【小説】健子という女のこと(17)
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「次は下呂!下呂に停車しま~す!」
冴子は、車内放送で眠りから覚めた。高山本線は飛騨川の蛇行に沿って敷設されている。列車は右に左によく揺れた。丁度、ゆりかごで揺られているみたいで、祭り見学の疲れもあって、冴子はすっかり寝込んでしまっていたようだ。
「おばさん!何か夢でも見ていたようですね・・・」キーボードの若者が、別れ際に声をかけてきた。怪訝そうに振り向く冴子に、「何度もごめんなさい!ごめんなさい!って誰かに、謝っていた