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なずなはな
2020年12月1日 13:53
私はおばあちゃんっ子と言えるほどではなかったけれど、十一歳という多感な時期に同居していた祖母を亡くしたせいか、「おばあちゃんが出てくる話」にはかなり感情を揺さぶられてしまいます。最初の数ページで、「泣かずに読めるだろうか?」と少し悩みました。でもがんばってみよう。物語には、読了後しか得られない魔法がある。それからすぐ、いい話だな、と思いました。中学校へ行きたくないと言い、おばあちゃんの
2020年11月28日 18:21
深い青の表紙と、綺麗な表題に惹かれて購入しました。紹介文からジャンルを想像する程度で、特に前知識もなく読みだす時の、わくわくする感覚が好きです。やがて読者の想像の世界にあらわれ始める風景は、人々は、どんな風に絡まりあってどんな物語を織りなすのか。渦を描くような見た目となっている地図「十八諸島臨海図」が、最初に掲げられています。中心には王島イズー。その島を中心として、三つの同心円が描かれ、そ
2020年11月25日 19:07
「プロローグ」と書かれている始まりの章は、ミステリー小説でよく目にするけれど、それはきっと不可欠な要素なのだろうなあ、と思っていました。そこには犯人の独白や、犯行直前、現場、直後などの描写がある。いったいぜんたい、ミステリーにおける序章とは、どのような意味を持っているのだろう。読了後に考えてみよう、そう思って読み始めました。英語で海月を意味する表題の単語は、きれいな語感なので好きです。表紙の
2020年11月23日 23:56
山本周五郎の全集の、タイトルだけを見て読み始めた作品です。華やかなお話かと思ったら、全くの勘違いでした。いやはや。江戸時代の武士や町民や花魁の生活を中心に、老中田沼意次の主観をも組み入れて壮大な群像劇と成した、そんな作品でした。田沼意次は、歴史で習った時もあまり良い印象ではなかったように思います。この作品でも、市井では商人への課税を増やすなどして恨まれていましたが、意次自身は、幕府が商人た
2020年11月17日 00:49
久しぶりに、吉本ばななさん著「体は全部知っている」所収の「みどりのゆび」を読んだ。私はかつて吉本ばななさんの文庫本を買いあさり、特に好きな本は何度も何度も読んでいたほど、ハマっていた。お気に入りの本を挙げたら枚挙にいとまがない。「キッチン」はもちろん、「デッドエンドの思い出」「チエちゃんと私」「High and dry(はつ恋)」「海のふた」「ハチ公の最後の恋人」「みずうみ」「王国」シリ