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エッセイ、その他

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#ノンフィクション

『ぼくとルーツと今』

『ぼくとルーツと今』

 三十余年の人生を反芻(すう)するーー。紆余(うよ)曲折な生き方をしている・いたように思える。踏み込もう。

学生時代 非行少年ではなかった。ただ、周りに不良が多かった。特に中学生のころだ。

 具体的には?

 ーー剣道部の木刀が全て盗まれる。先輩や同級生がそれらを持って、他校に乗り込む、といった具合に、過激な非行を目の当たりにするのがつねだった。

 ぼく自身はどこかシラけた目で眺めていた。

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『沈黙する命』

『沈黙する命』

【記憶】

 小学4〜5年生の時の話だ。

 竹やぶのような山に、叔父がぼくを連れていった。秋田県に住む、叔父の家からすぐそこのところ。目的は告げなかった。黙って山を上りきった。

 炭となった車が一台、場違いな空気を放ちながら、佇(たたず)んでいた。

 無神論者だが霊的なものを感じた。無言の圧力を受け、耳鳴りがしそうだった記憶がある。言葉にしがたい違和感。

 少し経って「昨日ここで、車のなか

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『煙に包まれて』

『煙に包まれて』

【衝撃】 テレビ越しに映る世界貿易センタービル(WTC)に飛行機が突っ込む。煙を放ちながら、もう一台がWTCを破壊する。つづけてWTCが倒れてゆく。混乱状態にある人びと、助けを求める人びと。

 一瞬で。道路が灰に覆われるニューヨークの姿が、まじまじと映されていた。ーー22年前の今日、2001年9月11日の出来ごとだ。

 非現実的な光景を目の当たりに想像力は無力だ。

 当時ぼくは12歳だった。

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『試練の技術』

『試練の技術』


【AIの悪用】 AI(人工知能)が犯罪に悪用される恐れが高まりつつある。

 「ディープフェイクボイス」ーー。AIによって生成される他人の声のことだ。知人や親族の「なりすまし声」を犯罪者が活用できるのでは、と懸念されている。

 生成AIなど、精度の高い技術が企業の生産性を高めるなど、技術発展の恩恵は大きいだろう。生成AIによって議事録が作成される。

 また、蓄積されたデータを用いて、文章を生

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