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商標法43条の4 申立ての方式等

1.条文解説など

 登録異議申立の際には、登録異議申立書を特許庁長官に提出します(商43条の4第1項)。

 登録異議申立書の補正では、原則として、要旨変更ができません。例外として、商標掲載公報発行日から2月経過後、さらに30日経過するまでの補正は、要旨変更ができます(商43条の4第2項)。要旨変更補正の際には、異議申立理由や、証拠の追加や変更ができます。

 審判長は、登録異議申立書の副本を商標権者に送付します(商43条の4第4項)。送達ではなく送付なので、副本が送られても、何らかの法律上の権利関係は発生しません。

 商43条の4第3項では、特許法4条と同じ趣旨の規定を設けています。
この部分は特許法4条の規定の準用でも良いかと思います。
しかし、①商標掲載公報発行日から2月経過後、さらに30日経過するまでの期間は要旨変更補正を認めているので、特許法4条とは状況が異なること(商43条の4第2項)、②特許法4条と同じように公平の観点から延長を認める必要があること、から、商43条の4第3項を設けたものと思われます。

2.登録異議申立時の証拠等

 商標権に対する登録異議申立(商標法43の2)を行う場合、特許庁に登録異議申立書を提出します(商標法43の4)。

登録異議申立書には、
①登録異議申立人及び代理人の氏名又は名称及び住所又は居所、
②登録異議の申立てに係る商標登録の表示、
③登録異議の申立ての理由及び必要な証拠の表示、
を記載します(商標法43の4)。

これらのうち、証拠を集めるのには時間がかかるのが普通です。状況によっては、証拠収集に数か月かかることもありうると思います

一方、商標登録異議申立の申請期間は、商標掲載公報の発行の日から二月以内です(商標法43条の2第1項)。

このため、証拠が完全に揃うまで待っていいると、商標登録異議申立の申請期間が終わってしまいます

 しかし、商標法43条の15で準用する特許法133条によると、異議申立書のの内容不備がある場合には、請求人に、相当の期間を指定した請求書の補正命令がなされます。

つまり、商標登録異議申立を申請する際には、上述の「③登録異議の申立ての理由及び必要な証拠の表示」以外を記載して申請書を提出して、事後的に「③登録異議の申立ての理由及び必要な証拠の表示」を補充する方法もありそうです。

もしかしたら、商標登録異議申立を申請時には、証拠等以外を記載した申請書に、特許の審判関連手続きでは良く聞く「追って補充する」という文を記載して提出するのが普通なのかもしれません。


・商標法43条の4

(申立ての方式等)
第四十三条の四 登録異議の申立てをする者は、次に掲げる事項を記載した登録異議申立書を特許庁長官に提出しなければならない。
一 登録異議申立人及び代理人の氏名又は名称及び住所又は居所
二 登録異議の申立てに係る商標登録の表示
三 登録異議の申立ての理由及び必要な証拠の表示
2 前項の規定により提出した登録異議申立書の補正は、その要旨を変更するものであつてはならない。ただし、第四十三条の二に規定する期間の経過後三十日を経過するまでに前項第三号に掲げる事項についてする補正については、この限りでない。
3 特許庁長官は、遠隔又は交通不便の地にある者のため、請求により又は職権で、前項に規定する期間を延長することができる。
4 審判長は、登録異議申立書の副本を商標権者に送付しなければならない。
5 第四十六条第四項の規定は、登録異議の申立てがあつた場合に準用する。


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