ共和国の自衛部隊は戦闘停止の命令を下しました。その後もアルメニア、アゼルバイジャン双方が互いの停戦違反を非難しあいました。現状戦闘が再燃する公算は低い

          ナゴルノ・カラバフ紛争は停戦へ―結局トルコはロシアに花を持たせることに

          ナゴルノ・カラバフにイスラム過激派を送り込むトルコ

          先月27日、アゼルバイジャンが突如アルツァフ共和国(ナゴルノ・カラバフ)を攻撃しナゴルノ・カラバフ紛争が再燃しました。 2016年に両軍が衝突して以来最大の戦闘にとなりました。7月にも衝突があったがこちらは直ぐ収束しました。今思えばこの小競り合いが前哨戦だったわけです。 衝突直後、本紛争と何の関係もないシリア人権監視団が気になる情報を公開しました。トルコが占領するクルド人地域からアゼルバイジャンへシリア人傭兵の移動を開始したとのことです。トルコは既に介入するリビアへ2万人

          ナゴルノ・カラバフにイスラム過激派を送り込むトルコ

          アルメニアとアゼルバイジャンの紛争再開でトルコリラ爆下げ

          27日、アゼルバイジャン軍がナゴルノ・カラバフをアルメニア軍を攻撃し、2016年以来最大の衝突となり現在も進行中であります。 (アルメニア軍が公開したアゼルバイジャン軍の戦車が破壊される様子) アルメニアは動員令を発しアゼルバイジャンの侵略を警戒しています。今回の衝突に先立ち7月にも両軍は小規模な衝突をしていました。アゼルバイジャンがトルコと結託し戦争のきっかけを作ったとの憶測もあります。 アルメニアの通信社がトルコリラがまた下げたと報じました。確かに27日から既に暴落

          アルメニアとアゼルバイジャンの紛争再開でトルコリラ爆下げ

          湾岸諸国がイスラエルと国交正常化する切実な理由

           UAEを皮切りに湾岸諸国のイスラエルとの国交正常化の波が起こっています。UAE、バーレーンは15日共同でイスラエルとの合意文書に調印しました。オマーンもUAEとバーレーンの動きを歓迎し次にイスラエルと国交正常化する湾岸国家と目されています。 イスラエルとアラブ諸国の国交正常化は軍事協力、観光客業活性化のための直通便運航等大義より実利を優先した結果と言えます。政治的にはイラン包囲網形成のためとも解説されています。より差し迫った共通の脅威がアラブ諸国にあります。それはトルコの

          湾岸諸国がイスラエルと国交正常化する切実な理由

          シリアを水不足に陥らせるトルコ

          トルコがまたしても人道上の犯罪に手を染めました。軍事介入含むあらゆる手をつくしても未だ打倒できない北シリアのクルド勢力を軍門に降らせるべく、人間の生命維持に最も重要な水を武器として利用しています。トルコが昨年占領したセレカニエ(ラスルアイン)には水道施設があり、シリア東部ハサカへの給水を遮断することで同地は水不足に陥ってます。 トルコは今月もユーフラテス川上流のダムの放水量を意図的に減らし、下流域の北シリアを水不足に陥らせました。多くの団体がトルコが現在進める人道上の犯罪に

          シリアを水不足に陥らせるトルコ

          【クルド語ニュース】北シリアの大部族長「我々はクルドと共にある」

          北シリアのテレビ局ロナヒ(光)テレビのニュースサイトがアラブ系部族の声明を伝えました(原文クルド語)。以下抄訳です。 デリゾールのアカイダート系(北シリアの大部族)一部族の部族長並びに幹部が、「我々はシリア民主軍(QSD)*を信頼しており共闘していく」と声明を発表した。 部族長以下地域の平和と安定を害する行動を拒絶し協調していくことした。引き続きQSDと協力していくことが確認された。(以上) QSDは言わずもがなイスラム国を崩壊に導いたクルド人部隊を中心とする北シリア諸

          【クルド語ニュース】北シリアの大部族長「我々はクルドと共にある」

          クルドのジョージ・フロイド

          先日渋谷警察署に対するクルド人のデモについて書きました。警察批判・クルド人への同情故ではなく、クルド人は一部ネトウヨが騒ぐように「反日」ではないことを知って頂きたく筆を執りました。 その後職質されたクルド人が無免許だったとも言われ始め、やはり警察が正しかった論が優勢になってきました。クルド人はその境遇と政治的性質故に左右両翼の政治運動に利用されがちです。今回の一件もSNSへの動画投稿からデモまで警察批判のために準備されたものかと見えなくもありません。デモについてもいつもの反

          クルドのジョージ・フロイド