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そらのうた

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2020年10月の記事一覧

見つめたものは

何も持ち合わせていない頃
僕は無邪気に笑えていた

何気ない日々の
鮮やかさを無意識に嗜んでいた

何かを見つけようと
木々の隙間や流れる雲

あらゆるものに目を見張り
何も見つけられなかったと笑い過ごした

可笑しいかな

移動距離が限られた
あの頃見つめたものは綺麗なものばかり
#空 #日記 #詩 #ポエム #自由詩 #言葉 #距離

うたた寝

うたた寝から目覚めて思い出したのは君の横顔

ある時までは見慣れたその横顔
ある時を最後に見たその横顔

恋や愛を疎ましく思っていた僕に

溶けるような優しさ
壊れることのない強さ

教えたくれたのは君の微笑
教えてくれたのは君の美声

目が覚めたよ、中途半端な時間に
目が覚めても、忘れえぬ君の姿形

ああどうしよう、どうにかしよう

有り余った思いやりや想像力は誰のため?
行き場のないそれらを塞

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痛さが痛みに変わる瞬間

君が世界の代名詞だった頃
僕は痛みを和らげるように君を抱きしめた

過去も心痛も何もかも
忘却のかなたへ押し流せたと信じていた

君が世界の一部に変わった瞬間
僕は痛みを思い出した 激しい痛みだ

過去も心痛も何もかも
徐々に表面化して思い出した

ううん、君のおかげだね
君が誤魔化してくれたんだよね

君がそばにいてくれたから
痛さを痛みに感じなかったんだ

ようやく痛みとして再認識したけれど

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同じ夢を期待して

真夜中
今日も同じ夢を見た

淡色の髪色に
シャープな輪郭

あとは
何だろう

夕焼けに染まって
あと少しで映えるトワイライト ギリギリで

目が覚める

あの人は男だろうか
あの人は女だろうか

あの人はって
誰とも知らないけど

不思議と懐かしい感じがした
今まで出会った誰かの現在?
これから出会う誰かの過去?

夢には不思議な魔力があるように思う

懐かしい感覚は今日もまた
不意に優しく襲

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木枯らし

季節が巡る
ありきたりな書き出しから綴るね

当然のように地面に降り積もる
落ち葉を見ることが堪え難いなって

約束されたように散って
木枯らしに攫われるんだね

ああ、いつから心変わりしたの
嘘をつくとき唇に触れるそのしぐさ

だから怖いんだ
秋という季節は

実りを終えたら
手を振ってバイバイ
頭を振ってバイバイ

たゆたう心の動き
不変を嫌うのはケースバイケース

変化には犠牲がつきもの

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星屑

星屑

星を想う

あの星は一体
誰の生まれ変わり

非科学的で笑ってしまう
誰でもない ただそこに居るだけ
それが最もらしいはずでしょう

例えば夢破れたとき
例えば失恋したとき

その思いは
空に還るのだろうか

それとも
土に還るのだろうか

どこに行き着くまでもなく
見えないそれを抱える人

それこそ星の数ほどいるでしょう

君の抱えた想いは
君が抱きしめた想いは

過去にならない今でさえ
君を君

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