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今年のネウローズも大盛り上がり トルコの目論見は失敗か

 埼玉の秋ヶ瀬公園で開催されたクルド人の新年祭「Newroz(新年の意)」に参加してきました。2月あたりではまだ、ヘイト投稿に煽動された人たちが役所に電凸するなどして開催が危ぶまれていました。その後、在日クルド人支援者の方々のご尽力により、妥協案が成立し開催にこぎつけ本当に良かったと思います。

さて当日、会場に向かうと最初に目に入ったのは、多くの警察車両と大勢の警察官です。

まあ、察しはついていましたが、会場に到着するとその理由はすぐに判明しました。

最近、川口周辺でヘイトデモをやっている集団が、ここにも妨害行動をしに来ていたのです。わざわざ川崎から来ているそうです。私が到着した時点では、中年男性が警察に行く手を阻まれながらも、「テロの祭りをやめろ」などとクルド人たちに罵声を浴びせる場面が見られました。

大多数のクルド人及び日本人の参加者は、静観、嘲笑といった感じでしたが、なかには激高したクルド人もいて周囲に宥められていました。その後、クルドのフォークダンスが始まると、音楽や歓声により彼らのシュプレヒコールはほぼかき消されていきました。

終始、警察の皆さんががっちりと行く手を阻み、小競り合いのような動きはありませんでした。ある意味、彼らも警察に守られていたわけです。あと、日本人の有志が、ロジャバ(シリアのクルディスタン)の三色旗を掲げ対抗していました。

彼らのシュプレヒコールのなかで一番面白かったのが、「トルコ政府が嘘をついているというのか!」というものです。私含め、参加者を爆笑の渦に巻き込みました。トルコは教育においても、誤った歴史を教えているほどです。惜しむらくは、フェイク大国のロシアよりも嘘が下手なことでしょうか。とにかく少しでも事情を知っていれば、トルコ側の言説をそのまま受けとることはあり得ません。

報道陣…これはほんのごく一部

去年からSNS上でクルド人ヘイトがバズったせいか、報道陣の数も例年より多かった気がします。通常、夕方のニュースの小ネタ程度の扱いなのですが、今年は中継のようなことまでしているテレビ局もありました。

昼過ぎ、瞬く間に黒雲が空を覆い雨が降ってきました。私のような情けない人間はすぐ撤収の準備にはいるのかな…と思っていたのですが、クルド人は雨が蒸発するほどますます情熱的に踊っていました。一方、カウンター集団のほうを一瞥すると、先ほどまで翻っていた日章旗・旭日旗が無くなっているではありませんか。私も踊りに参加していたので、その時点では撤収したのか確認はできたなかったものの、「何と言われようと日本を守る(彼らの会話より)」と息巻く割には大和魂が足りないのではないかとクルド人と笑い合いました。結局、雨はすぐ止みました。

その後、警察関係者の方をお話させて頂きました。県警としてはやはり、他県から迷惑行為をしにくる集団を快く思っていないようでした。去年まではこれほど多くの警察官が動員されていなかったので、恨み節もむべなるかなという感じです。いわゆる”クルド人問題”については、警察として「トルコ人」「クルド人」のどちらがより問題をおこしているのかというのは把握していないということです。「トルコ国籍者」以上に確認できることはない…当然と言えば当然ですね。トルコをよく知るクルド人の助力がないと、実態解明は難しいと思います。

都合があり私は午後2時半過ぎに撤収しました。カウンター集団がいた場所を通って会場を出ましたが、朝暴れてたおじさんたちはいなくなってましたね。本降りを警戒したのか、賢明にもこれ以上は無駄と悟ったのか。

トルコ側としては、ヘイトスピーチ集団とクルド人がぶつかり合って騒ぎをおこしてくれることを期待していたと思われます。そうすればまた、クルドヘイトネタを作れますから。トルコの目論見とは裏腹に、2016年からネウローズに参加している身からすると少なくとも2020年以降、最高の盛り上がりだったように感じました。クルド人のみならず日本人や他の外国人もともに参加し楽しむ、彼らの掲げる「民主的連邦制」の理念を体現するイベントになったのではないでしょうか。

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