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希望通りのキャリアを歩むために私が実践してきたこと

希望通りのキャリアを歩みたい、と誰しもが切望しているのではないでしょうか?もちろん、願いが叶えば良いのですが、こういった相談を受けることが多いため、現実問題としては容易ではないでしょう。

私は社会に出て約20年「3度の転職、5度の異動」を経験している。自慢ではないが、1度を除き、思い描いた通りのキャリアを歩むことができている。もちろん、運に恵まれたということは自分でも理解しているが、「どうすれば望みを叶えることができるのか?」という論点を常に持ち、キャリアという人生の問題に対峙してきた。アメリカ出張の機内で、私が実践してきたことを振り返り、大切なポイントに絞り紹介したいと思う。大切なことは以下の3つに集約される。

1)「辞めてもらっては困る社員になる」こと


最も大切なことは「会社があなたの希望を叶えなければならない状態」を作り上げることだ。通常、会社は優秀な社員をマーキングしており、退職させないためにはどうすればいいのかを検討している。では「辞めてもらっては困る社員」とはどんな社員だろうか。それは「成果を出し続けている社員」である。成果の定義は様々だが、MRなどの営業であれば売上目標の達成が最もイメージしやすいだろう。売上というキーワードを聞いて「それは無理だよ」という言葉が漏れてくるのは当然だ。売上目標は実力に加え運にも左右されるため、力があっても厳しい局面はある。ここで大切なのは、必ずしも「売上目標だけが成果ではない」ということだ。私が意識していたのは、所属する組織が抱える課題、つまり上司が抱えている問題意識である。マネジメント層は売上目標以外にも多くの課題を抱えている。例えば、「若手の育成」「営業所の成功事例」「全社コンクリートの盛り上げ」などなど、自分のポジションを築くため、どうやって上司にアピールするかを常に考えている。どうすれば上司の問題意識を把握できるのか?それは上司の言動を注意深く聞くことだ。それにより旬な課題を察知することができるはずだ。要はその勘所を見抜き、解決してあげればいいのだ。

MRをしていたころ、売上目標との乖離が激しく、未達に終わることが一目瞭然の状況に追い込まれた。当然、目標に近づけるために最善を尽くすのだが、並行して私は「成功事例の創出」に力を注いだ。当時、流行りであった病診連携をテーマにした成功事例だった。結果、支店会議のプレゼンターに選出され、上司からの評価を高めることができた。まずは支店会議のプレゼンターが選出される時期を予め読んでいたこと、当時の支店長がユニークな取り組みを評価する傾向が強かったこと、加えて所長は数字が悪く何かアピールしたいと思っていたことが背景にあった。このように「数字以外でも組織の課題にミートすることで成果を出すこと」はできる。それには普段から「組織が抱える課題や機会に敏感になる」ことが必要だ。

2)「ポジショニングを築く」こと

「辞めてもらっては困る社員になる」ことで優秀な社員としてマークされ希望を叶える確率はグンと上げるだろう。さらに確率を上げるために私が重視したのは「人材ポートフォリオにおける自分のポジショニングの確立」である。つまり、どんな人物として周囲から認知されているのか?ということである。優秀だという認知は重要だが、特徴がなければ人の頭に残らないことも多い。私がMRをしていた時代は数千人規模の中での戦いだったため、余計にその意識を強くせざるを得なかった。また、特定の部署に行きたい場合、「〇〇さんは△△が強い人だよね」など「レッテルが貼られていることで受け入れ先のニーズにマッチする可能性も高まる」。例えば、「顧客にはとことん強い」「論理的思考力が高い」「サイエンスにはめっぽう強い」などレッテルが貼られていて、該当部署にそのニーズがあればマッチング確率は高まる。

私の事例を紹介しよう。プレゼンが下手で、人前に出ることが好きではないため、私は報告書の作成に力を注いだ。ユニークな成功事例を報告書にすることがポイントだった。他のMRが考えていないようなアプローチ方法を駆使して成功を演出することにより注目度は高まった。病診連携が一つの事例だ。もう一つ私が実践していたのは、新しい期がスタートするまえに報告書の概要を仕上げていたことだ。通常、期が始まる数カ月前に活動プランを策定する。私はプランに加えて「将来レポートする予定の報告書をストーリー仕立てで10本ほど作成」して「さらにそれを忠実に実行していた」。つまり、「半年間の活動を具体的にイメージしていた」ということだ。もちろん、うまくいく確率はそこまで高くはないが、3割程度はストーリーの通りに活動が実施できて魅力的な報告書を作成することができた。そうして私は「成功事例を創出するクリエイティブな人」というレッテルを自分に貼ることができた。

3)「自分の固い意志を発信する」こと


最後に、大切なのは「希望する自分の道を公言し続ける」ことだ。日本人は恥ずかしがりやで、個人の希望を上司以外に発信することを避ける傾向があると思う。上司以外に伝えたとしても”時々漏らす”くらいのレベルなのだ。これでは何も伝わらないと思う。私自身は上司も含めて自分の希望する部署や何を成し遂げたいのかを公言し続けてきた。当時、私のような若くたいした力もないMRが本社のマーケティングに入りたいなど鼻で笑っていた人もいただろう。しかし、自分の進む道に周囲の声は関係ないのだ。また、上司は必ずしも自分の希望を記憶しているとは限らず、異動を希望する部署も含めて記憶に残るレベルまで、公言し続けることは極めて重要である。公言することで自分にもプレッシャーがかかりモチベーションも高まることだろう。言葉は力を与えてくれるのだ。それに加えて、当然のことだが「上司に強く交渉する」ことだ。私は、希望部署を伝え続けると共に、叶わない場合は退職の可能性があることを匂わせてきた。ただし、注意すべき点がある、「交渉内容は強気に、態度は最大限下手にすること」だ。上司への強気な交渉は「生意気」「要求が多い」などネガティブな印象を形成してしまうリスクがある。ここはヘッジしておくべきなのだ。そして、前提条件として非常に重要なのが「あなたが辞めてもらっては困る社員」かどうかだ。この条件が揃ったとき、交渉力は最大化され、希望する部署への異動が叶う確率は最大値になるのだ。


以上、私が実践してきたことのエッセンスをまとめみた。希望通りのキャリアをつかみ取ることは、容易ではないと思う。異論反論はあるだろう。しかし、緻密な計画と粘り強い実行力があれば、その確率を最大限高めることができるのではないかと思う。そして、最後に悩んでいるみなさまに伝えたい。「現在、与えられた役割でどれだけ抜きん出た成果を出せるのか?」これこそが将来を決める最も重要なことだと私は思っている。20代の頃、恩師の1人の言葉は今でも鮮明に残っている。「出た杭は打たれるが、出過ぎた杭は誰も打てない。お前はそれになれ」という言葉だった。中途半端な成果では自分の夢は叶えられないのだ。恩師の恩師である東京大学・黒川清さんの言葉であり、今でも大切にしている。

機内で書いていたため、ホテルに到着して、フラフラしながら最後の文章を書き終えたので眠りたいと思う。お付き合いいただきありがとうございました。


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