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相次ぐPKKによるトルコ軍無人機の撃墜…イランが兵器・技術を供与?
ここ数か月、クルディスタン労働者党(PKK)のメディアが相次いで、トルコが誇る無人機を撃墜する映像や残骸を公開しています。それもかの有名なバイラクタルTB2だけではなく、ANKAやAkıncıも撃墜されているということです。トルコはイラクと歩調を合わせPKK掃討の大攻勢をかけると息巻いていましたが、冷や水を浴びせられることになっています。
かつてトルコは無人兵器がPKKの精神を破壊したと誇っていました。今では連日の無人機破壊にトルコの方が精神を削られているようです。一体何が起きているのでしょうか?
PKKは戦果を誇りつつも具体的なことは明らかにしていません。PKKのメディアは、ゲリラがトルコのテクノロジーに苦戦しつつも現場の努力で対策を見出したとしています。しかし、対ドローン兵器・システムは世界各国が鎬を削る分野であり、PKKの努力だけで獲得できるようなものではありません。いずれかに国が支援しているというのは明白です。
こうしたなかでトルコメディアが唱えているのが、イランなどによる支援説です。
内容を要約すると、イラクのクルディスタン地域でスレイマニを中心とする南部を支配するクルディスタン愛国者連盟(PUK/YNK)が、イランやアメリカ、ドイツから供与された対無人機防衛システムをPKKへ横流ししているというものです。
YNKは確かにPKKと友好関係にあり、支配地域内にはPKKの拠点もあります。私が現地を訪問した2017年もPKKがスレイマニ市内でデモをしていました。また、クルディスタン地域でトルコの諜報機関、国家情報機構(MiT)のスパイがPKKに捕まるという事件についても、関係者によれば、YNKが情報をPKKに提供したということです。YNK経由という話は一応筋は通っています。
ただ、明確な証拠は示されていませんので、あくまでトルコ側はイランの関与を疑っているということしか事実はありません。この話が事実だとして、イランがPKKに無人機分野で支援を行う理由は何でしょうか。
トルコとイランは比較的安い費用の無人機市場で互いを競争相手としています。”ドローン戦争”とも形容されるウクライナでは、ウクライナ側がトルコのバイラクタルなどを投入し、一方のロシア側はイランのシャヘドなどを使用しています。
トルコの憶測が事実とすれば、イランはPKKを使い対無人機システムの実戦テストをしながら、ナゴルノ・カラバフ戦争以来、名声を得てきたバイラクタルなどの評判を落とそうとしているでしょうか。
中東は誠に複雑怪奇であります。
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