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経済安保推進法(案)67条 内閣総理大臣による保全審査

 特許出願は、技術分野等によって一次選別(一次審査)され、内閣に送られ、保全審査(二次審査)が行われます(本条1項)。

 本条の保全審査における考慮要素は、
  ①国家及び国民の安全を損なう事態を生ずるおそれの程度、
  ②保全指定をした場合に産業の発達に及ぼす影響その他の事情、
です(本条1項)。

 保全審査では、技術内容を詳しく審査する必要がありますので、①出願人への資料の提出や説明を求めること(本条2項)、②専門知識を有する者(以下、専門家といいます)の協力を得ること(本条3項、4項)、③関連行政機関の長と協議すること(本条6項)、ができます。

 専門家(特に国の機関所属ではない専門家)の協力を得る際には、専門家には、専門家の同意のもと、秘密保持義務が課されます(本条5項、8項)。この秘密保持義務は、関連行政機関の長にも課されます(本条7項)。

 保全指定をすると内定した場合には、保全指定をする前に、特許出願人に対して特許出願を維持するか否かを確認します(本条9項)。保全すると内定した出願を維持する場合、特許出願人は、確認を受けた日から14日以内に、内閣に所定の書類を提出しなければなりません(本条10項、11項)

・経済安保推進法(案)67条 内閣総理大臣による保全審査

(内閣総理大臣による保全審査)
第六十七条 内閣総理大臣は、前条第一項本文又は第二項の規定により特許出願に係る書類の送付を受けたときは、内閣府令で定めるところにより、当該特許出願に係る明細書等に公にすることにより外部から行われる行為によって国家及び国民の安全を損なう事態を生ずるおそれが大きい発明が記載され、かつ、そのおそれの程度及び保全指定をした場合に産業の発達に及ぼす影響その他の事情を考慮し、当該発明に係る情報の保全(当該情報が外部に流出しないようにするための措置をいう。第七十条第一項において同じ。)をすることが適当と認められるかどうかについての審査(以下この章において「保全審査」という。)をするものとする。
2 内閣総理大臣は、保全審査のため必要があると認めるときは、特許出願人その他の関係者に対し、資料の提出及び説明を求めることができる。
3 内閣総理大臣は、保全審査をするに当たっては、必要な専門的知識を有する国の機関に対し、保全審査に必要な資料又は情報の提供、説明その他必要な協力を求めることができる。
4 内閣総理大臣は、前項の規定により十分な資料又は情報が得られないときは、国の機関以外の専門的知識を有する者に対し、必要な資料又は情報の提供、説明その他必要な協力を求めることができる。この場合においては、当該専門的知識を有する者に発明の内容が開示されることにより特許出願人の利益が害されないよう、当該専門的知識を有する者の選定について配慮しなければならない。
5 内閣総理大臣は、前項の規定により国の機関以外の専門的知識を有する者に対し必要な資料又は情報の提供、説明その他必要な協力を求めるに当たり、必要があると認めるときは、その者(補助者の使用の申出がある場合には、その者及びその補助者。以下この項において同じ。)に明細書等に記載されている発明の内容を開示することができる。この場合においては、その者に対し、あらかじめ、第八項の規定の適用を受けることについて説明した上、当該開示を受けることについての同意を得なければならない。
6 内閣総理大臣は、保全指定をするかどうかの判断をするに当たり、必要があると認めるときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議することができる。
7 第四項及び第五項の規定は、前項の規定により協議を受けた関係行政機関の長について準用する。この場合において、第四項中「前項の規定により十分な資料又は情報が得られないとき」とあるのは、「第六項の規定による協議に応ずるための十分な資料又は情報を保有していないとき」と読み替えるものとする。
8 保全審査に関与する国の機関の職員及び第五項(前項において準用する場合を含む。)の規定により発明の内容の開示を受けた者は、正当な理由がなく、当該発明の内容に係る秘密を漏らし、又は盗用してはならない。
9 内閣総理大臣は、保全指定をしようとする場合には、特許出願人に対し、内閣府令で定めるところにより、第七十条第一項に規定する保全対象発明となり得る発明の内容を通知するとともに、特許出願を維持する場合には次に掲げる事項について記載した書類を提出するよう求めなければならない。
一当該通知に係る発明に係る情報管理状況
二特許出願人以外に当該通知に係る発明に係る情報の取扱いを認めた事業者がある場合にあっては、当該事業者
三前二号に掲げるもののほか、内閣府令で定める事項
10 特許出願人は、特許出願を維持する場合には、前項の規定による通知を受けた日から十四日以内に、内閣府令で定めるところにより、同項に規定する書類を内閣総理大臣に提出しなければならない。
11 内閣総理大臣は、前項の規定により提出された書類の記載内容が相当でないと認めるときは、特許出願人に対し、相当の期間を定めて、その補正を求めることができる。

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