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「ミニヒマワリ」

とある休日の夕方。
夫といつものお散歩をしていた。

私達のお散歩コースはいくつかあるが
いつもその時の気分で決めている。

その日、最初に決めたコースがあったが
歩いているうちに話し合ってコースを変えた。

「じゃあ、今日はこっちにしよう。」

途中でコース変更。
その日は結局、ある公園に向かった。

入り口すぐには小さな子どもとお母さん方がいて
子ども達は遊具で遊んでいる。
しかし私達の目的の場所はここではない。
その公園は奥が小さな丘になっており
その一番上を目指すのがいつものコースだ。
「よし、今日は人がいない。」
時々先客がいたり、後から人が来たりすることもある。
誰か来ると今はやっぱりちょっと気になる。
でも別に私達専用の場所ではないので当たり前だ。
なのでたまたま誰もいない時間にあたると
そこは私達ふたりの特別な空間となる。

その一番上の場所からは、遠くに山が見える。
とても綺麗だ。
朝に来ることもあるが、そのどちらの景色も私は好きだ。
ここで写真を載せられないのは申し訳ないが
でも、山と街の感じが本当に好きで
雰囲気が良くて気に入っている。

そんな景色を見た後はゆっくりゆっくり下っていく。
するとその道の傍に、知らない花が咲いていた。
小さな小さな花。
オレンジ色をしている。
私は花については全く詳しくない。
知っている種類は少ないし、あんなに色々覚えられない。
でも見るのは好きなので、その花をじっと見ていた。

夫「どうしたの?」
私「この花なんていうのかなぁ~と思って。」
夫「小さいね。」
私「noteにはこういうの詳しい人が沢山いるんだよ~。」

これは本当の話で、夫にはよくnoteのことを話している。

そして今度はふたりでじっと花を見てみる。
「名前、なんだろうね。」私がもう一度呟くと
「じゃあミニヒマワリだな。」と、夫が突然名前をつけた。
えっ⁉︎
私は驚いた。
だって今まで夫が花に名前をつけるなんてこと
一度もなかったから…

「ミニヒマワリ?」
「うん。ミニヒマワリ。」
「なんで~?なんでそうつけたの?」
「形がヒマワリみたいだから。あと小さいから。」
おぉ〜シンプル。

なるほど。ミニヒマワリか。
じゃあ今日から君はミニヒマワリだ‼︎‼︎

本当は写真を撮りたかったけど
急に学生さん?の集団が来たので怯んで撮れなかった。
今度また行ったら写真、撮ろうかな。
そして私達は、ゆっくりと帰って行った。

結局その花の名前はわからないまま。
写真もない。
初めは調べようかなとも思ったが
結局やめた。
何で?と思われそうだが
なんだかそうしたかった。

花の本当の名前を知ることは楽しいと思う。
今だったら名前や特徴は、簡単に調べることができるだろう。
けれど私はその花の名前を
夫が名付けた「ミニヒマワリ」にしておきたかった。
折角つけてくれた名だ。
だから私達ふたりの中ではその子は
「ミニヒマワリ」として、これからも咲いていただく。
ごめんなさいね。勝手に名前つけちゃって。許してね。

でもまさか、夫が花に名前をつけるなんて。
花に興味なんて全然ないはずなのに。

私は花の名前を覚えられないくせに
見るのと写真を撮るのは好きなので
夫はその際いつも待っていてくれる。
でも花を特に眺めたりはしない。
こちらが話しかけたりすれば見てくれるけど
自ら見ることは絶対にない。

そんな夫が、花に名前をつけた。

特につまらない私の話を
嫌がらずに聞いてくれて
花に自然と名前をつけちゃう夫が
私は大好きだ。


ではまた。

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