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イラク・クルディスタン地域旅行記

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5-トルコの影

◆バザールに溢れるトルコの商品
クルディスタン地域は、ヘウレルにしろスレイマニにしろ、大都市では高級ホテルか林立し大型ショッピングモールが建ち並び、表面的には繁栄してるように見える。その真の姿は、混み合ったバザールの中綺麗なショッピングモールで、何かしら製品である商品を手に取り製造国を見ればたちどころに現れてくる。既に述べたように、どの商品を見てもイラク製のものはなく、ほぼ全てが外国製である。クル

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4-現地の生活

◆買い物
両「首都」の中心部の歴史地区とでも言えるような場所には、大きなバザールがある。新しく建てられた大きなショッピングモールはそこかしこにある。商店街、バザールは大体6時くらいには店じまいが始まるが、モールはもっと遅くまでやっている。オリーブは現地メディアで生産が伝えられることが多いものの、スーパーやバザールで見るのは大抵外国産だ。中国製はおいて、トルコ製、イラン製が大体あらゆる輸入品の大半を

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3-へウレル(エルビル)見聞記

滞在日数が短くあまり外に出ることもなかったので、スレイマニに比べると体験できたことは限られている。ヘウレルには、PDKの関係者と会うために一度行く必要があった。当初、交通手段を見つけることができなかった。スレイマニで、世話役の人にヘウレルに駐在する領事である外務省参事官との会食に招待された。その後、領事に外務省からシリアに行く可能性がある人物としてマークされていると伝えられた。その領事はその翌日ヘ

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2-ハラブジャ見聞記

2-ハラブジャ見聞記

スレイマニに滞在して数日、現地の平和団体の方が案内してくれるということで、ハラブジャへ行くことになった。ハラブジャは、イラン・イラク戦争末期、決起したクルド人にサダム・フセインが毒ガス攻撃「アンファール作戦」実施を命令し、親族でイラク軍将軍アリー・マジードが実行した地として非常に有名である。クルド人は、「ヒロシマナガサキハラブジャ」とこの事件を位置づけ、日本にシンパシーを感

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スレイマニ見聞記

スレイマニ見聞記

東京ースレイマニの往復チケットを買った関係で、スレイマニへの滞在日数がダントツで長かった。空港から市内への距離は近く、道がわかり軽装備なら歩いてでも市内へいける。スレイマニでは、「クルディスタン愛国者連盟」(以下YNK)の政治局員で、日本と縁深い方が、世話をしてくれることになっていた。YNKは、「クルディスタン民主党」(以下PDK)と並ぶクルディスタン地域二大勢力の一つだ。スレイマニ空港に到着し迎

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はじめに

本稿は、イラクのクルディスタン地域に、2017年3/1から3/21の約三週間滞在した記録の一部である。そこは、少数民族クルド人が、イラク国家の枠内にあって半独立の「地域政府」を組織し、軍隊をもち自衛しながら自治を行う地域である。何故、クルディスタンかと言えば、それは約二年前に遡る。2015年1月にシリアのクルド人が、トルコ国境沿いの町コバニでダーイシュ(アラビア語圏でのイスラム国の略称)の包囲を耐

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