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3Dプリンタの使いこなしに終わりはないという話

3Dプリンタを始めたばかりのときは、ダウンロードしたデータが造形できるだけでマスターできたような気になるものです。しかし何度か造形しているうちに、やがてトラブルに直面することになります。ベッドから剥がれたり、クラックが入ったり、造形外観にわずかな乱れがあったり、詰まりが起きたり、もじゃもじゃになったりなど、トラブルは無数に起きます。

本当の努力が始まるのはそれからです。ネットで紹介されている方法も、必ずしもそのまま自分の環境で使えるとは限りません。大なり小なりアレンジする必要がありますし、自分の環境には合わないこともあります。頼るべき情報がなければ自分独自の方法を編み出していくことが必要になる場合もあります。

思考錯誤を繰り返し、無数にあるやり方を検証し、自分に合わない方法は切り捨てていく。何度も何度も切り捨てた上で、最後まで残った芯の部分にあたるやり方が自分のスタイルになります。

自分のスタイルを築くことに終わりはありません。たとえばAというモデルを造形する場合とBというモデルを造形する場合ではスライサーに盛り込む設定が違います。何のフィラメントを使うかでも違いますし、プリンタによっても違いますし、その日の気温湿度によって振られることもあります。3Dプリンタでは要因の組み合わせは無数にあり、その無数の組み合わせにも対応できるようになる必要があります。この時はこうしようと、過去の経験を引っ張り出してすぐにアイデアが出てくるようでなければ造形はスムーズにはいきません。3Dプリンタの使いこなしの勉強に終わりはなく、免許皆伝のように、これ以上覚えることがないということもありません。

難しいながらも自分のスタイルを確立した人だけが使いこなせるのが3Dプリンタで、だからこそ尊いし、使いこなしている人には賞賛があるのだと思います。SNSで上がっている造形品の画像も、単にきれいだからいいねがつくわけではありません。自分のスタイルを持ちながらも、一つの方法にこだわらずいろんな意見を取り入れる柔軟さを持つこと、これで完成だと思わずに絶えず学び続けることが3Dプリンタでは必要になってくると思います。

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