包み紙武彦

語感食べ人間

包み紙武彦

語感食べ人間

最近の記事

  • 固定された記事

宵酔

「あー、今すげー幸せだなー」と感じた時、 自分が自分である口実を探して 誰が見ているでも無いのに 一応申し訳なさそうな顔をする皆々様、 どうも、包み紙武彦です。 今回はどっちつかずな話。 ワタクシは何度もこのセリフを吐くけども、 "酔ってっから許しておくれ" 誰かに想いを伝える時の 文言は「I love you 」 または「愛 love you」だったり。 どうやら、 この「愛しています」は多用すると良くないらしい。 多用すると、というよりも 受け取る人間によって様々

    • 「ユキトケテ、春」

      知らぬ間に泣いていたようで、 涙がマフラーに染み込んで今にも凍りそうなほどだ。 顔の半分が潜っていたもんだから、 頬や鼻に当たって当たり前に冷たい。 こりゃ赤っ鼻だな。 溶けた『雪』が水溜りになって、 そこを行きすぎる車のタイヤが、 否応なしに飛沫を上げる。 一昨日買った卸し立てのブーツが汚されていくのを避けようともせず、ただ見つめていた。 まあこの道も二度と通らないだろうし 恨むこともない。 プルルルル...プルルルル...プルルルル あ、自分のか。 チラと画

      • 「大人しく大人たらしく」

        会社帰り、帰宅ラッシュ。 アスファルトを叩く無数の革靴の音を無理やり掻き消して、祭囃子が響く夕方と夜の間。 すっかり忘れていた、もうそんな時期か。 「......屋台で何か買えばよかったかな」 呟くけれど、 あの人混みに飛び込む体力も、 わざわざ行列に並ぶ忍耐力も、 楽しむ労力もない。 手には、 ここに辿り着くほんの少し前に もう買ってしまった2枚買えば1枚無料のピザと コンビニで買った缶ビールの入ったレジ袋。 多分今回のピザもせいぜい1枚と2切れほどでギブアップする

        • 『変、身』

          やぁ、 突然だがね、 幼い頃の諸君は、"ヒーロー"ってやつに憧れただろうか。 〇〇レンジャー? セーラームーン?ウルトラマン? プリキュア?或いは、仮面ライダー? カッコよくて可愛くて、その上強い。 絶対正義、無敵のスーパーヒーロー。 大半の人が通ってきているんじゃないかしら。 あの頃の私は、 「子供ってみんなこう言うものが好きなんだ、憧れるんだ」という『当たり前』に支配されている状況が、何だか無性にムズ痒くて仕方なかった。戦隊モノのオモチャやら変身ベルトやらで遊んだ覚え

        • 固定された記事

          『形』

          重ねている手のひらに爪を刺すような愛憎が 私の心には鎮座していて、 必死に取り繕うけれども、 きっと何もかも丸わかりだろうな。 エキゾチックな夜に、 愛を一粒落としてくれたらいいのに。 好奇心は加速して朦朧としてる。 どこへも行かないでよ、×××フレンド。 もう決して離れてしまわないよう、 手に入れた現状を維持するために必死な私。 そりゃ、あの人は大切な"友達"。当然あの子も。 この△が保てなくなるのも仕方がないと思わない? ありふれた言葉では繋ぎ止められないので。 変

          春に限らず

          病室の窓際。 『想い』或いは『重い』を 胸とカバンの奥に仕舞う。 使い古された鉛筆や読みかけの本にさえ、 匂いがしがみ付いて離れない。 どこまでが現実で何処からが夢だったのか。 何れにせよ君に夢中であったのは確か。 少し黄ばんだワイシャツと日差しの泳ぐ花瓶は突き付ける。 つい耽って忘れそうになる。 あの日、君と一緒に私は死んだのだ。

          ぶつくさ

          人は時に振り返ってしまうね。 自分の考えたい事とは裏腹に、 当時の想いが瞬間的に押し寄せてきてさ。 無理矢理呼び起こされた感情は、行き場をなくして涙に変わる。 どうしたらいいか 分からないんだよな、自分にも。 過去はどうしたって過去だし、 今呼び起こされている感情もまた間違いなく過去に存在していたモノで。 毎度更新されていく"日常"をどうこうしたいとかは無いけどさ。 どうせまだしばらく"生きる"が続くなら、 振り返った過去に涙するのは楽しかったあの頃でありたいじゃない。

          フラッシュバック未満

          車を長時間運転していると、ふと思い出す。 "そういえば"で思い浮かぶアイツ。 洋楽はpassengerが好きで、 指輪を噛むのが癖だったアイツ。 ピーマンが嫌いで、 逆まつげに悩まされていたアイツ。 特に何か感情が湧くわけではないから、 浮かんだ思い出に思わず微笑んだりもしない。 そんなこと本当にあったのかしら?と首を傾げてしまうまである。 早朝、高速道路の先。 朝日が顔を出そうとしているのに、 灰色で厚い厚い雲は上から押さえつけていて、 さながら天国と地獄みたいだ

          フラッシュバック未満

          『呼吸で探る』

          本当に伝えたかった言葉は飲み込んで、 それでも私は懸命に貴方を欲した、はず。 真偽のほどは別として、 存在を肯定した二人は、 この先も変わらずに求め合えるだろうか。 事後。 風呂場の電気はいつも、 私が恥ずかしいから消してしまう。 そのくせ、あまり目が良くないから 耳と指で貴方の輪郭を探る。 聴こえるのは、 湯船の水面の「ちゃぷん」と息遣いだけなんだけど、どうしてソレが無性に昂らせる。 速くなる鼓動と裏腹、 ゆっくりと流れる首筋の滴がどちらかなんて、 そんなことどうでもよ

          『呼吸で探る』

          特段これと言って何かあるわけではない。

          頭上。 大きな大きな鉄の塊が 爆薬をその身に宿して迫ってくる。 一人の男が当然のように現れる。 何もかも救ってきた例の男が、 今回もまた我々を救おうとしている。 しかし、こればかりは今までのようにはいかない。 この塊が落ちてしまったら、彼は跡形もなくなるだろう。 如何なるトラブルも拳一つで解決してきたヒーローのような男だが、流石に諦めたほうがいい。 我々のような、 なんの力も持たない立場の人間は見守ることしかできない。 怯える私を他所に、 彼はどんどん近づいてくる頭上

          特段これと言って何かあるわけではない。

          『電流が流れたようで』

          大抵のことは真顔で受け止める人間として振る舞ってきたし、多分今後も変わらないと思いますが。 衝撃的な出来事。 電流が走ったと言っても過言ではないほどの、 それはそれは、 もうそれはそれは、 大変にすごくて、 やばくて、 これ以上無いって感じの、 めっちゃ、 ベリー、 ハイパー、 デンジャラスな出来事が、 そんな熱量で書き殴れる出来事が、 この腕に、 この指に、 あったらよかったのに。

          『電流が流れたようで』

          『態態』

          やーれやーれ。 それすなわち、吹っ飛んだ様相で。 各々が踏み潰した地面に伸び縮みして、 のたうつのは、はて、誰の影か。 顧みた自分が余りにも人間として矮小なのは、 何故だか自分の最高値をデフォルトにすり替えているから。 飲み干した酒に達成感を見出すのは、 少なからず大人になったと言い聞かせておきたいから。 窮屈なこの体は、この殻は、 随分長い間動くことを拒んでいたようで、 すっかり鈍ってしまっている。 雁字搦めを態態吐き出す今日この頃、 皆様、いかがお過ごしですか。

          『篩』

          「分け隔てなく接するのに疲れたかい」 どう言う状況であれ、それに関わって踏み込んで反応を示したなら、発端はいつだって自分だということは忘れちゃならない。 度合いにもよるけど、 何事も半々くらいで受け止めておいた方がいい。 振り回されたと感じるのは結構だけど、 自分にも落ち度があることを胸に留めとけば振り幅は小さくて済む気がするんだ。 ああ、確かに綺麗事は必要だし それを挙げたことによって義務感が生まれるのが人間だよな。 でもこの世は広いから、 「くだらない」と鼻で笑われて

          『息を吸って嘘を吐く』

          火照る男女踊る祭り囃子 ホテル向かい上げる白い花火 つまらん日々からの逸脱を、 毎夜毎夜願い腰振るばかり。 月並みな夜は飽きたんだよな。 「そろそろやめにしようかな」なんて呟いておく。結局、またシーツを汚しては 次会った時にゃまるで知らん顔をするのがお決まりのオチなんだけど。 脇目も振らずに走った青春の醍醐味は、 大人のフリした恋の練習だったよな。 熱ければ熱いほど冷めていく感覚を できることなら戻ってもう1take。 やってることは今も変わらず、 味気なくなったガムをひ

          『息を吸って嘘を吐く』

          『日常に溶け込んで』

          「...誰でもいいわけじゃなかったんだけどな」 あー嫌だ嫌だ、 なんだか、 負け惜しみみたいに聞こえてしまうじゃない。 アイツと出会ってからの私はきっと、 "この世界"にいなかったんだと思う。 きっとこの世界によく似た、 天国のような場所にワープしたんだ。 幸せ成分をたっぷり含んだ空気にあてられて、 感情は飛んだり跳ねたり、まさに夢見心地だった。 最初は「誰も私たちの邪魔はさせない」って、 そんな心持ち。 次第に今の自分ならなんでも許されるって 勘違いが亀裂を生んだ。

          『日常に溶け込んで』

          もう、知り得ない。

          夜になれば朝が来ること、太陽が沈んで月が登ること、"当たり前"だ、といつしか人間は馬鹿になった。 酒を片手に外を眺めていると 「こんな時くらい難しい顔はよしてよ」なんて夜風が言うもんだから、 仕方なく重い腰を上げる。 「寒いな、本当に」 少しだけ窓を開けると、燃え上がるストーブの灯りとは裏腹に、冷えた空気が部屋を舞う。 都会の冷たさもまだ知らぬ輝いていた瞳。 心の中でさえ、風除けになってくれていたあの人の背中。 「もう少し"風"は強くなるのかしら...。」

          もう、知り得ない。