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もう、知り得ない。

夜になれば朝が来ること、太陽が沈んで月が登ること、"当たり前"だ、といつしか人間は馬鹿になった。
酒を片手に外を眺めていると
「こんな時くらい難しい顔はよしてよ」なんて夜風が言うもんだから、
仕方なく重い腰を上げる。

「寒いな、本当に」



少しだけ窓を開けると、燃え上がるストーブの灯りとは裏腹に、冷えた空気が部屋を舞う。
都会の冷たさもまだ知らぬ輝いていた瞳。
心の中でさえ、風除けになってくれていたあの人の背中。

「もう少し"風"は強くなるのかしら...。」

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眠れない夜に

ほろ酔い文学

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