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死ぬこと以外かすり傷

はじめに
こっちの世界に来て、革命を起こそう。
誰よりも動け。
語る前に手を動かせ。
語りながらでもいいから手を動かせ。
能書きじゃなく数字やプロジェクトで示せ。
何をやりたいか、何をやっているか、
明確に答えられる人間であれ。
狂え。
絶望を感じながら、それでも信じて走り抜け。
守るより、攻めろ。
そのほうがきっと楽しい。

こっちの世界に来て、
革命を起こそう。

---

編集者になって4年。ものすごい勢いで駆け抜けてきた。一瞬の爆発のような怒涛の日々だった。
僕はもともと努力型でもエリート思考の持ち主でもない。
大学時代は1秒も勉強をせず、双葉社に就職してからも雑誌の広告営業といユルい職場でダメサラリーマンの典型のような日々を過ごした。

僕の何かが変わったのは、編集者という仕事をやるようになってからだ。

与沢翼という男に引き寄せられ、広告部に所属しながら「ネオヒルズ・ジャパン」という雑誌の編集長になった。多くの修羅場やトラブルに襲われながらも、編集という仕事に熱狂し、アマゾン総合ランキングで1位をとり、3万部を完売させ、幻の本となった。
その後、正式に編集部に異動し、何かに取りつかれたように仕事をしてきた。

編集者は最強だと感じる3つの理由がある。
1,「才能カクテルが飲み放題」
あらゆるジャンルで活躍している人たちの才能をカクテルして飲める。
一冊の本を通して一番成長するのは編集者。読むより作るほうが、身体に著者のエッセンスが染み込む。そのため、編集者自身が、本を作ることを通してずば抜けた成長ができる。僕は僕が作った本によって、できている。
相手の才能を吸収するつもりで仕事をする意識はどんな職業であっても大切だろう。

2,「ストーリーを作れる」
編集者の仕事は、ストーリーを作ること。
これからの時代は、商品にどんなストーリーを乗っけるかが重要になる。
これからはあらゆる業界で、ストーリーを作る編集者の能力がいきてくる。

3,「人々の感情に対する嗅覚を磨ける」
「世の中の人々が日々、何に涙し、何に悩み、何に歓喜しているのか」が肌感覚で分からなければ、売れる本は作れない。
特定の誰かを自分に憑依させるかのごとく、徹底的に想像し、その一人の人生が変わるようなものを作る。そうした超個人的に作ったものが、結果的にマスに広がっていく。
人が日々何を感じているか、ということへの嗅覚は、ストーリーを作る力と同様、これからあらゆるサービス、プロダクトを作る上で重要になってくる。

だから、編集者は最強だ。

編集者の根本は遊びのように仕事を、仕事のように遊びをやるということ。
ただ熱狂し、狂う。自分の好きなものに情熱をもってひたすら入れ込む。
自分が読者として絶対に読みたいと思うものを作る。
面白い、面白くないかの基準なんてないんだから、偏愛でいい
AIが発達して仕事がロボットに置き換えられる時代において、予定調和や利害損得を破壊して、己の偏愛のためにいかに狂えるかが、人間の最後の武器になる。
"あまりにも人間的”なこのスタイルは、これからの時代に強い。

新しい時代はいつだって狂っている人間が作っていて、その未来が現実になってから、初めて理解される。しかし、それでは遅い。
若い人はお金のために働くことはなくなり、過去をロジカルに分析しても、マス広告を打っても、世の中を動かせなくなった。
すべてのルールが変わる中で強いのは、新しいことを受け入れ、変化を楽しめる人間だ。
日本も、僕のいる出版業界も、閉塞感が漂っていて、終わっていく感じがあるけれど、僕の周りは盛り上がっている。ポジティブな未来がはっきり見える。そして何より楽しい。

早くこっちにくるといい。
こっち側で間違いない。

ルールは変わる。経験は邪魔だ。
無知でいい。
ごちゃごちゃ考える前に、動け。

第一章 考え方
【予定調和を破壊せよ】

予定調和は悪だ。段取りどおり仕事をしても過去の何かの焼き直しのようなものしか作ることはできない。
ギリギリを歩き、カオスに飛び込め。新しいものは、そこからしか生まれない。
(「予定調和」とは、(日本社会で)小説・映画・演劇・経済・政治などと幅広い範囲で、観衆・民衆・関係者等の予想する流れに沿って事態が動き、結果も予想通りであること。あらかじめ誰の目にも結果が明らかで、実際に予想通りの結果になること。)

トラブルに身を投げろ!
失敗やトラブルに前のめりで突っ込みたい。冷や汗と摩擦、恐怖や絶望をエンタメに昇華したい。脳内にアドレナリンが噴き出し、誰かに伝えたくてたまらない。
編集者などという仕事は善悪や論理など関係ない。自分の偏愛や熱狂が抑えきれなくなって、ほとばしって漏れ出したものが作品に乗って世に届くのだ。
予定調和にロジカルに考えても計算通りのものしか生まれない。
無難に生きても何も起こらない。
誰かが作った道を踏み外す。カオスにこそ、まだ見ぬ景色があるのだ。あらゆる事故やトラブルに自ら身を投げろ。

バカなことにフルスイングせよ
バカ企画だとしても、全力でやりきる。思いっきりバットを振れば、熱狂は伝播する。バカにして笑っていた人たちも次第に巻き込まれていく。
無難にやっていたら人はついてこない。人は危うさに魅せられる。地面に頭から突っ込む。咄嗟に足が出る。その繰り返しで駆け抜けるしかない。

安心安全を破壊せよ
・「箕輪よく聞け、無理な、通すためにあるんだよ!」
・「上司に許可を求めながら歴史に名を残した人はいない」

与えられた仕事を段取りどおりにこなす。そうすれば失敗しても大きな傷は負わないだろう。しかし、そんな予定調和からは何も生まれない。
無理と言われたら突破する。ありえない日程で出版まで駆け抜ける。どっちに転ぶか危うい状態でなんとか落ちずに走り続けろ。そうやって初めて鮮やかな結果が出る。

言ってはいけないことを言ってしまえ
同僚や上司との間で波風を立てず、仲良く無難にサラリーマンライフを過ごしたい。そういうタイプの人間であれば、心の中で「くだらない集まりだな」と思っても、声をあげないのが普通だろう。それでいい。
しかし、社畜の群れから抜け駆けし、何者かになりたいのなら話は変わってくる。
自分の頭で考えた結果「ナンセンス」と思ったことは、相手が誰だろうが声を得あげなくてはいけない。
「これって、ぶっちゃげ意味なくない?」「そのロジックはおかしいよね」と言えず沈黙した瞬間、敗北が始まる。社畜化への一本道を転がりと落ちる。
羊のように組織に従順な生き方は、タチが悪いことに癖になる。この癖は、一度肌にしみついてしまうとなかなか治らない。
悪癖は最初から排除したほうがいいのだ。

3歳児レースに勝ち残れ
世の中にインパクトを与える起業家やアーティスト、アスリートには共通点がある。
「狂ってこそ人生」。みんな3歳児のように本能丸出し、好奇心むき出しだということだ。
本能的、動物的な感覚に突き動かされながら行動している。
決してルールや常識、ロジックだけでは動かない。「3歳児レース」に勝ち残れ。

退屈な世界に火を放て
民衆は「正しい情報」より「楽しい情報」を求めている。「正しい情報」をありのままに伝えたところで、人々は幸せにはならない。
僕の周りには真の才能がいる。本当に日本を背負い変える覚悟と能力がある起業家やアーティストや作家、評論家がいる。
だからこそ僕の役割はギリギリのラインを歩きながら火を放っていくことだ。

第二章  商売のやり方
【自分の手で金を稼げ】

会社から餌を与えられる豚になるな。自分の手で、足で、頭で、名前を獲物を狩りに行くオオカミになれ。サラリーマンであっても金銭的、精神的に会社から独立せよ

自分に何万円の値札を貼るか
自分はいったい何をすればお金をもらえるだろうか。市場にさらされて初めて自分の値札を意識した。
まずはwebメディアに僕の実績を売り込んで記事を書かせてもらった。1本3万円。今では月収は20倍近く上がった。しかし、僕の実力が20倍になったわけではない。
僕がしたことは、無謀にも市場に出て行き、自分の腕1つで稼がなければならい状況に自分を追い込んだだけだ。
しかし、その瞬間、それまで織の中で安寧に暮らしていた僕の意識が変わったのだ。自分で餌を探すことを覚え、狩りの仕方を習得したのだ。どんな小さなことでもいい。
自分の手で、頭で、足で、名前で稼いでみろ。自分の値札を意識しなければ、一生飼われた豚のままだ。飢えたオオカミになれ。

意識くらい高く持て
「実際に手を動かすほうが価値はあるが、これからの世の中がどこに向かうかを知っているということも極めて重要」だ。
「知っている」と「知らない」の間にとてつもなく太い川が流れているのだ。
世界がこれからどこに進むかということに興味を持つということは、世界を自由に生きるために必要なことだ。
世の中の最前線で起きている動きに、五感を研ぎ澄ます。意識のアンテナをバリバリにはるだけで、リスクを未然に回避できる。ピンチをチャンスに変えられる。
すぐには具体的に何かに生かせなくても、どこかの時点で堰を切ったかのように、それまで蓄積していた知や情報が繋がり、僕のアイディアとなり噴き出していった。行動につながっていった。
今の人はスマホという小宇宙の中で生きている。スマホは飼い主が見たいものしか差し出さない。ゲーム好きにはゲームを。ゴシップ好きにはゴシップを。バカはますますバカになる。
スマホのゲームで人生を消費するな。
知っているということが、いずれ必ず武器になる。分断された世の中だからこそ、情報を浴び、知を獲得しろ。意識くらい高く持て。

誰も行かない未開を行け
・「この一歩は小さいが、人類にとっては偉大な一歩だ」
僕は会社に入って「自分にしかできない仕事とは何か」を朝から晩まで考え続けた。その仕事で旗印を立てれば、「編集者・箕輪厚介」という固有名詞をブランド化させることができる。
僕が入社したことで決定的に変わる何かをしなければ、僕の存在価値はない。
そして、ネットを使い切る編集者になり、本以外のプロデュースもできる編集者になった。数字で示した。
どんなに都合よく上手くいっているように見える人でも、実は地道な努力を続けている。誰も見ていてはくれない。結果が出たって「運が良かっただけ」「環境に恵まれていただけ」と言われる。
でもそれでもいい。言わせておけ。自分だけがこの苦しみと、苦しさこそが与えてくれる極上の快楽を独占してしまえばいいのだ。誰も行かない未開を行け。

カネと感情のダークサイトスキル人は感情の生き物だ
いくら金で貢献していても、生意気な人間には誰も協力しない。むしろ反感を買う。僕は誰よりも自分が汗をかく、しっかり感謝する、トラブルの時は自分が出て行く。たまにかわいい笑顔を見せる。こいつだったら協力してやってもいいかと思ってもらうことが大切だ。 

社員を奴隷にする会社は捨てろ
5Gの導入で各業界に無限の変化が起き、横の関係で連動していく。変化が速い時代は多様性が力になる。どんな能力が生きるか分からない。
社員を縛り付ける会社なんて今すぐ捨てて、外の世界へ飛び出してしまえ。

ブランドを稼げ、未来を稼げ
僕は幻冬舎というフィールドで「金」ではなく箕輪厚介という「ブランド」を稼いでいる
幻冬舎の社員としてベストセラーを出し、名前が売れることでオンラインサロンのメンバーが増える。プロデュースの依頼が来る。自分の名前でやる仕事が増える。
一時間50分のコンサルでは「金」を稼いでいる
地方公演ではノーギャラだが「未来」を稼いでいる。地方に仲間を作ることは僕がこの先やることで重要な役割を果たすからだ。
これからは、複数の仕事をこなすことが当たり前になる。しかし「金」という軸だけで考えてしまっては多様で厚みのある経験は積めない。自分が金以外の何を稼ぐかポートフォリオを組んで思考せよ

帰る場所がある人間にひとは熱狂しない
僕はフリーの編集者ではなく、幻冬舎という組織に属するサラリーマンだ。しかし、社名を偉そうに出したり、その看板に隠れたりしたことは一切ない。
会社はあくまでも個人の集合体だ。会社など関係なく「こんなこと言っちゃヤバイだろい」という感覚でも平気な顔で表明する。会社に相談しなければいけない難題も涼しい顔で即決し死に物狂いで辻褄を合わせる。会社の顔色なかりを窺っている人間になど誰も心を開かないのだ。
2018年、僕は落合陽一の「日本再興戦略」を編集しリリースした。落合陽一は異次元の天才すぎるため、正直言って、担当編集者の僕でも、すぐには発言の意味が分からないことがある。バーにピンセットを持ってきた理由を聞いた時、「逆に聞くけど、ミノワマンはクマンバチが道に落ちてた時に素手で触っちゃうわけ?」と返答が返ってきた。宇宙人だ。話にならない
しかし彼のこの四次元な感じと研究者としての圧倒的な実績と教養量。この振れ幅が落合陽一の色気だ。彼の書籍は注釈や参考文献を読みながらではないと完璧には理解できない。そんな本がベストセラーになっていく。これはなんだ。もはやある意味でファッションなのだ。
彼の生き方と言語感覚、ヨウジヤマモトに身を包むその出で立ちまでが今の若者にとってカッコいいのだ。
僕のオンラインショップで「もはや僕も分からない。落合陽一はファッションだ。しかしファッションでしか世の中は変わらない」というコメントで新刊を出したら、一晩で200冊が完売した。
「難解でよくわからないところも多いけど、落合陽一の言葉には中毒性がある。この感覚でいいんだ」という読者の正直な気持ちに寄り添えたのだ
僕は口を出す。
消費者は会社や大人の都合から出た言葉では動かない。むき出しのリアルを求めているのだ。
サラリーマンであっても、個人としての覚悟を示すから相手が信用してくれる。「上司に相談します」ではなく「僕が何とかするんで余裕ですよ」と返す。あとでつじつまを合わせればいい。
どれだけ覚悟を持っているかそれだけを人は見ている。会社の看板など関係なく個人として生きているかを問われるのだ。

第三章  個人の立たせ方
【名前を売れ】自分が何者か、何をやっているか明確に答えられる人間であれ。自分の名を売れ。
ブランドに人も金もついてくる。最初はハッタリでいい。ハッタリかまして伝説を作れ。

ヒーローインタビューを想像せよ!
実力だけで何者かになれるなどという甘い考えは捨てたほうがいい。
「実力より評判」「売上よりも伝説」。極端に言えばそんなパンクな生き方をする人に大衆は魅せられる。
自分の手で現象を起こす人間になるためには、結果を残すと同時に自ら伝説を打ち立てなければならない。「ブランド」に人も金も付いてくるのだ。
メジャーリーガーは、試合で活躍しヒーローインタビューをされる自分の姿を事前にイメージするそうだ。僕も誰からも知られていなかった時代に「メディアが取材にやってきたときのオレ」を想像してニヤニヤしていた。
見城徹「たった一人の熱狂」を作った時も、本を作ったことのない新人編集者が伝説の編集者に手紙を書き、執筆依頼し一冊のベストセラーを作る。このストーリーは絶対に記事になる。そう確信しながらSNSでその姿を発信していった。すると案の定、「大物を口説く方法」という名目で何本もインタビューが立て続けにやってきた。はじめは「一発屋芸人」のようにあらゆるメディアで大物の口説き方を語っていた、それ以降は「大物を口説く若手社員」として有名になった。

「自分の名を刻むまでが仕事だ」
成功するまでにどんな苦しいことがあったのか、今すぐにおもしろおかしくブログに書いたりインタビューを仕込んで、自分の名前を売ったほうがいい
イベントを上手に仕切る人などいくらでもいる。この人にプロデュースして欲しいという存在にならなければ意味がない。そのためにはヒーローインタビューまでしっかりと仕込み、そこで大いに伝説を語らなければいけない。
逆説的だが、ヒーローインタビューまで想定して仕事をすれば、生半可なことはできなくなり、1つ1つの行動が変わる
そしてそれが実際の伝説を呼び起こすのだ。伝説を伝えるまでが仕事である。

恥をかけ、血を流せ
僕は4年ほど前、広告部から編集部に異動して初めてTwitterの可能性に気づいた。僕は僕の手で売れるか売れないかにしっかり関与したい。編集者になりたての僕はSNSに頼るしか方法がなかった。
一冊でも本を売りたいと必死だった僕は朝起きた瞬間から眠りにつくまで、いかにインフルエンサーに僕の本のことをツイートしてもらうかを考えていた。
しかし、気づいたのだ。俺自身がインフルエンサーになれば最強だと。モノが溢れている時代、選ぶことにも疲れてしまうからこそ、自分が信頼する人のおススメを選ぶようになる。インフルエンサーの力はどんどん強くなる。
さらにこれから物を選ぶ基準は「物語」になる。安くていいものは溢れている。もしあえてTシャツを選ぶ理由がるとするなら、Tシャツのデザイナーの生き方が好きとか、何かメッセージを代弁しているとか、そこに込められた物語の部分、制作者の顔でしかない。
特に本などのコンテンツは機能や値段では選ばない。その裏にどんな想いがあるのか、誰が編集者か、まで込みで買うか決めるようになる。
「箕輪さんが編集したなら買う」という存在になるしかないと考えた。
だからTwitterでは本の宣伝だけではなく、自分の人間性を丸出しして、人生丸ごとさらけ出していくことに決めたのだ。箕輪の生き方が好きだ。共感する。だから彼が編集した本を読みたい。そうなるしかないと確信した。
やってみるが分かるが、フォロワーはそんな簡単には増えない。
ツイートにオリジナリティがなければ赤の他人をフォローをしようなどとは誰も思わない。だから他の人が言わないようなことを言わなければいけない。
しかし、それが単なる言葉だけであっても見透かされる。SNSでは嘘はつけない。つまり、誰も言わないことをいえるようになるために、誰もやっていいないことに挑戦し、誰もしてない経験をし、誰も成し得ていない実績を作らなければならないのだ。
結局、自分は何者で、何がやりたくて、今何をしているか
自分というものが激しく問われる。そこに共感が生まれれば、フォロワーは増えていき、ビジネスにおいても強烈な支持者になる。
僕が数年前に、これから書店に編集者のコーナーができると書いた時、誰も本気にしなかった。だけど、今全国で僕の写真が飾られた僕の編集した本が並んでいる。
しかし編集者は黒子などというのは、ほとんどの場合自分が血を流さないために言い訳でしかないと僕は思う。著者は血を流している。裏側の人間が自分という人間を丸出しにしなければ、モノなんて売れない。

風呂敷を広げろ
次から次にアイディアを実現できるのは、何もやっていないから。
イノベーションの最前線には「風呂敷を広げる人」「風呂敷を畳む人」がいる。その双方が揃わなければ、アイディアは爆発的な成果へと結実しない。「風呂敷を広げる人」になりたければ、この人の風呂敷だったら畳みたい。今までの彼の行動から考えて、今回も必ず大きな夢を見られるはずだ、とワクワクさせることができないといけない。もはやお金では動かない。夢を見させられる言葉と実行力、そして何より本人が楽しそうにしていることが大切だ。目をキラキラさせて「宝島がある」と叫べ!

教祖になれ
これからのビジネスはほとんどが宗教化していくと思っている。信者を集めることができなくてモノを売ることなどできない。
その背景は人が孤独になったことと、物質的に満たされたことの2つだ。
人はスマホによって孤独になった。その結果、好みや生き方が凄まじい勢いで細分化した。スマホから顔を上げると、周りは自分とは違う世界の住人ばかりだ。
人は多様になった。悪いことではない。しかし、その結果として人は孤独になった。好きなものを語り合い、同じ想いを共有する場所がなくなったからだ。そこで生まれてきたのが、オンラインサロンをはじめとするネット上のコミュニティだ。同じ趣味や価値観を持つ人と、距離を越えて繋がりやすくなった。

オンラインサロンは何か具体的な物質を買う場所ではない、僕の言っていることややっていることに共感できる人たちが集まっているという空間を提供しているだけだ。はたから見ると、宗教のように見えるかもしれない。
しかし、これからはあらゆるビジネスが思想を売るようになる。実現したい世界や大事にしている想いを表明し、共感する社員を集め、モノを作り、お客さんの支持を得る。
衣食住という最低限なものが満たされて豊かになると、人は物質的な価値ではなく、想いで動くようになる。
品質が良いものや安いものを作っても意味がない。そんなものはもう消費しきれないほど世の中にある。
実現したい世界や価値観を表明し、体現する。共感してくれる人を集め、巻き込んでいく。そんな教祖力を持った人がこれからの時代を作っていくのだと思っている。

第四章 仕事のやり方
【手を動かせ】

圧倒的に手を動かせ。戦術や戦略はそれから語れ。ウダウダ考える前に誰よりも打席に立つ。恥を恐れず舞台へ上がる。話はそれからだ。

今やれよ!
編集者になりたいなら「今やる」しかない。編集者なんて資格も何もないのだから。今すぐホリエモンにTwitterで「今までの名言を電子書籍にしていいですか?」と聞いてみればいい。自分の稼働ゼロで本が完成するのなら、もしかしたらOKというかもしれない。そうなれば一気に編集者だ。
イラストレーターになりたければ、片っ端からインフルエンサーのTwitterアイコン用の似顔絵を勝手に書いて送ればいいのだ。誰か一人でも面白がってくれたら、そこから仕事につながるかもしれない。
自分で手を動かして物を作って、人々のリアルな反応を見て一喜一憂しながら、成長していくのが一番手っ取り早い。
人の何十倍も努力しろ、なんていうけど、人間はみな平等に24時間しか持てない。どこで差がつくのか。それは、
「昨日までできなかったことをできるようにする」ということを日々積み重ねることだ。
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時間は有限だ。
人はすぐ死ぬ。
だから「今やれ」。
「昨日までできなかったこと」をやる。
その実践をくり返した先に
プロフェッショナルがあるのだ。
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スピードスピードスピード!
・「スピードは熱を生み、量は質を生む」
普段ならあり得ないスピードで走り抜けることで書き手との間にものすごい熱が生まれる。そして、その熱によって本に魂が入るのだと思う。
多くの人は「スピード相場」というものの洗脳にかかっている。本は6カ月、会議は1時間…。長い間そうやってきたという理由だけで踏襲されている「スピード相場」。暇な人は思考停止したまま習慣を踏襲する。メールに時候の挨拶を入れ、年賀状を出す。
本当に忙しくすれば、無駄なことはどんどん切り捨てざるを得なくなる。本質的な仕事だけが残っていく。次第に生産性が上がっていく。
また極限までに時間がない状況は人の集中力を飛躍的に上げる。なぜなら集中力とは、追い込まれた瞬間に最大値を記録するかだ。
それならば、常に時間を区切って自分を追い込んだ状態にしておけば集中力は下がらない。
制約がイノベーションを生む。追い込め。
ダラダラと居心地の良いスピードで仕事をしていれば、この世にあらざるものは作れない。
スピードスピードスピード!
誰も見えない速さで駆け抜けろ!

量量量!
・「ピカソはなんで天才か分かるか?多作だからだ」
圧倒的な量を制圧して初めて見える世界がある。表面張力ギリギリまでがんばっていたコップの水がザーッと外に溢れたあと、本当の能力が開発されるのだ。
毎日話さなければいけない状況に追い込まれ、準備している余裕もない。失敗したり恥をかいたりしながら圧倒的場数をひたすらこなしているうちに、自然と要点がわかってきて、能力は上がっていく。平均的な量をやっている人と段違いの差がつく。
どうにか乗り越えられる量ではだめだ。それでは能力爆発は起こらない。絶対に無理、どんな方法を使っても不可能だというくらいの負荷を自分にかける。すると苦境を乗り越えようと防衛能力が芽生え、進化する。進化は危機からやってくるのだ。
Newspicksbookが今、全国で大展開されているのは毎月本を出し続けているからだ。僕の編集力があるからではない、圧倒的な量を作っているからだ。
そこそこ優秀。そこそこ目立っているうちは周りから可愛がられる。ずば抜けると評論家気取りの連中に、そのスタイルを批判、中傷される。しかし、それがブランドになったという証拠だ。
そして周りから批判を浴びた時に自分を支えてくれるのも、また量だ。「オレはお前らが寝ている間も動いている。誰よりも量をこなしえきた。なめるなよ」と。確かな感覚が手に残っていれば、胸を張って戦える。
量だけは裏切らない。誰よりも動け。

熱狂に出会うための自然消滅のススメ
熱狂できることに出会うためには、自然消滅上等であれこれ手を出せばいい。まずは口癖を変えるのが有効だ。
「やりたい」→「やります」
「行きたい」→「行きます」
僕は興味がないものを覗いて、すぐ「やります」「行きます」と即レスする。もはやこれは癖だ。物理的に可能ならばすべてオファーは受けるようにしている。
「やりたいです」「考えます」と悠長なことを言っている奴に黄金の果実は降ってこない。誰もそんな人間に渾身の企画を提案しようとは思わない。願望と行動の間にはとてつもなく大きな溝がある
願望など何の役にも立たない。宣言すれば、具体的な行動も決まる。
あいつならすぐに走り出してくれる。そう思われる存在でなければならないのだ。
ここで重要なのが、「やります」と即レスして仕事を受けまくっていると、だいたい6割くらいは自然消滅する。物理的に回せなくなったり、熱量が続かなかったり。しかし、それでいいのだ。
一度やると言ってしまったからやらなければならない、というのはサラリーマン的発想だ。
とてつもなく忙しい熱量の高い人たちと仕事をしてみたら分かるだろう。彼らは膨大な数の案件を何本も走らせているから、企画が途中で自然消滅しても気にとめない。すぐに次を、前を見ている。
何が当たるか分からない時代は、完走することよりも、とにかく一回ダッシュしてみることのほうが大切だ。
なんか違うなと思ったり、気が変わったら、走るのをやめてしまえばいいだけ。
やるときめたことを自然消滅させることを「悪」だと思うかもしれない。
でも、意識を変えよう。
それか無責任とは違う。
無責任とは、熱狂してないのに業務的に仕事をこなしている状態だ。熱狂しているプロジェクトであればどんな困難が襲っても血だらけになりながら最後までやり切れるはずだ。集中力が違う。
しかし熱狂の種などまずはやってみないと見つからない。
だからこそ自然消滅上等で、片っ端から「やります!」と手を挙げていけ。あれこれ手を出しているうちに、好奇心が好奇心を呼び、熱狂が熱狂を加速させる

何か一つでトップになれ
多動力の本質は、あれこれ手を出すことではない。まずは何か1つで突き抜けるということだ。なにか1つのジャンルでトップになるから、横展開が可能になるのだ。何かのトップだから他のトップから声がかかるのだ。
まず何かに入れ込め。周りが引くくらい没入して、夢中になって、一点突破で突き抜けろ。

変わり続けることをやめない人は変わることをやめたときに腐る。ただ楽しいから波に乗る。変化を楽しみ自由に船を動かすほうが結果として財宝も見つけてしまうのだ。会社という大型客船よりも僕のこのゴムボートのほうが強いと確信している。

第五章  人間関係の作り方
【癒着せよ】

仕事とは人間と人間がするものだ。業務的な関係を打ち破り、どれだけ相手の本当の言葉を引き出せるか、ねじり合い溶けあうような関係になれるか。まずは自分が丸裸になるしかない。

丸裸になれ
相手に装備を解除させ丸裸にするためには、まずこちらが、そこまで脱いでしまって大丈夫かのかと心配されるくらい、無防備になることが大事だ。
嫌われることなど恐れるな。全部を見せて嫌われるなら、それまでだ。大丈夫。完璧な人間なんてどこにもいない。この人と話している時は一番自分らしくいられる、と思われるかどうか。どんな仕事も関係ない。機械的な人間関係を突破し、相手の生身の感情を引き出し受け止め、溶け合うような関係になれれば、仕事は一気に加速し、本質的なものに変わる。
まずはこっちから全てをさらけ出してしまえば、相手も警戒を解いてこいつは信頼できると思ってくれる。丸裸になろう。

憑依レベルでブンセキせよ
起業家の本を作りたいと思ったけれど、誰に相談すれば本物の起業家と出逢えるか分からなかった。それでも人間である限り感情があるのだから、不可能ではないのではないか。
自分に実績がなくても「こいつとならやってもいいかな」と思わせる言葉を捻りだし相手の感情を動かすことができれば、チャンスがあるはずだ。
そのために重要なのは、どれだけ相手の心を想像し寄り添えるかだ
「こいつ、自分のことを誰よりも分かっている」と相手に確信させるコトバを吐くことができれば道は開ける。
表面上だけではない心の奥の部分、人間臭いところまでも嗅ぎ取り、言語化する。直接話ができるような相手であれば、普段接している中で相手の動向に目を光らせ、ブンセキすればいい。
簡単には会えない人の場合は、その人の本や過去に出演した番組やツイートなどを徹底的に記憶するまで吸収し、どんな人なのか想像し尽くすしかない。僕はそれを「憑依レベルのブンセキ」と名付けている。相手が自分に憑依しているかのように、相手の気持ちが分かる。その状態まで持っていく。
実際に会った時に、何を話せば、どういう言葉をぶつければ、「こいつは俺のこと分かっている」「こいつとなら仕事をしてもいい」と思ってもらえるか、考えるのだ。
見城徹の場合は、過去のテレビ本すべての発言を記憶した。そして手紙を書き、初対面で熱い想いをぶつけた。
しかし注意が必要だ。どんな熱い言葉をぶつけても、相手がそれ自体を望んでいない場合がある。つまりは、ブンセキが甘いのだ。
どんな言葉を伝えるかだけではなく、「そもそも熱い言葉を求めているのか」「いかなる方法で伝えるのがベストなのか」まで相手の立場になって考える必要がある。
僕はホリエモンをブンセキし、「8人のイノベーターを僕がインタビューして、堀江さんがその原稿を読んでコメントする」という企画を提案した。「コメントするだけなので移動中にスマホをいじるだけで完成する本です」とオファーしたのだ。
相手が何を求めているのか、どんな本性なのかを、相手自身が気づいていないところまで想像し、理解し言語化することができれば、何の実績がなくても信頼を勝ち取ることができる
そうなって初めて人間と人間として信頼してもらえるのだ。相手が自分に憑依してくるまで、想像して想像し尽くせ!目的だけをにらみつけろ
僕が見るべき相手は著者ではない。僕の本当のターゲットは、読者だ。過程ではない。結果だ。
大切なことは、いい本を作り、売るためには、なにが必要なのかと死に物狂いで考えて、実行する。そのためにペコペコすることが有効な手段だったら首が折れるまでペコペコする。
インタビューの場では120まで踏み込んで、エグいくらいに聞いたほうがいい。相手のご機嫌など伺わず、急所に切り込めなければ意味がない。
編集者は書き手のファンではなく、読者の代表だ。
僕は何でも突っ込んで聞いてしまう。すると相手もガードを下げて普段話さないことまで打ち明けてくれることが多い。無邪気に聞く。失礼な奴だな、と思われてもいい。そこから本当の言葉が、生身の人間性が溢れ出してくる。
絶対に言ってはいけない秘密なのに「この人に言ってしまいたい」と思われる人間になれるかどうかが編集者として重要だ。
僕にとっての目的は、あくまで良い作品を作って売ることであって、いくら著者のことが好きであっても、気に入られることは目的にはならない。だから、怒られてしまうかもしれないと何かを躊躇することはない。
作品が良くなるのなら言いにくいことも言う。売れればいい、と思っている。萎縮することもない。媚びを1000回売っても信頼は生まれない。衝突、もめごと上等でただ目的地だけをにらんで走り続けろ。
結果と結果、力と力で向き合い、しっかりと自分が思うことを伝え、良い作品に仕上げ、売るのだ。

第六章 生き方
【熱狂せよ】

大半の仕事をロボットがやるようになれば、人間は人間にしかできないことをするしかなくなる。合理性から逸脱した偏愛。すべてを失ってでも没入する熱狂。ロジックや計算では計れないものごとに価値が生まれる。努力は夢中に勝てない。

ただ熱狂せよ
僕ほど売れること自体を目的にしていない編集者も珍しいと思う。
過去の類書の実績などを根拠に書籍企画を作っているのを見ると驚く。そんな画一的な仕事はAIにでもやらせておけ。僕はマーケティングありきの仕事をしたことがない。
僕はただ自分が読みたい本を作るだけだ。最初の瞬間には、売れるか売れないかなどどうでもいい。自分が好きな本を好きな著者とつくる。
落合陽一「日本再興戦略」の帯には、本の具体的な中身など説明していない。帯には僕が好きな彼のツイートをそのまま載せた。
―――――――――――――――
ポジションをとれ。批評家になるな。
フェアに向き合え。手を動かせ。
金を稼げ。画一的な基準を持つな。
複雑なものや時間をかけないと
成し得ないことに自分なりの価値を
見出して愛でろ。
あらゆることにトキメキながら、
あらゆるものに絶望して期待せずに生きろ。
明日と明後日で考える基準を変え続けろ。
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青木真也の「空気を読んではいけない」も僕が当時使っていた品川駅の南口のサラリーマンの大衆の中に、上半身裸の青木を立たせたいと考えた。世間から逸脱した格闘家の異様な光景を想像し、見て見たくなった。それだけだ。
僕は僕が読みたいものを作って、僕が見たいデザインにしているだけ。まずは自分が好きなものを作る。好きだから一冊でも多くの人に届けようと努力しているだけだ。
世界中の誰も興味を持たなくても、もし自分が最高の本だと思えれば僕はそれでいい。死ぬときに自分の編集した本を本棚に並べて、ときめくことができればそれが成功だ。
大切なのは自分の心がどれだけ動くか。だから僕はただひたすらに自分の感覚で自分が読みたいものを作る。こっちから読者や時代に合わせに行くことはない。

数字から逃げるな
好きなことをやり続けるには、金がいる。数字と戦わなければならない。甘えるな、自分の金でやれ。覚悟が甘い人間のコンテンツはゆるい。ビジネスでやっているのだから、儲からなければいずれ終わる。
結局は、本が売れるか売れないか。堀江貴文の「多動力」は数字を取りに行く、という明確な意思を持っていた。本の作り方から、プロモーション戦略に至るまで、売れるということから逆算して、僕のそれまで培ってきた全知見、全人脈を賭けて一滴の水もこぼさぬ覚悟でやりきった。
Newspicksbookの収益モデルは、月額500円のサービスで、毎月1冊自動的に本が送られる。今では3000人の会員を越え、毎月数百万円は安定的に収益が上がるようになってきた。この構造により、書店で1冊も売れなくても赤字にならないシステムを構築。なので好きなものをつくって、わがままし放題できる。その勢いが読者に伝わって、また売れていく。好き勝手に暴れるためのベースは計画的に着々と作ってきた。
好きなことをやるために、
そこから逃げるな。
そのために、数字から逃げるな。
金を稼げ。
金を稼いで、ロマンを語れ。

自分の体で実践する
ホリエモンに「箕輪君はここ1年で見違えるくらいブレイクしたけど、それって「多動力」に書いてあることを実践しただけだよね」と言われる。
まったくそうだ、僕は「多動力」に書いてあることを片っ端から実行していった。
僕は誰よりも自分が作った本の真理を理解し、体現してまさに化身となる。
たった一人で熱狂し、空気を読まず、多動力を発揮し、己を奮い立たせながら、お金2.0の発想でビジネスをしている。
周りが引くくらい著者と本に没入する。誰よりも感銘を受け、実行し、自ら本の分身となりながら、その本のメッセージを生き方をもって体現する。
言葉の羅列を見せるだけでは人は動かない。僕自身が誰よりも原稿に入れ込んでいるから読者も熱狂してくれるのだ。

識者や業界人の評価などいらない
・「箕輪氏は出版界のセックス・ピストルズだ。彼は上手いか下手か?ではなく、熱いかどうか?伝わるかどうか?に命を懸けているんだ
実際、本なんて紙に字が印刷されているだけで、ものを伝達する手段のひとつにすぎない。
問われるのは、その1冊が誰かの心に深く突き刺さるか。実際の行動を変えるかどうかだ。
今や活字により情報やノウハウはスマホがあれば無料で手に入るし、出版社など通さなくてもTwitterやブログで誰もが世界中に活字コンテンツを発信できるようになった。
僕は究極、中身がすべて白紙の本であっても、人の行動を変えることができればいいと思っている。情報の価値自体がかぎりなく0円になっている今、本は体験を売るしかない。
この本で意識が変わる。見方が変わる。行動が変わる。これらの体験までデザインすることが重要だ。

僕はNewspicksbookで情報を売っているのではない。思想を売っている。そのあとのイベントやSNSでのフォローで体験をデザインし、行動を変えるところまで考えている。評論家が☆1を付けようがどうでもいい。
今何かと戦っている人の武器になって欲しいと願っている。

この世に受け入れられない才能を愛する

ホリエモンと井川意高の対談本「東大から刑務所へ」では、2人は刑務所生活で何ひとつ変わってないことが分かる。
ホリエモンはよりホリエモンらしく、ふてぶてしくも大胆に進化し、井川意高も同様に、井川という人間の輪郭をより鋭角にしていただけだ。世間の常識や論理など関係ない。自分の本能と欲望に従い、己のルールで生きている。
2人は刑務所で何か学びを得るどころか「逮捕されてよかった」「本当の自分に出会えた」と居直っているのだ。
「人生いろいろ垢がつくから、刑務所にたまに入るのも悪くないですな」「獄中デトックス、獄中ダイエットだよ」と笑っている。2人は「個体の掟」で生きている。
このような世間の常識から自由な人間は、世の中の一般人にはとうてい受け入れられない。秩序を乱しかねない危険人物だと認識される。
僕はまったく反省せず、個体としてありのまま生きている2人の対談をそのままの状態で出した。
東京駅の新幹線でこの本を読む。何らかの人生訓を得ようと思った読者に「こいつら全然反省してねえじゃん」と脱力してほしい。
「オレなんて逮捕されるほど悪いことしてるわけじゃないんだし、つらくてもがんばらないとな」とクスリと笑ってほしい。心が楽になればいい。
僕はNewspicksbookでビジネスノウハウや人生訓を垂れたいと思ったことはない。自分のやりたいことに忠実であれと訴えている。
水と油のようにどんなにかき混ぜても世間と混ざり合わない異物を世に出して「いろんな生き方」があるんだな、と思ってもらえればそれでいい。
生き方や人生に正解はない。
自分をさらけ出して、個体として生きよう。

努力は夢中に勝てない
僕は意識的に、自分の心がワクワクするかを行動基準にしている。
なぜなら「努力は夢中には勝てない」から。これからは夢中になれるものを見つけている人が豊かになる。そのためには行動するしかない。
ベーシックインカムの導入が現実となれば、稼ぐために働くという生き方がが減っていくのは間違いない。AIが発達し、農作業も配送業もロボットが寝ずにやるようになる。すると圧倒的に生産コストが下がる。月額いくらか払えば衣食住が保証されるサービスをフェイスブックやアマゾン、ZOZOがはじめてもおかしくない。労働の時間は減り、お金の価値は下がり、やりがいや生きがいの価値が上がっていく。
やりがいのある仕事はもはや労働ではなく、遊びなのだ。
ウダウダと考え過ぎずに、どんな仕事や誘いでも「やります」「行きます」を口癖にして、とにかく動く。そして小さな成功体験を重ねる。

人は全く手の届かないものを欲しいとは思えない
小さくてもできることを繰り返していると、人生をかけて夢中になれることがやがて見つかる。
人生とはそもそも、自分が夢中になれるものを探す旅なのだから、人生を賭けるほど夢中になれるものを見つけるのは簡単ではない。
大切なのは、常識に縛られないこと。個体としての欲望と偏愛を解放しろ。ごちゃごちゃいう前にとにかく動け。
リスクと思っていることは全部、仮想的なものだ。
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人生など長いドラマであり、
ロールプレイングゲームに過ぎない。
失敗もトラブルも全部、
話をおもしろくするためのイベントだ。
今ほど挑戦する人が楽しい時代はない。
死ぬこと以外かすり傷と叫びながら、
ただ狂え。
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おわりに
バカになって飛べ!

僕は「なんか今、ものすごい大きな音がしたけど、どっかで爆発でも起きたの?」と思われるような、不確かで、何の意味もなく、解釈のしようがない存在でいいと思っている。そこに正義感や高尚な理念などない。時代のあだ花(実を結ぶことなく、はかなく散り去る花)でいい。どっかで破滅して、なんか箕輪っていう編集者いたよねって言われるくらいがちょうどいい。

居心地がいいということは挑戦していないということ。
成長していないということだ。

僕自身は、落ちるか落ちないかギリギリの綱の上でこそ輝く人間だと思っている。
動き続け、変わり続けないと飽きてしまう。
僕が飽きていることは読者にすぐにはバレないだろう。しかし、半年くらいのタイムラグがあって世間にもきっと伝わる。そうやって、多くのムーブメントが終わっていく。

だから、この本に書いてあることは、この時点で決別し、僕はまったく新しいことを、また始めないといけない。
変わり続けることをやめた時点で、僕という人間に価値はない。
だから、活動の領域を変えていく。本は本のままでは意味がない。
本の中で世の中を変えようと訴えるだけではなく、僕自身が手を動かして世の中を変えていく。
箕輪編集室には1300人のメンバーがいる。箕輪マフィアが全国にもっと増えて行けば、世の中はもっと楽しく、もっと自由になっていくと思う。この私塾を起点に世界を驚かせていく。そのためのアイディアは頭の中でもう爆発している。今、ここが最先端だ。

僕の編集する本は他のビジネス書とは違う。
情報価値を重視していない。時代の爆発を捉え、今を生きる起業家のリアルなひとコマをカメラでおさえるかのように切り取り、ビタミン剤のように気合を注入する。著者が変わっても大体パターンは決まっている。
なぜならば情報はどこにでもあるからだ。NPBでもTwitterでも講演会でも、最先端の情報は、その意志さえあれば誰でも手に入る。
大事なことは、行動するかどうかだ。それだけが道を分ける。
落合陽一も前田裕二も佐藤航陽も誰よりも毎日行動している。他の30代と持っている情報や知識が違うのではない。命を燃やしながら走っているのだ。

だから僕は、行動せよ、と読者の背中を押す。本はそのためのツールでしかない。
行動する人にとって今ほどチャンスの時代はない。

リスクをリスクと思わない。無謀な勝負に打って出る。偏愛にまかせて没入する。打算やロジックから逸脱した型破りな人間に金も人も情報も集まってくる。

楽しく酔って、
騒ぎまくろう、
歌いまくろう、
踊りまくろう。
そしてまた翌朝、しれっと反省して、ケロッとしてまた同じことを繰り返せばいいのだ。

この世は酔いがさめた人間、まともになった人間から脱落していく愉快なレースだ。
世界に対してできることを考えながら、自分らしく狂え。ありのままで楽しみながら、自分にしか生み出せない何かを作れ。
リスクなんて何ひとつない。
失敗こそ最大のブランドだ。
バカになって飛べ。
傷ついても、それをネタにして笑いながら、
まあそこから走り始めよう。


今この瞬間に、いっせのせで、意味がないと思いながらやっている仕事や、価値がないと感じながら作っているものを作ることをみんなでやめて、すべての人が自分が心から熱狂できることを始めたら、世の中はもっとイノベーティブでポジティブなものになると思う。

あなたがやりたくないことはあなたがやめても実は誰も困らないことだ。明日から何事もなかったように、世界は続いていく。
しかし、
あなたが心の底からやりたいと願うことは、
あなたにしかできない素晴らしいことだ。
明日からの世界を変える可能性がある。

リスクなんてない。
すべての成功も失敗も、
人生を彩るイベントだ。

未来は明るい。
バカになって飛べ!

著者/箕輪 厚介
日本の編集者、実業家。株式会社幻冬舎勤務。 株式会社エクソダス取締役。CAMPFIRE community チェアマン。2010年に双葉社へ入社。ファッション雑誌の広告営業として4年間勤務し商品開発、イベントなどを企画運営に携わる。2013年に与沢翼を責任編集長とした『ネオヒルズジャパン』を創刊しAmazon総合ランキングで1位を獲得。編集者として見城徹『たった一人の熱狂』、堀江貴文『逆転の仕事論』、青木真也『空気を読んではいけない』を担当。ヒットをとばす。2015年に幻冬舎に転職し、堀江貴文『多動力』、前田裕二『人生の勝算』、落合陽一『日本再興戦略』を担当。2016年に堀江貴文イノベーション大学校(HIU)特任教授に就任。宣伝会議主催「編集者・ライター養成講座」東京教室及び大阪教室で講師を担当。2017年に「NewsPicksアカデミア」を立ち上げ、NewsPicks Book創刊、自身のオンラインサロン「箕輪編集室」を主宰。オンラインサロンと連動しながら、コンサルティング・プロデュースを手掛ける。合同会社波の上商店を設立。2018年に、株式会社CAMPFIREと株式会社幻冬舎の共同出資会社である株式会社エクソダス取締役に就任。

追記。

私は、箕輪さんの編集する本のファンだ。
箕輪さんの発する言葉が好きだ。

箕輪さんの言葉でいうならば、
「箕輪偏愛」だ。

どれだけ偏愛かというと
全本、好きな部分を写経してるレベルで好きだ。
(ほぼ好きだから、もうほぼ、だ。)

箕輪さんの言葉は、スッと入ってくる。
難しそうな知識の本でも、スッと入ってくる。
読むと、勇気がでる。元気がでる。
悩みが全部ちっぽけになって、なくなって、
人生が楽しく思えてくる。
写経のきっかけは、
その秘密が知りたかったから。

気づいたらほぼ写経してるから、
ある意味憑依してる。

前田裕二さんは元々好きだから
「人生の勝算」を写経した頃から、
本人を分かった気になってる。
そして「人生の勝算」は
前田さんの性格には珍しく、
文章の構成に未完成さが残る。
箕輪さんと限られた時間の中、
猛スピードで仕上げた感があって
その感じもまた、いい。

「死ぬこと以外かすり傷」は、
一箇所誤字も発見した。
そのくらい、見ている。やばいと思う。
そして誰にも好きを公言してないのが、
さらにやばい。オタクである。
Twitterはあえてミュートしてる。
気になってしまうから。

たぶん、という余白を残すけど、
箕輪さんの編集した本なら
ヒントなしに、当てる自信がある。

「たった一人の熱狂」、「多動力」、
「人生の勝算」、「死ぬこと以外かすり傷」。
この辺りは共通言語が多く、
一気に写経でもしたら、もう箕輪さん思考になるから注意したほうがいい。

もちろん、サウナランドだってゲット済み。
あの本の構成は、神と崇めた。

そしてどうでもいいが、昔旦那さんが
「死ぬこと以外かすり傷」の表紙を見て、
「病は気から!ってことね」
とかすり傷を絆創膏で巻きながら言ってきた。

「全然ちげーよ」て一瞬思ったけど、
つまりはそういうことかもしれない、
とも思った。

最近は
「すべては、気から」なんじゃないかと、
生きている。


終わり。

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