名雪七湯

なゆきしちゆと申します(男性)。趣味は読書と執筆。ジャンルは純文学と詩です。日々の備忘…

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なゆきしちゆと申します(男性)。趣味は読書と執筆。ジャンルは純文学と詩です。日々の備忘録と本紹介、掌編小説を主に投稿しております。思ったこと、考えたことをのんびりと好きな言葉で紡いでゆきます。Twitterの方も宜しくお願いします。

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  • 【本紹介】まとめ

    本紹介記事のまとめになります。こつこつと増やしてゆければなと思います。

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【名刺代わりの小説10選】

 こんにちは、名雪七湯です。  今回はTwitterのタグでよく見掛ける【名刺代わりの小説10】  を記事にしてみたいと思います。  名詞代わりと言いつつ、割ところころ変わるのですが暫定ということで 1、『そういう生き物』春見朔子 集英社 2017  千景の家に居候を始めたまゆ子。二人には付き合っていた過去があって…。性と生のありようを詩的な言葉遣いで描き出す現代の純文学。 2、『水曜の朝、午前三時』蓮見圭一 新潮社 2001  四条直美が死の直前に吹き込んだテ

    • 積読が40冊ある男の戯言

       こんにちは、名雪七湯です。  今回は積読というものに関し、自分の思うところをつらつらと書いてみたいと思います。ゆるい記事ですが、最後までお付き合い下れば嬉しいです。  タイトル通り、私は今、部屋に40冊の積読があります。  そもそも積読とは? という方もいらっしゃると思います。  簡単に言えば、積読とは買うだけ買って読んでいない本です。基本的には小説、漫画を指しますが、広くは雑誌、新書、その他書籍も含みます。ちなみに、本だけに限らず、「積む」という文化はプラモデルや

      • 【オススメ小説26】「孤独」を鮮烈に描くミステリ『イノセントデイズ』

         こんにちは、名雪七湯です。  本紹介も26回目にもなる今回は、沈鬱な表紙とキャッチコピーが目を惹く、早見和真さんの傑作ミステリ『イノセントデイズ』を扱います。 1、本情報、作者情報、あらすじ『イノセントデイズ』早見和真 2014 新潮社  著者の早見和真さんは、2008年に、自らの経験を基に書き上げた、野球部の補欠部員の話『ひゃくはち』にて小説家デビュー。同作が漫画化。今作『イノセント・デイズ』で2015年に第68回日本推理作家協会賞を受賞、第28回山本周五郎賞の候補

        • 【オススメ小説25】星新一を知らない人へ送る『ボッコちゃん』

           星新一って誰?  名前は聞いたことがあるけど、読んだことはない。  という人達へ。  こんにちは、名雪七湯です。今回の本紹介では星新一の『ボッコちゃん』を紹介しながら、星新一という人物についても触れてゆきたいと思います。  本紹介ではあまりにも誰でも知っているような本(『そして誰もいなくなった』や『君の膵臓を食べたい』など)は避けており、星新一の著作もその一つと考えていたのですが、友人との会話の流れで星新一の名前を出すと、 「誰?」  と言われ、周りの人にも聞く

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        【名刺代わりの小説10選】

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        • 【本紹介】まとめ
          29本

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          【掌編小説】ABダンス

          「初めまして」  Aは言う。 「初めまして」  Bは返す。 「踊らないんですか?」  Aは訊く。 「ちょっと酔っちゃって」  Bは答える。 「こういうところ慣れてないんですか?」  Aは慮る。 「はい、……お恥ずかしながら、今日が初めてです」  Bは微笑む。 「初めてだとどうしたらいいか分からないですよね。あ、お隣失礼します」  Aは隣に腰掛ける。 「そうなんですよ。いつもより飲んじゃって、でも帰るには早いし」  Bは溜息を吐く。 「よければ、

          【掌編小説】ABダンス

          売り手殺しのミステリィというジャンル

           こんにちは、名雪七湯です。  今回は日記調に、ミステリーという特異なジャンルについて思ったことを書き連ねる、ゆるーい記事になります。  本を紹介するに際し、一番手古摺るミステリーというジャンル。  理由は簡単で、犯人が書けないからです。  ミステリーの中で一番大切な要素である謎解きについて書けない。あらすじは書くことができますが、それも詳しく書きすぎるとネタバレに繋がる。  もちろん、ミステリ作品でも謎解きに加えてテーマやキャラを魅力にしているものも多いです。例え

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          タイトルが好きな小説

           こんにちは、名雪七湯です。  今回は、小説の好きなタイトル集という記事に挑戦してみようと思います。本を買う際に、一つの大きな要素となる、題名。  今回は敢えて、シナリオも全て伏せてタイトルだけ載せたいと思います。  タイトルだけで惹かれた小説とぜひ出会ってみて下さい。  それでは、早速挙げてゆきたいと思います。 『水曜の朝、午前三時』  私の記事で度々、登場する今作。タイトルも含めてお気に入り作品です。水曜の朝、午前三時に一体何が起こるのか、また、起こってしまう

          タイトルが好きな小説

          【オススメ小説24】夢と記憶の淡い混ざり合い『きことわ』朝吹真理子

           こんにちは、名雪七湯です。23回目の本紹介の今記事は第144回芥川賞受賞作『きことわ』を取り挙げたいと思います。 1、本情報、作者情報、あらすじ『きことわ』朝吹真理子 2011 新潮社  某会場にてスピーチを発表し、編集者から小説を書くことを勧められ、2009年に『流跡』にてデビュー、Bunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞。2011年に今作で芥川賞受を賞作、他著作に『TIMELESS』やエッセイ多数。  以下、あらすじになります。  葉山の別荘で同じ時間を過ごした少

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          【オススメ小説23】「小説は、好きですか?」『小説の神様』

           「小説がー、人の心を動かすものか」  「小説には、わたしたちの人生を左右する、大きな力が宿っているわ」  本気で小説と向き合う青春小説  こんにちは、名雪七湯です。23回にもなった本紹介ですが、今回は相沢沙呼さんの著書『小説の神様』を取り挙げたいと思います。 1、本情報、作者情報、あらすじ『小説の神様』相沢沙呼 2016 講談社 『小説の神様 あなたを読む物語 (上)』2018 『小説の神様 あなたを読む物語 (下)』 2018  映画化し、佐藤大樹さんと橋本

          【オススメ小説23】「小説は、好きですか?」『小説の神様』

          【オススメ小説22】胸が熱くなる本物の言葉の力『本日は、お日柄もよく』

           スピーチライターを目指す二ノ宮こと葉  政治家を目指す、幼なじみの厚志  言葉の力を信じるお仕事小説の金字塔  こんにちは、名雪七湯です。今回のオススメ小説は有名作を生み出すことでお馴染み原田マハさんの『本日は、お日柄もよく』を取り挙げます。 1、本情報、作者情報、あらすじ『本日は、お日柄もよく』原田マハ 徳間書店 2010  名作を並べると枚挙に暇がない原田マハさん。キュレーター(美術館などで資料を研究する人)の素養を活用し、芸術系の小説が多い彼女。2005年に

          【オススメ小説22】胸が熱くなる本物の言葉の力『本日は、お日柄もよく』

          【オススメ小説21】心の深淵をえぐる本物の小説『雪の鉄樹』遠田潤子

           贖罪とは何か?  本当に誰かの人生を背負うとはどういうことなのか?  こんにちは、名雪七湯です。21回目になる本紹介は、遠田潤子さんの代表作『雪の鉄樹』を取り挙げたいと思います。 1、本情報、作者情報、あらすじ『雪の鉄樹』遠田潤子 光文社 2014  重厚な知識と深みのある設定が持ち味の遠田潤子さん。一冊読むと、連続テレビドラマを見終えたような満足感に浸り、また彼女の本に手を伸ばしてしまう中毒性。2009年に『月桃夜』で第21回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビ

          【オススメ小説21】心の深淵をえぐる本物の小説『雪の鉄樹』遠田潤子

          電子書籍を出してみた話

           イラストは87(hana)さん( https://twitter.com/rakuenja71 )より。  こんにちは、名雪七湯です。タイトル通り、電子書籍の販売を開始しましたので、その宣伝と販売に至るまでのあれこれを書いてみたいと思います。  電子書籍はboothより出品しており、あらすじは以下の通りです。 小学生の息子を持つ抄子は朝、目を覚ますとガラスを口から吐きだしていた。夫の稼ぎも良く、世間的には順風満帆な生活を送る抄子。けれど、本心では変わらない日々に退屈と

          電子書籍を出してみた話

          【オススメ小説20】多重人格内の人格同士、不思議な関係『海のカナリア』

          「まぁ覚悟していてください。わたしはいつか、世界を破壊してみせます」  はちゃめちゃ少女の城ケ崎と彼女に連れ回される僕  いつまでも続かない関係。なぜなら彼女は世界を破壊するから  こんにちは、名雪七湯です。何とか20回まで続いたオススメ本紹介ですが、今回は入間人間さんの著書『海のカナリア』を取り挙げます。 1、本情報、あらすじ『海のカナリア』入間人間著 2019 KADOKAWA  入間人間さん、2007年に電撃文庫賞にメンヘラ×サイコパスミステリコメディの問題作

          【オススメ小説20】多重人格内の人格同士、不思議な関係『海のカナリア』

          【オススメ小説19】小説を書きたいあなたへ贈る『砂上』桜木紫乃

          「小説を書きたいのなら、書けばいいんじゃないかと思うんですよね(P10)」  こんにちは、名雪七湯です。19回目まで続いたオススメ小説紹介ですが、今回は桜木紫乃さんの著書『砂上』を扱いたいと思います。 1、本情報、作者情報、あらすじ『砂上』桜木紫乃 角川書店 2017  桜木紫乃さん。2007年に『氷平線』にてデビュー、『ホテルローヤル』(2013)が第149回直木賞を受賞し、2020年に波留さん主演で映画化。金澤 伊代の名義でも活動しており、『家族じまい』など著書多数

          【オススメ小説19】小説を書きたいあなたへ贈る『砂上』桜木紫乃

          【オススメ小説18】しようぜ、復讐『絶望センチメンタル』<絶版>

           最初に言及しておきますが、今作は絶版しています。  中古、及び電子書籍でも大丈夫という方だけ閲覧下さい。  こんにちは、名雪七湯です。18回目の本紹介は「名刺代わりの小説10選」でも触れた『絶望センチメンタル』を取り挙げます。  絶版している本の紹介記事を書くか悩みましたが、電子書籍という選択肢が増えた昨今、様々な形で作品が受け継がれてゆくべきだと考え、執筆に至りました。絶版したからと言って世界から作品が消えた訳ではありません。今記事が一度世に出た作品の痕跡の一つにな

          【オススメ小説18】しようぜ、復讐『絶望センチメンタル』<絶版>

          【オススメ小説17】世界最高峰のSF短編集『息吹』テッド・チャン著

           自由、命、時間……etc、哲学と知性の最高水準SF  こんにちは、名雪七湯です。  オススメ本も17回になった今記事は、今世界中から注目されているSF作家、テッド・チャンによる『息吹』を紹介したいと思います。 1、本情報 『息吹』テッド・チャン著 大森望訳 早川書房 2019  「メッセージ」に改題された『あなたの人生の物語』(1999年ネビュラ賞中編小説部門受賞、シオドア・スタージョン記念賞)が映画化され、世界中に名を知らしめた、アメリカのSF作家、テッド・チャン

          【オススメ小説17】世界最高峰のSF短編集『息吹』テッド・チャン著