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[作品紹介] "KARASUYAMA"/Yoshihiro Nakagawa

私の本名名義での初音源となります。

本記事では、私自身の簡単な解説と、2名からお寄せいただいたコメント、リリース媒体の情報、についてお伝えします。

自身の振り返り

日本でのジャズミュージックはすっかり広まり、昼は喫茶店で、夜は居酒屋でBGMとしても流れています。(小型スーパーマーケットの「まいバスケット」なんかもなかなかいい…)
そして、日本人が演奏する際にも、当たり前ながら本国アメリカのジャズのフォーマットをそのまま演奏するのが基本となっていますが、私はこの点に対して今さらながら疑問を持ちました。

「もし日本的な感性、例えば"侘び寂び"の美意識に立脚したジャズミュージックがあるとすれば、どのようなものだろうか。」

この問いへの1つの解として、本作品は位置付けられます。

また、身近な芸術環境を生かした作品づくりを実践すべく「徒歩圏内にある竹林公園」を題材として取り上げ、そこに流れる音(鳥の囀り、竹林が風でそよぐ音、水流、上空を飛ぶ飛行機など)を録音し、それらとの対話やセッションをしています。

これらのコンセプトに通底するのが「サウンドスケープ」という思想です。学問的には「音響生態学」と言われるとおり、音から生態系を捉えていくという考え方です。
つまり、音に気付くことをきっかけに、環境やつながりを実感していくことともいえます。仏教でいうところの「サティ」(日本語だと「念」「気づき」)を中心に捉えることで、時間を漠然としたものにして、個々人が持つ自然体の五感を蘇らせることにつながるのではないかと考えています。

常々言い尽くせないことを様々織り込んで作品にしますが、今回は思想を作品に落とし込む感覚が顕著でした。アイデンティティの再構築とでもいいましょうか、幼少期や青春期の衝動とは異なる、これから枯れていく行く末に、日本的な感性という少しばかりの夢を持ち、語らせていただきました。

聴いていただき、境目が滲むことで生まれる"気づき"との出逢いを願っています。

[アートワーク]フィールドレコーディングした現場である烏山公園をモチーフに制作。撮影は落合四郎氏、デザインは小池太輔氏。

[参考資料]
・レナード・コーレン『wabi-sabi』
・原研哉『白』
・岡倉天心『茶の本』
・鳥越けい子『サウンドスケープ:その思想と実践』
・ヘンリー・デイヴィッド・ソロー『ウォールデン森の生活』
・細野晴臣『アンビエント・ドライヴァー』
ほか



ライナーノーツ(抜粋)

続いて、作品を補完する紹介をご紹介します。もはや死語となりつつある「ライナーノーツ」という、要はCDに同封されているレビューブック的なものを、馴染みの深いお二人から寄稿していただきました。

中川は、抹茶の代わりにサックスを点ててこの小宇宙茶会を繰り広げていた。その豊かな響きに、私たちは自然とその茶の効能を感じ取る。そして少し穏やかになった自分を少し未来から見ているような気がする。

鶴岡龍(LUVRAW)

環境音ならびにフィールドレコーディングに関する書籍が近年発売が続いていたが、器楽と環境音のミックスに関する理論書のようなものはおそらく存在しない。今回ここ(内容はレビュー全文版を参照)で書いたことは試論であり裏付けも無い内容なので鵜呑みはしないでもらいたいが、ともあれこの『KARASUYAMA』は美しいと同時にここからアイデアをいくつも取り出すことのできる作品だと思う。推薦します。

hikaru yamada

※全文は以下の特設サイトに掲載しています



リリース媒体について

フィジカル:カセットテープのみ

リリースするフィジカル媒体は、カセットテープのみです。直販サイトから購入できます。
Cassette Week Japan 2024 参加作品です。
(DLコード特典付き)


デジタル:bandcampまたはオンラインストア

デジタルでの配信はbandcampまたはレーベル直販サイトからとなります。各種サブスクには出しません。

※以下、bandcamp

※以下、直販サイト




最後に

2010年代を商業音楽中心に活動し、インディペンデントな方向にシフトし、そして今回は既存の音楽から一旦離れ、思想をベースにして再度音楽的なアプローチで表現するという流れで制作しました。

さいごに、カセットテープやbandcampに馴染みはないけど、「興味がある!」「応援してもいいよ!」「竹林最高!」というnoteベースな方々に向けて、本記事の有料部分にmp3データを貼り付けておきます。
(ちなみにmp3のみなので上記のbandcampなどよりお安いです)

売上の一部は、フィールドレコーディングを行った竹林の保全活動に寄付されます。

ここまでご覧いただきありがとうございました。応援、お気持ちを賜れれば幸いです。


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