【オススメ小説18】しようぜ、復讐『絶望センチメンタル』<絶版>
最初に言及しておきますが、今作は絶版しています。
中古、及び電子書籍でも大丈夫という方だけ閲覧下さい。
こんにちは、名雪七湯です。18回目の本紹介は「名刺代わりの小説10選」でも触れた『絶望センチメンタル』を取り挙げます。
絶版している本の紹介記事を書くか悩みましたが、電子書籍という選択肢が増えた昨今、様々な形で作品が受け継がれてゆくべきだと考え、執筆に至りました。絶版したからと言って世界から作品が消えた訳ではありません。今記事が一度世に出た作品の痕跡の一つになれば幸いです。
1、本情報、作者情報、あらすじ
『絶望センチメンタル』朽葉屋周太郎 2011角川グループパブリッシング
はじめは大きなゴミかと思ったが、よく見るとそれは落下物ではなく落下人物であり、正確に言えば女子高生だった。(P5)
女子高生が空から降って来るところから始まる今作。
「親方、空から女子高生が」という声が聞こえてきますが……。
作者である朽葉屋周太郎(くちばやしゅうたろう)さんは、魔王と借金取りのはちゃめちゃを描いた『おちゃらけ王』にて第17回電撃小説大賞メディアワークス文庫賞を受賞し、デビュー。以降、コメディとメランコリックが合わさった作風で独特の読後感を齎す作品を描く。
以下、あらすじになります。
公園のベンチに座っていた少年の前に女子高生が落ちてくる。彼女に手を貸してしまったことから、女子高生に付き纏われ始める少年。少年はその日自分をいじめているやつらへの復讐を計画していた。彼女も復讐に参戦すると言い出し……。不可思議な関係の二人が生み出す、薄暗い一日。
2、しようぜ、復讐と自殺
少年は自殺を計画しています。
どうせ今日自殺するのだから、やりたかったことを全て施策する。
誰でも考えたことがあるかもしれない発想を彼はその日実行に移します。やりたいことリストを手に街を散策する少年と嬉々として着いて回る女子高生。意図しない女子高生との出会いが波乱万丈な一日を生み出します。
作品の魅力は女子高生のキャラにもあります。
女子高生は「面白そうなものに乱入する」ことを生き甲斐にしています。面白そう、ただそれだけを判断基準に置きます。好奇心に満ち溢れ常ににやにやしている女子高生と、大人びていて冷徹な少年の掛け合いが癖になります。そして、その二人が行き着く先とは……。
3、最後に
決して明るい作品ではありませんが、二人の掛け合いと暗いながらもコメディとバランスの取れた作風が癖になります。
文章も読みやすいので隙間時間に楽しめる一冊となっています。
最後までお付き合いありがとうございました。
またお会いしましょう。
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