祖父の遺産相続の話から、行方不明の叔父の痕跡を追うことになった佳穂。叔父の『最後の住所地』で聞いた話、そして雪国からの手紙。わずかな手がかりを元に旅先で佳穂が見つけたものとは、、、
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短編小説|「枝葉」 (第2話/全7話)
その4日後。覚さんから家に連絡があった。
「佳穂、今から覚さんのところに話聞きに行くけど、あんたも来なさい。暇でしょ。有希ちゃんも行くって」
「暇でしょ、は余計でしょ。まあ、時間はあるから付き合ってもいいけど」
「はいよ、じゃあ車乗って」
私は自分が関わった戸籍収集の結果に興味があった。戸籍というものを見るのも初めてだし、家族の成り立ちについても知りたいと思っていた。
「ええとですね、長
短編小説|「枝葉」 (第5話/全7話)
幸いホテルは2室確保できた。とりあえず、これで今日は風雪をしのげる。そう思うだけで安堵した。ただ、こんな旅でも洋人と一緒というのが気に入らなかったけど。
「そう文句ばっかり言うなよ。おれだって巻き込まれてんだからな」
ホテル向かいの焼き鳥屋でビールを飲みながら洋人も文句を言った。
「確かに。これは我が家の問題だからね。でもさ、嫌だったら断ってもいいんだよ」
「いや、嫌とは言ってない。でもな