【第一話】魔女はかく語りき
魔法の存在を識ったのは、丁度十歳を迎えた位の頃だったろうか。
夏休みの暮れに、田舎の祖母の屋敷に訪れた時だった。
まじないの類いを嫌う両親が、麓に買い出しに出掛けている間に、祖母が或"儀式"を私に見せてくれたのだ。
儀式と謂っても、血塗れのおどろおどろしいものや、大掛かりなものではない。
それは大体こんな風な儀式だった――――――。
――――――まず、祖母は納屋から腰ほどの長さの注連縄を取り出して来た。
縄は何かに浸けられていたのか、手に取ると湿っぽく質量を増してずっしりとし