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勇人#5「MBA受験 - ハリウッドへの第一歩」

皆さん、こんにちは。ロサンゼルス在住の勇人です。

さて、今回はハリウッド進出への第一歩となるMBA受験について話したいと思います。

エンタメ業界で働きたいという願望を抱く以前に、アメリカでMBA(経営学修士)を取得する事が学生時代からの目標で、せっかくビジネスの世界で生きるのなら、経営学の最高峰であるMBAを取得したいと思っていました。MBAの授業を受けたいと言うよりかは、世界中から来た優秀な人たちと議論しながら2年間一緒に勉強をする、という経験がなんとも魅力的だったのです。文化も商習慣も宗教も違う各国のエリートたちが共通言語であるビジネスの課題解決に向け、議論を重ねて結論を出す、というMBAならではの経験をしたかったのです。卒業してからはエンタメ業界の中で色んな人たちと議論することはあっても、MBAの時みたく、いろんな業界や国から来た人たちと密な時間を過ごして議論する、ということはほとんどありません。

大学生当時は漠然とアメリカでMBAをとってコンサルとして独立でもするかなぐらいしか考えてなかったのですが、実際に受験勉強をはじめ、入試のエッセイを書く時に、何故MBAを取得したいのか、取得後のキャリアゴールは何か、何故この学校なのか、と必ず聞かれるので、具体的に考えるきっかけとなりました。

環境ビジネスに6年従事し、社会的貢献という意味ではとても意味のある仕事だったのですが、個人的なパッションでないことに気づきました。なのでMBA卒業後は好きなことをやろうと決めたものの、その好きなことが全く分からない状態でした。このため、しばらくSoul Searching(自分探し)が続きました。自分は何がしたいんだろう、と。

色々考えているうちに、キラキラした華やかな世界が好きで、芸能界に魅力を感じるミーハーな自分がいることに気づきました。でもビジネスも好きでした。エンタメとビジネスは全く違う世界だと思っていたので、どうしようか悩みました。

そんなある日、たまたま日経アソシエという雑誌がMBA特集をやっていたので読んでいたら、なんと、UCLAの説明欄のところに

「エンタメビジネスに強い」

と書いてあった。

これだ!!

その時感じた衝撃は今でも鮮明に覚えてます。雑誌から後光が差し、音楽が流れ、青天の霹靂だったのを覚えてます。

ずっと悩んでいた事が、この雑誌の特集を読んで一気に解決されたのです。

さて、行きたい業界が決まり、MBAでエンタメビジネスが学べることがわかったので、次に、エンタメビジネスが学べるMBAが他にもあるのかを調べました。メディアやジャーナリズムが学べる学校はあっても、エンタメが学べるところはほとんどなく、色々と調べた結果、UCLA, USC (南カリフォルニア大学)、NYU (ニューヨーク大学)の3校が本格的にMBAレベルのエンタメビジネスが学べて、また、卒業生もエンタメ業界で活躍している学校だということがわかりました。この3校にはフィルムスクールもある、という共通項がありました。どの学校もMBA学生はフィルムスクールの授業をとっても良いことになってました。これもまた魅力。

どうせならエンタメ業界のトップ、ハリウッドで働きたいと思いはじめ、ロサンゼルスにあるUCLAとUSCを比較検討することにしました。ランキング上、フィルムスクールとしてはUSCの方が上で、MBAとしてはUCLAの方が上だったので、エンタメに関係なくMBAとしてもトップレベルの授業が受けられるUCLAを第一志望にしました。

さて、目指す学校も決まり、いよいよ受験勉強を本格的に始めました。予備校に通い、GMATの勉強、エッセイの作成、TOEFLの受験、推薦状の確保、などなど、お金と時間をかけ、夢に向かってその3校にアプライする。

そして結果は。。。

全滅!

はい、見事失敗しました。

合格は「0」校。。。

もちろんここで諦めようとは思わなかったのですが、内心かなり焦りました。というのも、1回目の受験の時はドイツとの合弁会社に出向中で、退職したばかりのドイツ人社長に推薦状をお願いしたので、社内では誰もMBA受験のことを知らなかったのですが、2回目の受験の時は日本人の現役上司に推薦状をお願いすることにしたので(現役上司の推薦状の方が効力があるため)、これでまた落ちたら転職する覚悟でいました。

ま、そういうことで尻に火が付いた私は、何がなんでも2回目は合格しなければならないという状況。UCLAに関しては不合格の場合、何故不合格だったのか問い合わせれば教えてくれるシステムだったので、問い合わせました。

しかし、返信が来ない。。。

忘れられたのかなと思い、焦る。そうこうしているうちに、世界中のMBA校が東京に来て、ブースを出して学校説明をするMBA Fair的なものがあったので、真っ先にUCLAのブースに向かう。そこでアドミッションの方と話し、昨年受験したこと、不合格だったこと、そして理由について問い合わせたが返信がなかったことを説明。そうしたら「え、そうなの?それは申し訳ない。君の名前と連絡先は?」と聞いてくれ、わざわざ名刺の裏にメモってくれた。その時のアドミッション担当は今も忘れはしない、Craigさんだった。

MBA Fair

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MBA Fairのあと、早速Craig(敬称略)にメールを出し、MBA Fairでお会いできて嬉しかったこと、色々と説明してくれて感謝している、不合格理由について教えてください的な事を伝える。

そうしたら、しばらくしてCraigから連絡があり、本当に不合格理由を調べてメールしてくれたのでした。これには感動し、UCLAの素晴らしさを実感しました。内容はGMATの点数が低かったからもう少し上あげるように、エッセイでは何故環境ビジネスからエンタメビジネスへとキャリアチェンジしたいのか、そこで何故UCLAでないとダメなのかについての理由が弱く一貫性がない、ボランティア活動が少ない、退職した元上司より今の上司の推薦状の方が効果がある等、詳しく説明してくれました。

これらの課題を一つずつ克服しながら再受験に臨みました。ちなみに、私の作戦としてはHayato Mitsuishiという受験者を覚えてもらうために、UCLAに関する質問は全てCraigにメールして聞きました。アドミションに関係なさそうなものや他の部署、あるいは他の担当者に聞くべき内容のものでも、あえてCraigに聞くようにし、UCLA受験関連のメールは全てCraigに一本化しました。そのおかげでCraigに覚えてもらい、彼との関係性を築き上げることができました。そして、あとで知ったことですが、私のUCLAへの合格も本当は際どかったのですが、アドミッションのミーティングでCraigがかなり強く私のことを推してくれたので、ギリギリ合格できたそうです。なので、Craigには頭があがりません。。。Craig、ありがとう!

肝心のエッセイでは、なぜ環境ビジネスからエンタメビジネスへキャリアチェンジしたいのかについての理由づけに苦労し、MBA卒業後も環境ビジネスを続けるという内容であれば一貫性があり理由づけも簡単だったのですが、嘘を書きたくなかったのと、書いたとしてもあまりパッションのあるエッセイにはならないと思ったので、そこは正直にMBA卒業後はエンタメ業界に行きたいと書きました。もちろん、願望だけではダメで、そうしたい理由、何故UCLAなのか、そして、それが何故自分だったら実現できるのか等を、説得力のあるエッセイに仕上げる必要がありました。これについてはエッセイの先生とかなり突っ込んだ議論をし、最終的に環境ビジネスに焦点をおかず、下記のロジックで書き上げました。

自分はエンタメ業界で日米をつなげるような仕事をしたい。そのために必要なスキルの多くは、自分の境遇や環境ビジネスを通じて既に培っている。足りないのは、エンタメビジネスに関する知識と環境(チャンス)であり、UCLAで学べばそれらを得ることができる。すでに培われたスキルとUCLAで学んだ知識とチャンスを活かせれば、エンタメ業界での仕事を実現することができる。だから、どうしてもUCLAで学ぶ必要がある。

まぁ、少し強引ではあったものの、これも強い一貫性と理由が必要というCraigのアドバイスに基づいて書いたものです。

Craigに不合格理由を細かく教えてもらったおかげで、2年目の受験の際にはUCLAとUSCの両校に合格し、NYUはWaiting Listという結果になりました。第一志望のUCLAに合格したので、その時点でMBA受験は終了。

そして、ハリウッド進出への現実的な一歩が始まった瞬間でもありました。

では、またVol 6で!

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