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TRIPS協定23条 ぶどう酒及び蒸留酒の地理的表示の追加的保護

 TRIPS協定23条は、ぶどう酒又は蒸留酒を特定する地理的表示がその場所を原産地としないぶどう酒又は蒸留酒に使用されることを防止するため規定です。

 重要なのは、TRIPS協定23条の規定は、「真正の原産地について公衆を誤認させるような場合」に限られないという点です。これは、TRIPS協定の交渉でECが重要視したポイントのようです。例えば、南米産ぶどう酒に「ブルゴーニュ風〇〇」みたいな表示を付するのはNGです。

 また、同じ地理的表示を用いるぶどう酒が複数種類有る場合も考えられます。TRIPS協定23条(3)は、このような場合に備えて、これらの複数種類の表示のそれぞれへの保護と、これらの複数種類の表示のそれぞれが相互に区別される必要があることを規定しています。

 なお、TRIPS協定23条(3)(4)はぶどう酒のみを対象とし、蒸留酒は対象としていません

・TRIPS協定23条 ぶどう酒及び蒸留酒の地理的表示の追加的保護

(1) 加盟国は,利害関係を有する者に対し,真正の原産地が表示される場合又は地理的表示が翻訳された上で使用される場合若しくは「種類(kind)」,「型(type)」,「様式(style)」,「模造品(imitation)」等の表現を伴う場合においても,ぶどう酒又は蒸留酒を特定する地理的表示が当該地理的表示によって表示されている場所を原産地としないぶどう酒又は蒸留酒に使用されることを防止するための法的手段を確保する。(注)
(注)
加盟国は,これらの法的手段を確保する義務に関し,第42条第1段の規定にかかわらず,民事上の司法手続に代えて行政上の措置による実施を確保することができる。
(2) 1のぶどう酒又は蒸留酒を特定する地理的表示を含むか又は特定する地理的表示から構成される商標の登録であって,当該1のぶどう酒又は蒸留酒と原産地を異にするぶどう酒又は蒸留酒についてのものは,職権により(加盟国の国内法令により認められる場合に限る。)又は利害関係を有する者の申立てにより,拒絶し又は無効とする。
(3) 2以上のぶどう酒の地理的表示が同一の表示である場合には,第22条(4)の規定に従うことを条件として,それぞれの地理的表示に保護を与える。各加盟国は,関係生産者の衡平な待遇及び消費者による誤認防止の確保の必要性を考慮し,同一である地理的表示が相互に区別されるような実際的条件を定める。
(4) ぶどう酒の地理的表示の保護を促進するため,ぶどう酒の地理的表示の通報及び登録に関する多数国間の制度であって,当該制度に参加する加盟国において保護されるぶどう酒の地理的表示を対象とするものの設立について,貿易関連知的所有権理事会において交渉を行う。

●参考文献
・荒木好文(著)『図解TRIPS協定』(発明協会, 2001)

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