カナデとウタ3
➖ウタは歌手になりたかった
小学生からの夢だった➖
高校
♪〜
最近、ウタは、学校帰りによくタワレコに寄っている。
視聴コーナーで新曲がきけるのだ。
イヤホンを耳にあてる。
その瞬間、周りの世界が遮断され、私だけの空間ができる。ウタはこの時間が好きだった。
ボリュームを回して調整する。
イントロが流れ始めた。ギターの音。ドラム、ベース、そして、楽器の音の間にきこえる、ボーカルの息継ぎ。
このイヤホンできく音は、どこまでも鮮やかだ。
とウタは思った。特別なイヤホンなのだろうか、タワレコだから?
リズムにのって、体を揺らす。
「あー、やっぱりsanma(サンマ)の新曲かっこいいなー。」
sanmaは、スリーピースのガールズバンドだ。最近のcmでもよく流れている曲。
ウタは、高校で軽音楽部に入った。バンドのボーカルになろうと思ったのだ。
部室の扉を開いた。
「しつれぃしまーす。。」
「新入部員だー!」
「いえーい」と男の先輩たち。
「いらっしゃーい」と女の先輩もいる。
男の先輩の中には、髪を染めている人もいる。みんな、同じ高校生とは思えない。女の先輩も、大人っぽく見えた。
テンションにびっくりしつつも、なんとか入部できた。
軽音楽部ってやんちゃなかんじだけど、大丈夫かな?でも、歌手になるには、一番この部活がいいよね。。ほかに、歌えるとこないし。
ウタはそう自分に言い聞かせた。
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