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感想

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映画や小説、漫画や記事の感想です。 Photo by Christopher Sardegna on Unsplash
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2020年12月の記事一覧

まるで魅了の魔法をかけられたよう。『おどる12人のおひめさま(エロール・ル・カイン)』感想

まるで魅了の魔法をかけられたよう。『おどる12人のおひめさま(エロール・ル・カイン)』感想

去年の夏頃のことでした。
同人活動で仲良くなった絵描きさんと、久々にご飯を食べに行き、色々な話をする中で……彼女に勧められた絵本作家、それが「エロール・ル・カイン」です。

その時私は、「アズールとアスマール」という、フランスのアニメ映画について話していました。
今は亡きジブリの高畑監督が、日本語吹替版の監修を行った映画です。

「『アズールとアスマール』っていう映画は、『キリクと魔女』と同じ監督

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知を得たいという欲求は、果てしない。『寝ながら学べる構造主義(内田樹)』感想

知を得たいという欲求は、果てしない。『寝ながら学べる構造主義(内田樹)』感想

まず思ったのは「寝ながら学べない! 寝てしまう!!」ということ。ごめんなさい。

本書は、初心者向けに分かりやすく、ていねいにていねいに、噛み砕きながら語って頂いています。
私の頭では咀嚼するのが精一杯で、理解に至ったとは言いきれませんが……

構造主義が構造主義たるゆえん、そして、現代に生きる私たちの考え方そのものが、構造主義につよく感化されているということ。
私たちがいま常識だと思っていること

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脳味噌をぐるぐるとかき混ぜられているような感覚。『笑わない数学者 MATHEMATICAL GOODBYE S&Mシリーズ(森博嗣)』感想

脳味噌をぐるぐるとかき混ぜられているような感覚。『笑わない数学者 MATHEMATICAL GOODBYE S&Mシリーズ(森博嗣)』感想

犀川先生と萌絵ちゃんのシリーズ(S&Mシリーズ)は、十七年前くらいに漫画版の『すべてはFになる(浅田寅ヲ)』を借りて読んだ以来です。

それは非常に特徴的な漫画であり、絵柄も独特で、また物語自体も特殊なので、ちゃんと理解はできなかったものの面白かった、と思ったのを覚えています。その時は個人的に犀川先生が好きで、萌絵ちゃんには特に興味はありませんでした。

今回は、クリスマスにかかわる本を読みたいな

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しずかで、やさしくて、こころよい。『西の魔女が死んだ(梨木香歩)』感想

しずかで、やさしくて、こころよい。『西の魔女が死んだ(梨木香歩)』感想

私はおばあちゃんっ子と言えるほどではなかったけれど、十一歳という多感な時期に同居していた祖母を亡くしたせいか、「おばあちゃんが出てくる話」にはかなり感情を揺さぶられてしまいます。

最初の数ページで、「泣かずに読めるだろうか?」と少し悩みました。
でもがんばってみよう。物語には、読了後しか得られない魔法がある。

それからすぐ、いい話だな、と思いました。
中学校へ行きたくないと言い、おばあちゃんの

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