特段これと言って何かあるわけではない。
頭上。
大きな大きな鉄の塊が
爆薬をその身に宿して迫ってくる。
一人の男が当然のように現れる。
何もかも救ってきた例の男が、
今回もまた我々を救おうとしている。
しかし、こればかりは今までのようにはいかない。
この塊が落ちてしまったら、彼は跡形もなくなるだろう。
如何なるトラブルも拳一つで解決してきたヒーローのような男だが、流石に諦めたほうがいい。
我々のような、
なんの力も持たない立場の人間は見守ることしかできない。
怯える私を他所に、
彼はどんどん近づいてくる頭上のソレに
拳の照準を合わせて、真上にきたところで思い切り殴り上げた。
その瞬間とんでもない爆風と爆音が辺り一面を覆った。
彼は消える直前、「ニッ」と笑って呟いた。
「こんな世界じゃあ、
誰しもが殴り書きワンタンメンなのさ......」
まじで意味が分からなかった。
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