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特許法 特許権の価値のカタチ☆

 特許権の価値を評価する際には、ライセンス料をどれだけ得られているか、という観点があります。また、特許権の価値評価では、他社事業をどれだけ妨害できているか、という観点もあります。

 他社事業をどれだけ妨害できているかという観点から考えると、他社が回避しにくい(回避コストが高い)特許権の方が良いと言えます。

 特許権が成立すると、他社は、ほぼ100%その特許を回避しようとします。
また、他社は、経済的価値が高い特許ほど、特許権を回避しつつ、その特許発明を利用しようとします(経済低価値が低い発明は実施されないので、この問題は生じません)。仮に、特許権の回避ができた場合であっても、回避のための時間を強いたり、製品コストを上昇させることを強いたのであれば、「他社への競争優位性を保つという意味で、特許に価値がある」ともいえます。

 特許権の回避について踏み込むと、特許権の回避とは、特許権侵害にならないようにする、ということです。ここで、特許権侵害になるか否かは、請求項の構成を満たしているか否かで決まります。そして、請求項が有する構成は少ない方(短い方)が直接侵害になる可能性は上がります。一方、間接侵害になる可能性は、構成の数が多い方が上がります。このため、直接侵害に該当するからライセンス料を払えという流れではなく、他社の足止めをするという観点では、請求項の構成数が多い場合でも使い方はあります

 さて、特許権を使う上では、自社事業と他社事業の関係が大切です。したがって、特許出願するか否かの検討においても、最低限、発明者から、(i)今後の開発計画(予定)を聞く、(ii)競合他社の動きを聞く、(iii)自社事業で展開しうる形(実施形態)を聞く、事が大切になります。

 なお、自社側が他社の特許権を回避する際には、クリアランス調査というのを行います。このクリアランス調査は、自社の事業領域の価値がマイナスになる可能性を取り除くのが目的です。一方、防衛出願は自社事業領域の1を維持するために行います(自社事業領域でなければ0を維持することになります)。

 これらのクリアランス調査や防衛出願にはお金をかけたくない、クリアランス調査や防衛出願の費用を削減したい、という意見もあるようです。たしかに、防衛出願やクリアランス調査は、ライセンス収入と比較すると費用面でマイナスにしかならないようにも思えます。しかし、防衛出願には、ライセンス収入を得られる領域を守るという意味もありますので、防衛出願費用が完全に無駄というのは、誤りと思います。つまり、防衛出願によって守られる自社事業領域の1を、10などに増やせるのが自社事業の拡大やライセンス収入になるわけです。

●過去記事
特許法 直接侵害の可能性と、間接侵害の可能性
特許法 特許を回避するためのコスト
特許法 殆どの特許権は回避される
特許法 クリアランス、防衛出願、ライセンス

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