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シリアを水不足に陥らせるトルコ

トルコがまたしても人道上の犯罪に手を染めました。軍事介入含むあらゆる手をつくしても未だ打倒できない北シリアのクルド勢力を軍門に降らせるべく、人間の生命維持に最も重要な水を武器として利用しています。トルコが昨年占領したセレカニエ(ラスルアイン)には水道施設があり、シリア東部ハサカへの給水を遮断することで同地は水不足に陥ってます。

トルコは今月もユーフラテス川上流のダムの放水量を意図的に減らし、下流域の北シリアを水不足に陥らせました。多くの団体がトルコが現在進める人道上の犯罪に抗議の声を上げています。

今回トルコは単にシリアのクルド勢力を干上がらせるために今回の暴挙に及んだのかもしれませんが、当然のこととして全シリア的問題となっています。アサド政権は渇水に喘ぐハサカの住民のため給水車の派遣に踏み切りました。シリアの国連代表ジャファーリは国連事務総長グテーレスに国連の介入を求めました。アサドは最近北東シリアの油田問題でクルド勢力に反抗的な部族を焚き付けて、反米・反クルド闘争を行わせようといましたが、今回の事態は改めてアサド政権にトルコの占領への抵抗継続を決意させました。トルコは愚かにも自らの敵同士を結束させるきっかけを作ったのでありました。

クルド勢力も予期された人為的水不足に対処するために手を打ってきました。北シリア自治委員会委員長によれば、トルコのセレカニエ占領以来新たに多くの井戸を掘削する等、自給体制の構築に努めてきました。現地の自治体が新たに構築した水道施設により一部地域で給水が再開されてきました。トルコによる給水停止以来止まっていた水道から水が出る様子が公開されています。

トルコが北シリアの侵略を続ける究極の理由は「自国の安全保障上の脅威」となるクルド勢力の排除ではなく、シリア領の植民地化です。今回の一件は、トルコがその気になればシリアのライフラインを如何様にもできることを見せつける、植民地主義に満ち満ちた措置です。結局クルド勢力が国際的な支持を得ている以上、トルコが水道の栓を締め上げたとしても何らかの形で給水は行われ、渇水によりトルコに降参することはありません。クルド人含むシリア人のトルコへの憎悪、復讐心は高まり、人道上の国際的にトルコの孤立を深めることになります。結局はトルコ人が干上がることになるとエルドアンは早く気付くべきでしょう。

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