Nature3D

卓上押出機で3Dプリンターのオリジナルフィラメント開発をやっています。https://…

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卓上押出機で3Dプリンターのオリジナルフィラメント開発をやっています。https://nature3d.net/ https://nature3d.thebase.in/

最近の記事

PLA造形品を「生分解」と説明するのはそろそろやめた方がいいかもという話

PLA樹脂を使ったBB弾に対し、十分な根拠もなく「生分解」などと表示販売したことが景品表示法違反にあたるとして、消費者庁が措置命令を発出し、課徴金の支払いを命じるという事案が起きました。 今回問題となったのは、「バイオ」、「生分解素材を使用」、「土の中や水中の微生物によって、地表落下後に水と二酸化炭素に分解される」などの表記です。あたかも、使用後に地表に残されたままでも土壌中や水中の微生物によって水と二酸化炭素に分解されるかのように表示されていたことが、事実とは異なると認定

    • ふじのくにセルロース国際展示会に招待いただきました!

      6月末、一通のメールが届きました。静岡県庁からです。 「10/2-3に富士市で「ふじのくにセルロース循環経済展示会」を開催致します。そちらへの出展をご検討いただきたく、連絡させていただきました。」 ?!当方は会社ではないんですが…。間違えて送信されたのかな…と思ってメールで聞いてみました。「Nature3Dは法人ではありません。個人ですが問題はないですか?」と返送。早速返事がきました。個人でも全く問題はないとのこと。酢酸セルロースのフィラメントの展示になると思うが問題ない

      • 小さいネットショップが生き残るには

        今年でネットショップを始めて5年になります。初めはうまくいけばラッキーくらいのおまけ程度の感じで始めました。今はおかげさまで安定してご利用いただけるようになってきています。収益はごくわずかですが…。 ネットショップをやるのはそんなに甘くない、という記事を目にすることがあります。自分もはじめはそう考えていました。でも今はスタンス次第なのではないかと思うようになっています。確かに数売って大きく儲けようと思えば大変です。商品ラインナップを拡充して宣伝を打ち、競合を調査して対抗策を

        • テクダイヤ耐摩耗kaikaノズル 使用レポート

          テクダイヤさんの耐摩耗kaikaノズルのレポートです。結論から言えば良好です。これまではルビーノズルを常用していましたが、今は耐摩耗kaikaに切り替えて使用しています。 経緯 実は当初真ちゅうのkaikaノズルがリリースされたときには、あまり興味がありませんでした。私が普段使っているフィラメントはフィラー入りがほとんどで、摩耗性の高いものが多いです。いくら造形がきれいにできても、その造形品質は使用開始時だけで、摩耗によってどんどん劣化していくようであればコスト的に見合わ

        PLA造形品を「生分解」と説明するのはそろそろやめた方がいいかもという話

          生産性が悪いからこその価値について考えてみる

          デジタルファブリーケーションツールを使ったモノづくりは、昔はごく一部の企業内で行われていましたが、今は一般化、大衆化が進み、誰もが簡単に創作活動に取り組むことができるようになってきました。 デジタルモノづくりはこれまで高度な技能が必要だったり、時間がかかっていたりした大変な作業について、装置が大部分を担ってくれます。しかし最初から最後までを装置がやってくれるわけではありません。人間がやらなければならない部分が必ず残ります。例えばモデリングツールによる3Dデータの作成や造形完

          生産性が悪いからこその価値について考えてみる

          3Dプリンタのものづくりに対して「それは意味があるの?」という質問は避けた方がいいと思う理由

          3Dプリンタでのものづくりは失敗の連続です。試行錯誤が基本路線で、ほとんどの失敗の中からわずかに残るものを拾い集めてつくっていくようなやり方が多いと思います。大手製造業のように最初からカチッとした設計をして、そこから道を外れずに作り上げていくようなものづくりとは真逆のスタイルです。周りから見てそのやり方が理解されないことは多いのかもしれません。 一生懸命になっている中で、周りからいろんな声掛けがされることがありますが、自分は3Dプリンタでモノを作っている人に対して「それは意

          3Dプリンタのものづくりに対して「それは意味があるの?」という質問は避けた方がいいと思う理由

          3Dプリンタの大変さの理解度が経験のある人とない人で全然違う理由

          民生用の3Dプリンタが世に出てから10年近くが経ちます。装置が安価になったことでユーザー数は増えてきており、一部の熟練者だけが使うツールではなくなってきました。造形品が日常生活の中で使われる事例も少しずつ見かけるようになっています。しかし3Dプリンタを扱うことの大変さについて、経験のある人とない人では理解のされ方が全然違う、というのは以前からあまり変わっていないように見えます。この理解のされ方のギャップはどこから来るのでしょうか。 理由はいくつかありますが、そのうちの一つに

          3Dプリンタの大変さの理解度が経験のある人とない人で全然違う理由

          個人の製作品販売は、いかに売るかよりも、いかに持続するか

          個人で何かを作って販売するのは案外難しいものです。実際にやってみると持続ができません。販売を始めた時は、どうしても「いかに売るか」ということを考えてしまいがちですが、「いかに持続するか」ということを考えた方が、後から振り返ったときに結果がついてくることが多いように思います。SNSなどで製作品を公開すると、人気が出て一時的に売れることもあります。しかしそれが持続できなければ手を替え品を替え、次々に新しい商品を出さねばならなくなります。焼き畑農業と同じです。その分対価が得られるな

          個人の製作品販売は、いかに売るかよりも、いかに持続するか

          自作プロダクト販売に支援的な環境が整ってきていると考える理由

          3Dプリンタをはじめとするデジファブツールは、自作プロダクトへの強い味方になってくれます。しかし数年前までは3Dプリンタで造形したものを販売するのはいぶかしがられることもありました。だいたいは金型を使った射出成形品と比べて外観が劣るとか、耐久性の面で疑問があるなど、既存の量産品との対比で見られることが多かったように思います。 しかし最近はそういう風潮も少なくなってきました。理由はいくつか考えられます。3Dプリンタの普及が進んで造形品は従来の成形品とは別モノだと正しく理解され

          自作プロダクト販売に支援的な環境が整ってきていると考える理由

          kaikaノズルは造形になぜ有利なのか考えてみる

          kaikaノズルは最近とても人気がでてきています。造形外観がきれいになる、造形トラブルが減るなどメリットがたくさんあります。kaikaノズルは他のノズルと何が違うのでしょうか?どんな理屈があって、なぜkaikaが造形に有利なのかを思考実験的に考えてみたいと思います。あらかじめお断りしておきますが、ここで書いていることはあくまで私見で、裏付けがあるわけではありません。実際の造形で起きることを考える上での参考程度という形にてお願いします。 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 今回はOsswa

          kaikaノズルは造形になぜ有利なのか考えてみる

          SNSと3Dプリンタのお話

          今はSNSでも3Dプリンタの投稿をよく見かけるようになりました。Nature3DがTwitterアカウントを作ったのは2018年です。この時にもすでに3Dプリンタは普及していて、SNSで話題に上ることも多かったですが、年々3Dプリンタに関する話題や投稿は増えているように感じます。 従来は検索がネットで調べ物をするときの入口でしたが、検索は使いにくくなったという声が多く聞かれます。最近は検索で3Dプリンタのことを調べても、オンラインストアの商品や、表面的に書かれた企業のページ

          SNSと3Dプリンタのお話

          個人の製作品の値付けをどう考えるか

          個人の製作品を販売する際、価格をどう決めるかというのはなかなか難しいものです。まず価格帯はその製作品が大量生産の工業製品に近いのか、一点物のクラフト品に近いのかで決め方が違ってきます。大量生産の工業製品に近いのであれば、近い位置づけにある市販品の価格がベンチマークになりますので、市販品との価格競争ということになります。ただ、個人の製作品で工場に近いレベルの大量生産ができる例は、製造委託する場合を除けばあまりないと思います。 やはり個人の製作で入りやすいのは、数十個、数百個単

          個人の製作品の値付けをどう考えるか

          3Dプリンタの使いこなしに終わりはないという話

          3Dプリンタを始めたばかりのときは、ダウンロードしたデータが造形できるだけでマスターできたような気になるものです。しかし何度か造形しているうちに、やがてトラブルに直面することになります。ベッドから剥がれたり、クラックが入ったり、造形外観にわずかな乱れがあったり、詰まりが起きたり、もじゃもじゃになったりなど、トラブルは無数に起きます。 本当の努力が始まるのはそれからです。ネットで紹介されている方法も、必ずしもそのまま自分の環境で使えるとは限りません。大なり小なりアレンジする必

          3Dプリンタの使いこなしに終わりはないという話

          3Dプリンタは自宅に置いていつでも使えるようにしておきたいと考える理由

          個人でものづくりをやる場合、3Dプリンタは必須のものになってきています。アイデアや構想を形にして確認する場合、まずは3Dプリンタを使おうとなるのは自然な流れです。 ところが、一回でまったく問題ない造形品が得られるのは極めてまれです。実際のところ、ほとんどの場合は仕上がった造形品には何らかの問題があり、何回も作り直しが入ります。問題というのはプリントの失敗もありますが、3Dデータの不具合もあります。組付けてみたけどちょっとここが合わないとか、寸法を間違えたとか、ここをこうする

          3Dプリンタは自宅に置いていつでも使えるようにしておきたいと考える理由

          3Dプリンタ用フィラメントのデータの重要性

          3Dプリンタ用フィラメントは材料のデータがあるものもあれば、ないものもあります。老舗メーカーの場合だとわりとデータをつけてくれていることがあります。たとえばTDS(Technical Data Sheet)とか、SDS(Safety Data Sheet)と呼ばれるものです。これらのデータ以外にも、実験データとか、米国FDA(食品医薬品局)の安全基準をクリアしているとか、紫外線耐久性がどうかとか、細かいところの補足説明や注意書きも、あるものとないものがあります。 フィラメン

          3Dプリンタ用フィラメントのデータの重要性

          3Dプリンタのフィラメントを試作するにはいくらかかる?

          たまにフィラメントを試作してもらえませんか?というご相談をいただきます。この粉があるので、この樹脂と混ぜてフィラメントを作ってほしい、という案件がほとんどです。フィラメント試作にはいくらかかるかと聞かれるのですが、まず粉体と樹脂を混ぜてフィラメントを作るにはどういう工程が必要かを知っておく必要があります。 粉体と樹脂を混ぜてフィラメントを作るというのを、一つの工程でやるのは基本は無理です。この辺はご存じない方が多いかと思います。顔料などを微量添加してフィラメントを作ることは

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          3Dプリンタのフィラメントを試作するにはいくらかかる?