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特許法50条 拒絶理由通知☆

 拒絶理由がある場合、拒絶理由通知がなされます。
試験では、最初の拒絶理由通知であるか、最後の拒絶理由通知であるか、について注意してください。

1.条文解説

・趣旨
 審査官が拒絶理由があるとの心証を得た場合においても、何らの弁明の機会を与えずに直ちに拒絶査定をすることは出願人にとって酷であり、審査官も過誤を犯すおそれがないわけではないから、出願人に意見を述べる機会を与える一方で、明細書等を補正して拒絶理由を解消する機会を与え、同時に意見書を資料として審査官に再考をするきっかけを与えて特許出願手続の適正妥当な運用を図るために、拒絶理由は通知される(参考:東京高判平5.3.30(平3(行ケ)199号))。

・意見書
 意見書とは、審査官の拒絶理由通知に対して、出願が拒絶理由に該当しない旨の出願人の意見を陳述する書面をいいます。指定された意見書提出期間内(50条)に提出すべきことに留意すべきです(期限内に提出しないと、拒絶査定になります)。拒絶理由に該当することを理由に直ちに拒絶査定をするのでは出願人に酷であり、出願人に弁明の機会を与えるべく、拒絶理由を通知して意見書を提出する機会を与えることとしています。

最初の拒絶理由通知
 (1)出願人が最初(1回目)に受ける拒絶理由通知
 (2)通算2回目以降であっても、拒絶理由通知に対する応答時の補正によって通知することが必要となったもので「ない」拒絶理由を通知する場合は、「最初の拒絶理由通知」となります。

最後の拒絶理由通知
 原則として最初の拒絶理由通知に対する応答時の補正によって通知することが必要になった拒絶理由「のみ」を通知するものをいいます。逆に考えると、補正を行っていない場合、最後の拒絶理由通知は来ません。

 試験とは直接関係ありませんが、最後の拒絶理由通知には、以下のように「最後」と記載されています。このため、最後の拒絶理由通知か否かは、拒絶理由通知書を見ればわかります。

 最後の拒絶理由通知がどういうモノかを確認したい場合、弁護士ドットコム株式会社の特開2022-021710号(発明名称:電子契約プログラム、情報処理装置及び情報処理方法)では最後の拒絶理由通知がなされていますので、そちらを参照してください。

・通算2回目以降であっても「最初の拒絶理由通知」とすべき場合
 (1)1回目の拒絶理由通知をするときに審査官が指摘しなければならないものであったが、その時点では発見できなかった拒絶理由を通知する場合
 (2)1回目の拒絶理由通知において示した拒絶理由が適切でなかったために、再度、適切な拒絶理由を通知しなおす場合

 ただし、単一性違反のみや、記載不備のみを指摘され、特許要件の審査をしていなかった場合であっても、補正により単一性違反等の理由は解消したが、その後の審査で新規性、進歩性違反となったものについては、最後の拒絶理由通知がなされます。明白な新規事項追加も同様です。

2.拒絶理由通知は(条文上は)文書によって通知されるとは限らない

 特許法50条では、「審査官は、拒絶をすべき旨の査定をしようとするときは、特許出願人に対し、拒絶の理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。・・・。」と規定されています。

 一方、特許法53条2項では、「前項の規定による却下の決定は、文書をもつて行い、かつ、理由を付さなければならない。」と規定されています。

つまり、拒絶理由通知は、(条文上は)文書をもって行われるとは限りません。一方、補正却下決定は、文書をもって行われます(特許法53条2項)

 なお、特許法で「文書」という単語が含まれるのは、特許法22条2項、52条1項、53条2項、86条1項、120条の6第1項、133条4項、133条の2第3項、143条2項、149条4項、157条2項、です。

・特許法50条

(拒絶理由の通知)
第五十条 審査官は、拒絶をすべき旨の査定をしようとするときは、特許出願人に対し、拒絶の理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。ただし、第十七条の二第一項第一号又は第三号に掲げる場合(同項第一号に掲げる場合にあつては、拒絶の理由の通知と併せて次条の規定による通知をした場合に限る。)において、第五十三条第一項の規定による却下の決定をするときは、この限りでない。

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