Book end 1 絶望を抱いて
私は本屋に立ち寄るのが好きです。時間さえあれば必ずといっていいほど見かけた本屋へ入っていきます。
しかし良い本に巡り会えたらいいなとワクワクとした期待を持って行くのではなく、どちらかといえば絶望感に似た気持ちを抱いていることの方が多いのです。
そんな絶望した気分を救ってくれる何かがここにあるのだろうか?とまるで処方箋を探すように、本棚に目を凝らしながら店内をゆっくりと歩きます。
しかし大抵は、いくつか本を開いて覗いてみても心がスッと軽くなるような内容は書かれていないのです。
ではこの絶望感の正体は一体何なのだろう。と考えます。次第に、本棚を一点に見つめながら、自分自身と向き合う時間が静かに流れ始めます。
絶望感とはやり場の無い感情、つまり捨てることも誰かと共有されることもない気持ち。それは好きな仕事をしていても幸せな家庭を持っていても少なからず皆抱いているのではないでしょうか。私の場合、焦燥感のようなものが常に頭の中に漂っています。
結局のところ、人はどこまでも一人だということを痛感させられる時間です。
私たちは自身の人生を限りなく幸せな人生にしたいと考えます。高い目標を掲げては、より良い土地を探して、日々歩き続けます。果てのない道を命尽きるまでずっと…。そんな孤独な日々を少しでも共有できる空間が本屋であって欲しいと私は願っています。
なぜなら絶望感を抱いている人間がここにいるからです。そして沢山の本屋にいると思っています。
ではどうすればそのような絶望感を共有出来るのでしょうか?それについては次回お話しします。
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