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外注のWebライターに理想のコンテンツを書いてもらう方法

皆さん、ごきげんよう。
Bitter Orange Radio、東京担当の橘ねろりです。

さて、世の中にはいろいろな職種がありますよね。
私は新卒から編集者兼ライターの仕事を続けてきました。
現在は、株式会社No.1デジタルソリューションというIT企業で、Webサイトのコンテンツ制作に向けたライティング、そして社内の広報業務を担当しています。

ライターと一口に言っても、いろいろなライターがいると思いますが、
私も、さまざまな立場で、またさまざまなライティング業務をひと通り経験してきました。
ここまでの経歴としては、紙媒体の雑誌やパンフレット、広告、新聞、書籍、Webなどあらゆる媒体で編集者やライターの経験を積んできました。

また、雇用形態としては、正社員・契約社員・派遣社員・アルバイト・フリーランスとしてのライター経験があり、企業の業種も出版社・編集プロダクション・広告代理店・デザイン会社・一般企業の広報部など、さまざまな企業の編集・広報部門に所属し、ライティング業務をメインに担当してきました。

そういうわけで、あらゆる立場に置かれているライターの気持ちや裏事情が分かると自負しているのですが、同じ職業の社外ライターに、自分の代わりになってライティングをお願いする場合、やはり自分で書くときとはまた違った配慮が必要だということが分かってきました。事前にしっかりと準備や伝達をしておかないと、要望どおりの原稿が仕上がらないのです。

今回は、そんな手が回らないときに取材・執筆をお願いしたい外注のWebライターに対して、理想のコンテンツを書いてもらうための方法をまとめてみました。


◆POINT1 どんなWebライターと業務提携するか

当社は、クラウド商品とWebサイト商品を扱うIT企業ですが、プロとして活躍してきたライターとフォトグラファーが社員として在籍しています。
Webサイトのコンテンツを作成する際には、ライターによる取材・執筆が必要になりますが、社内ライターの手が回らないときには、外注のWebライターに業務を依頼しています。

そもそもどんなWebライターが当社と業務提携しているかというと、長年フリーランスで活動してきたベテランライターが多くいらっしゃいます。

当社の外注ライターの特徴としては、

・紙媒体とWebの両方でライター経験がある
・対面インタビュー経験が豊富にある
・ライター経験10年以上
・ホームページを1本自力で書き上げられる

という能力のあふれた現役ライターの方たちです。

私たち、社内ライターが外注ライターを選考する際、文章構成力が高く、緻密な校正にも対応可能な即戦力となれる人、という希望がありました。
そういうわけで、当社の外注ライターには、紙媒体のライター経験が豊富にある方が中心に集まりました。

その理由は、やはりWebだけのライター経験しかないと、比較的自由なスタイルでも許されるWeb特有のゆるい原稿は書けても、表現や表記に厳格な企業向けの原稿などは不得手だったり、文字校正などの細かい修正が苦手だったりする方が多くいると分かったので、原稿を1本丸ごと任せるとなると、やはり紙媒体で編集業務も含めて鍛えられている方のほうが依頼しやすいと思いました。

結果、雑誌や書籍などの編集・ライティングとWebライティングの両方を経験しているベテランライターの方たちに業務を手伝っていただいています。

◆POINT2 業務はどのWebライターに依頼すればいいのか?

社内で外注ライターへの発注が決まるときは、社内ライターが取材の重複や多忙な状況にあるために取材執筆を担当できない場合です。
いざ、外注ライターに依頼するとなると、以下の点を意識して、どのライターに声をかけるか考えます。

・コンテンツのテーマは何か

Webサイト制作は企業のお客様が多いため、外注ライターもその企業の業種を理解できるような方を選びます。外注ライターにも得意分野や専門分野を持っている方が多いので、その専門知識を生かせるような方を抜擢します。

たとえば、取材先が店舗や飲食店の場合は、これまで情報誌や情報サイトなどの取材に慣れている方を、また企業や教育機関などの取材の場合は、地域や公共機関などの取材に慣れている元新聞記者の方を、そして介護施設や幼稚園などの取材の場合は、家庭やお子さんを持っている方に依頼するなど、取材案件に苦手意識のない方を選びます。

・取材日時と場所に訪問可能か

現在はオンライン取材がとても多くなりましたが、時々、訪問取材があります。
その場合は、必ず担当ディレクターも同行しますが、建設現場などの危険な場所や、夜間の取材などになる場合は、女性ではなく男性のライターに依頼することにしています。

◆POINT3 取材前のミーティングで細かい情報を伝える

取材の前には、必ずミーティングを行っています。
通常の社員だけでの取材の場合は、案件担当のディレクターと社内ライターとで打ち合わせを行っていますが、外注ライターに依頼する場合は、初回のみ、社内ライターも付き添います。

ミーティングはオンラインで行います。
ディレクターがWebサイト制作用の設計書であるワイヤーフレームを用意していますので、外注ライターにも事前にメールでワイヤーフレームをお渡ししておきます。
そしてミーティングに参加していただき、ひと通りディレクターからの説明を聞きます。
内容は、ワイヤーフレームの構成や、インタビューをして書き起こしてほしい部分の確認、また取材相手の情報や、納品期日など、お互いに確認し合いながら進めます。

ここで、社内ライターからも、ライターの立場でいくつか注意点やアドバイスを伝えておきます。
ここでの情報が、のちに仕上がってくる原稿のクオリティーに直接影響するので、一番大事なところです。

・伝達事項① インタビュー相手の情報を収集すること!

当社が作成するWebサイトは、主に企業のコーポレートサイトと、採用サイトです。
コーポレートサイトの場合は、企業の紹介と集客するための事業のアピールポイントなどが盛り込まれた内容にまとめます。
また採用サイトの場合は、求人の希望者が多く集まるように、働く人にとって魅力的な企業に見えるようなサイトに仕上げます。

そのため、担当ライターは取材前には、必ずその企業の既存ホームページなどで企業情報をしっかり確認し、理解しておくことが大事です。
コーポレートサイトなら、どんな企業で、どんな商品やサービスを提供しているのか、採用サイトなら、どんな人を採用したいのか、またはどんな人なら理想の人材として活躍できるのかなど、すでに公開されている企業情報から読み解きます。

このように、既存サイトのリニューアルのためのサイト制作の場合は、Web上に存在する対象企業の情報や業界の情報について調べ、予備知識を持っておきます。

一方、サイトを新規で制作する場合は、Web上に対象企業の情報がほとんどありません。その場合は、同業他社のサイトを確認し、どのような業界で、どのような事業が多いのかなど、情報を集めておきます。

このような事前準備を外注ライターにもやっていただくようにお願いしておきます。

・伝達事項② スムーズなインタビューをするためのアドバイス

ワイヤーフレームはディレクターが作りますが、インタビュー自体はライターに任されるため、ライター自身が進行していきます。
そのため、ワイヤーフレームの順番に必ずしも沿ったインタビューをしなくても良いので、ライターがまとめやすいように、質問事項も自分なりに整理していただきます。

また、うまく進行しやすい例として、インタビューを受ける人が質問に答えていくなかで、自分自身でも言いたいことが整理されて、どんどん話したくなる、どんどん紹介したくなる、というような会話の流れを誘導できたらスムーズでしょう。
そんな質問の仕方などをアドバイスしたり、インタビューを滞りなく進めるための提案などを伝えておきます。

・伝達事項③ 業界特有のワードを事前に提供

専門的な事業を行っている企業の場合、インタビューを受ける人から当たり前のように出てくる業界特有のワードがあります。
そのようなワードを知識として入れておかないと、話についていけない場合があるため、事前に予想がつく場合は外注ライターにも伝えておきます。

たとえば建設業界の場合は、工事前の危険予知活動を意味する「KY活動」や、コンクリートを解体する意味の「斫り(はつり)」、また不動産やリフォーム業界で使われる、入居者が引っ越した後に行う「原状回復(✕現状回復)」など、業界でよく使われるワードなどは、前もってお伝えします。

◆POINT4 初回の取材は社内ライターも参加してサポート

もし、初めての依頼でお仕事をお願いすることになった外注ライターの場合は、初回の取材だけは社内ライターも参加してサポートするようにしています。

サポートが必要な場面は、こんなときです。

・業界特有の言葉がたくさん出てきたとき。
・インタビュー相手が寡黙で、十分なコンテンツを書けないと判断した場合の追加質問のサポート
・インタビュー相手から原稿作成のフローなどについての質問が投げかけられたとき

外注ライターが困惑しているようなときにはフォローし、なるべくスムーズなインタビューが行われるようサポートします。

◆POINT5 初回の執筆期間は余裕を持って設定

取材が終わった後、納品時期を設定します。こちらも急なスケジュールで依頼している場合が多いため、外注ライターの現状のスケジュールを伺います。
可能な期間で執筆していただけるように伝えますが、初回の場合はあまりきついスケジュールにならないように、余裕を持った日程で設定します。

◆POINT6 原稿の文字量についてのアドバイス

インタビューが終われば、今度は原稿執筆についてのアドバイスやお願いごとをお伝えしておきます。

原稿の文字量については、紙の雑誌などと違い、Webサイトではきちっと決まった文字数はありません。
Webサイトでは、情報に変更があれば公開後に文章を変更したり、削除したりすることも可能ですし、逆に情報を増やすこともできます。そのあたりの文章量についてアバウトに設定されているところがWebサイトコンテンツの特徴かと思います。

そのため、ライターとしては、ワイヤーフレームに沿った適量の文字量を想定して書くことになりますが、そのボリュームについては事前にアドバイスしておきます。

インタビュー相手がどれだけたくさん話そうと、取り上げる内容のポイントや、端的にまとめる例などを提示して、ボリュームを抑える方法を伝えます。逆に多く語っていただけなかった場合には、少ない言葉からボリューム感を出すための文章の増やし方などを提案し、どちらに転んでも文章をしっかり用意できるようにアドバイスします。

◆POINT7 当社独自の表記統一を反映する

当社では、社内ライターが作成した独自の表記統一表があります。
ライターによって表記がバラバラになることを避けるために、原稿作成に必要な表記が網羅されている表記統一表を用意し、外注ライターにもお渡ししています。

誰が書いても当社が作成するコンテンツはきれいに表記統一されているものを入稿し、常にクオリティーの高いコンテンツをお客様に提供できるように努めています。

Webライターにもこの表に則って、表記統一をしていただき、今後何度も執筆の依頼をする場合も含めて、当社の表記統一の方法を覚えていただくようにお願いしています。

◆POINT8 誤字脱字や表記ゆれを修正する校正も依頼

原稿を仕上げていただいたら、必ず外注ライター自身に校正をお願いしています。
誤字脱字や表記ゆれなどの修正、表記統一の反映など、自身で文字校正を行っていただいてから、納品していただきます。

◆POINT9 納品後の原稿校正は必ずフィードバック

外注ライターから原稿が納品されたら、社内ライターが内容をチェックします。
自分の代わりに書いてくださっているので、自身の原稿のまとめ方や総合的な仕上がりをベースに、文章の構成、文字量、必要な情報が含まれているか、などをチェックし、ズレが出ている場合は、外注ライターと直接連絡を取ります。

その際に、外注ライターの方のご意見も聞き、より良い記事になるように調整していただきます。一度業務を行えば、2回目以降からは慣れていくと思うので、初回はすり合わせたり、修正をお願いしたりすることが多くなりがちですが、外注ライターの皆さんにもそのあたりは了承していただいています。

納品後は、社内ライターがさらに校正ツールと目視の両方で徹底した校正を行い、2名以上のライターでダブルチェックします。
最終的には、国語的に間違いのないコンテンツに整えてから入稿するようにしています。

赤字が入った原稿は、必ず外注ライターにフィードバックし、表記の統一など修正の方向を確認していただき、今後のために覚えていただくようにします。

◆POINT10 コンテンツ制作の仲間としての感謝と期待を伝える

納品された原稿が無事に入稿できたら、外注ライターにもご連絡します。
ご協力いただいたことに感謝を述べ、今後も依頼を受けていただけるようにお願いし、原稿料の支払い手続きへと移ります。

これが外注のWebライターに取材執筆を依頼した場合に、理想のコンテンツを書いてもらう方法ですが、いかがでしたでしょうか。

依頼するにあたって忘れてはならないことは、

・外注ライターは業務を助けてくれるありがたい協力者だということ。
・同じライター業界を牽引する仲間だということ。
・自分には持っていない知識や経験を持つリスペクトすべき人たちであること。
・他社の仕事も請け負っている方々なので、無理強いやきついスケジュールで依頼してはいけないこと。
・より良い記事を書いていただけるように、お悩みや不安も解消できるように対応し、できるだけのサポートをすること。

これらのことに気を付けながらお付き合いをしていければ、きっと要望に沿ったコンテンツを仕上げていただけると思います。


「Bitter Orange Radio」では、
今後もさまざまなコンテンツをお届けしていきます。

今日がどんな日でも、「素敵な自分を応援する」あなたへ―。
小さな灯が心にともりますよう。

お相手は、橘ねろりでした。


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Webライティングの現場から~「今日、頬杖に載せたもの」

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