北山直

好きなことは、料理を食べること。料理を作ること。物語の本を読むこと。映画を観ること。そ…

北山直

好きなことは、料理を食べること。料理を作ること。物語の本を読むこと。映画を観ること。そして数独です。

記事一覧

水深30cmの溝に落ちた話

ある人の家を探していた。 その家に行く用事があって、スマホのナビで地図を見ながら田んぼのあぜ道を歩いていた。 私の家から歩いていくとしたら、どの道順が合理的なの…

北山直
2週間前
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私は運動ができない(スケート)

「今度の日曜日、スケートに行こう」 「私はスケートをしたことないんだけど」 「大丈夫、私も滑れないから」 10代の頃、私はスケートに誘われた。 スケートと聞いた時…

北山直
3週間前
10

私は運動ができない(跳び箱)

彼女の名前だけは知っていた。 「賞状の伝達を行います」 朝礼で先生がそう言った後、彼女の名前は頻繁に登場していた。 「剣道四国大会優勝」 「剣道全国大会〇位」 高…

北山直
1か月前
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私は運動ができない(球技大会)

小学校の時、私は運動のできる子と友達だった。 その子のおかげか、学校が終わった後、男女合わせて20人ほどでするドッジボールに誘われて、広い空き地でよく遊んた。 …

北山直
1か月前
9

私は運動ができない(運動会)

体育の授業の前の休み時間、運動場の隅っこで、半円形になって数人の女の子がピンクレディの「渚のシンドバッド」を歌っていた。 その囲みの中心に「渚のシンドバッド」を…

北山直
1か月前
15

私は運動ができない(ゴム風船)

テレビとか漫画とかで、チューインガムで風船を膨らます光景を目にしていたが、私はそういうことに憧れていた。 兄はチューインガムで風船を作ってみせ、私に風船の作り方…

北山直
1か月前
16

私は運動ができない#2

私は運の悪い人間だと思っている。 運の悪さを表すひとつに保健体育の先生が中学2年のクラス担任であったことをあげる。 中学2年の期末懇談、担任はこう言った。 「保…

北山直
2か月前
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私は運動ができない#1

子供のころから私は運動ができなかった。 小学校3年生くらいの頃、母から自転車の練習をするようにいわれた。 母は兄が乗っていた子供用の自転車に、赤と白のペンキを塗…

北山直
2か月前
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小説 善悪と彼岸

前説 本作は、遺産相続を依頼した「私」と代理人弁護士の物語です。 弁護士との出会い。そして依頼した弁護士を本人訴訟で訴え裁判に負けるまでを描いた事実をもとにした…

北山直
1年前
16

太陽の塔

アポロ11号が月に降り立ち宇宙飛行士が歩く様子を、私たち家族は小さな白黒テレビの前にかじりついて観た。 その翌年、大阪万国博覧会は開催された。 夏休み。小学校低…

北山直
1年前
23

noteをはじめました

初めての投稿です。 世の中はTwitter、インスタグラム、facebookそしてYouTubeとかが氾濫していますが、私の場合、パソコンが使えない。 正確に言うと、パソコンの使い方が…

北山直
1年前
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水深30cmの溝に落ちた話

水深30cmの溝に落ちた話

ある人の家を探していた。

その家に行く用事があって、スマホのナビで地図を見ながら田んぼのあぜ道を歩いていた。

私の家から歩いていくとしたら、どの道順が合理的なのか等、頭の中で様々なことを考えていたら、右足を踏み外して水深30cmほどの田んぼの用水路に落ちてしまった。

足が痛い。

結局その日はその家に行くのをやめて家に帰った。

次の日の朝、痛みが治まらないため、家族に頼んで外科に連れて行っ

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私は運動ができない(スケート)

私は運動ができない(スケート)

「今度の日曜日、スケートに行こう」
「私はスケートをしたことないんだけど」
「大丈夫、私も滑れないから」

10代の頃、私はスケートに誘われた。

スケートと聞いた時、テレビの映画劇場で観た「ある愛の詩」を思い出した。
貧しい女の子が、ウルトラリッチな男の子と出会い、スケートリンクで手をつなぎ、笑いながらスケートリンクの中を歩いたり滑ったりするシーンがある。
そういうシーンから、私はどこかにスケー

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私は運動ができない(跳び箱)

私は運動ができない(跳び箱)

彼女の名前だけは知っていた。

「賞状の伝達を行います」

朝礼で先生がそう言った後、彼女の名前は頻繁に登場していた。
「剣道四国大会優勝」
「剣道全国大会〇位」
高校1年の時から全国大会に出場していたため、高校内では彼女の名前は知れ渡っていた。
彼女の名前が朝礼で告げられ「全国大会優勝」とアナウンスされると場内がざわめいた。
彼女の姿を見たことはなかったが、私とは違う位置にいる人だと思っていた。

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私は運動ができない(球技大会)

私は運動ができない(球技大会)

小学校の時、私は運動のできる子と友達だった。

その子のおかげか、学校が終わった後、男女合わせて20人ほどでするドッジボールに誘われて、広い空き地でよく遊んた。

私は速攻で当てられ、最初に外に出るのが定番になっていた。
ボールの取れない私は、飛んできたボールを走って追いかけていた。
私がボールを投げると「届かんやん」とみんなが笑った。

そんな私を見るに見かねて、ある男の子が
「僕の後ろについて

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私は運動ができない(運動会)

私は運動ができない(運動会)

体育の授業の前の休み時間、運動場の隅っこで、半円形になって数人の女の子がピンクレディの「渚のシンドバッド」を歌っていた。
その囲みの中心に「渚のシンドバッド」を完璧にコピーして踊っている女の子がいた。
私は彼女の踊りの一挙手一投足をしばらく見つめていた。

テレビの録画機能がまだ一般家庭に普及していない時代である。
どうやって覚えたんだろう、と思った。
それと同時に、なんでこんな意味のないことを覚

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私は運動ができない(ゴム風船)

私は運動ができない(ゴム風船)

テレビとか漫画とかで、チューインガムで風船を膨らます光景を目にしていたが、私はそういうことに憧れていた。

兄はチューインガムで風船を作ってみせ、私に風船の作り方を教えてくれた。
「ガムをよく噛んで、柔らかくなったら舌に薄くガムを巻いて、それでふぅっと息を吹くと風船ができる」
私は兄の言うとおりしてみたが、風船はできなかった。

「チューインガムは風船を作りにくいけど、これは風船を作りやすいガムだ

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私は運動ができない#2

私は運動ができない#2

私は運の悪い人間だと思っている。
運の悪さを表すひとつに保健体育の先生が中学2年のクラス担任であったことをあげる。

中学2年の期末懇談、担任はこう言った。

「保健体育を蔑視しています」

私は保健体育を蔑視などしていない。
座学にしろ実技にしろ私は真剣に授業を受けていた。

ボール投げの記録はクラスで最低だった。
「真面目に投げたら」
先生はそう言ったが、私は真面目に投げていた。
ただボールが

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私は運動ができない#1

私は運動ができない#1

子供のころから私は運動ができなかった。

小学校3年生くらいの頃、母から自転車の練習をするようにいわれた。
母は兄が乗っていた子供用の自転車に、赤と白のペンキを塗って、私の自転車へとリニューアルをした。
自転車の荷台の横を母が持ち、私はぐらぐらとした自転車のペダルを漕いだ。母が手を離すとすぐに自転車は倒れ、私は地面に足をつけた。
毎日30分くらいは練習をしていたような気がする。
すぐ近くの空き地で

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小説 善悪と彼岸

小説 善悪と彼岸

前説

本作は、遺産相続を依頼した「私」と代理人弁護士の物語です。
弁護士との出会い。そして依頼した弁護士を本人訴訟で訴え裁判に負けるまでを描いた事実をもとにした小説です。本人訴訟を提起するさい、ネットで実際に本人訴訟を提起した人の訴状とかを参考にしました。

                
               (一)

父が死んだ。
夕食後、私は兄から電話を受け、車で30分ほどの距離

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太陽の塔

太陽の塔

アポロ11号が月に降り立ち宇宙飛行士が歩く様子を、私たち家族は小さな白黒テレビの前にかじりついて観た。

その翌年、大阪万国博覧会は開催された。

夏休み。小学校低学年の私は地区の子供会で大阪万博に行くことになった。アメリカ館で月の石が見れると想像しただけでワクワクしていた。

麦わら帽子にピンクのリボンをつけて夜行バスに乗り高松港まで行き、そこから船に乗り換え、海を越えて大阪へと渡った。翌朝大阪

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noteをはじめました

初めての投稿です。
世の中はTwitter、インスタグラム、facebookそしてYouTubeとかが氾濫していますが、私の場合、パソコンが使えない。
正確に言うと、パソコンの使い方が全く分からない。このnoteに至っても今現在泣きそうになっています。
最近、仕事の依頼があり、「Google meetでやりとりをしたい」と言われ、スマホとパソコンと両方でやり取りをした結果、私が音を上げて、「実際に

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