パキスタンでまたクリスチャン襲撃 銃撃事件で死傷者4人

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パキスタンのバローチスタン州でまたマイノリティを狙った悲劇が起きました。州都クエッタ郊外の街マストゥングにあるクリスチャン居住区で男が銃を乱射し死傷者が出たと報じられたのです。


筆者がバローチスタン訪問時に知り合ったクリスチャンの権利運動に携わる活動家によると、突然バイクに乗った二人組がクリスチャン居住区現れ、4人を銃撃したということで、そのうち3人は子供だったといいます。

クリスチャンゲートコミュニティ

(州都クエッタのクリスチャン居住区、今回の事件とは無関係)

今回の事件では1人が死亡しましたが、バローチスタン州議会の少数民族・宗派の元議員の兄だったということです。その元議員も数年前に銃撃され亡くなっていました。

執筆時点では、まだどの組織も犯行声明を出していません。しかし、少数派を狙った犯行が濃厚です。クリスチャンのみならず、バローチスタン州ではイスラム過激派による少数派を狙ったテロが相次いでいるからです。隣国アフガニスタンから逃れたモンゴル系ハザラ人もシーアということで、度々自爆テロなどの被害にあっています。バローチスタン州内ではイスラム国を名乗るテロリストがテロを起こしたこともあり、隣国アフガニスタンと行き来しているとみられています。

少数派襲撃の背景には、バローチスタン州の事情もあります。「バローチスタン」という州名が示すように、パキスタンの少数民族バローチ人が多数を占める州です。パキスタン建国当初から独立運動や民族問題をめぐるいざこざが絶えません。こうした中で、少数派の活動を恐怖によって抑えるため、イスラム過激派が利用されていると疑う人は少なくないのです。今回もそのような背景により事件が発生したのか、捜査が求められます。



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