『ビジョン』とは何か。
ビジョン、ミッション、パーパス、バリュー、そしてカルチャー。
最近はやりの経営用語は、カタカナ語が多くて、違いが分かりにくい!
でもじつは、語源を<切り口>にして考えると、イメージがわかりやすいのです。
こちらの記事では、<パーパス>と<ミッション>の違いについて解説しました。
この問いに対して、パーパスは<自分視点>、ミッションは<神視点>で捉えるのが大きな違いです。
今回は<ビジョン>について、翻訳語では伝わりにくい英語の語感を含めて解説します。
『ビジョン』とは何か
英語の vision は、ラテン語で 「見る」という意味をもつ videō が語源です。
英語にはどちらの意味もありますが、会社の経営理念では後者でつかわれます。
その会社の人たちの目線の先に、「どんな未来がみえているのか」という事です。
経営者の視線の先に、どんな世界が見えているのか。
はっきりと目の前に見えるように、<あるべき姿>を思い描くのです。
たとえば英語の辞書で vision を調べてみると、こんな説明が出てきます。
どちらも「未来について思い描くこと」と書いてありますね。
いまはまだ実現していない、未来の姿とは何か。
その<将来像>を示す。
それが<ビジョン>です。
まだ見ぬ未来の姿を思い描くためには、何が必要なのでしょうか。
『みえないものを見る』ということ
山本夏彦さんのエッセイの1つに、こんなタイトルのものがありました。
この「ないものに注目する」という考え方は、昔から何度も語られています。
例① 米自動車メーカー・フォードの創始者ヘンリー・フォードさんの場合 ↓
ここで彼は「馬じゃなくていい。『もっと速く移動する手段』が必要なのだ」と見抜き、「自動車」の大量生産・大量供給を実現しました。
例②『ガリバー旅行記』のスウィフトさんの場合 ↓
例③『星の王子さま』のサン=テグジュペリさんの場合 ↓
これは内藤濯さんの訳がうつくしいですよね ↓
例④『老子(老子道徳経)』の場合↓
英訳版 ↓
みえないものを見る。ないものに注目する。
このように、「いまはまだ、目の前にないもの」に注目し、心の目で青写真を思い描いてみせること。それこそが<ビジョン>の本質なのです。
いかがでしょうか。
ちょっとわかりにくいカタカナ英語も、語源で紐解くと意外と「ああ、なるほど!そういう事だったのか!」と思えるようになります。
今回の記事が、すこしでも皆さんのお役に立てば幸いです。
長文をお読みくださってありがとうございました。
今日もどうぞ素敵な1日を!
心より感謝を込めて
◆参考情報
11月29日付けの日経朝刊「きょうのことば」では、米ボストン・コンサルティング・グループによる独自の<定義>も紹介されていました。
ざっくりまとめると、こんな感じのようです。
<ビジョン>以外の項目が、なぜこのような解釈になるのかが気になる方は、ぜひこちらもご高覧ください(↓)
<パーパス><ミッション>の解説はコチラ(↓)
<カルチャー>の解説はコチラ(↓)
残る<バリュー>についても、いずれまたご紹介する予定ですので、お楽しみに!
◆参考図書
今回、気になったのでこちらを購入(↓)(まだ届いていません)
わたしの手元にあるのは、別の方の翻訳だったのですが、Katherine Woodsさんのものも手に置いておきたくなりました。これ、本当はフランス語で読めれば最高なんでしょうね!
こちらは、絶版なのが信じられないくらいの良本(↓)
こちらは、聖書があらゆる言語、翻訳で読める超・スグレモノ(↓)
英語で読む場合、 King James Version(KJV)がお勧めです。
そしてこちらは、『バートレットの常用引用句集』。
わたしが一番愛用しているのは[16版]です(↓)
この記事を書いた当時の最新版[18版]はこちら。
漢文の翻訳なども微妙に変わっています。
また、2022年10月には『バートレット常用引用句集[19版]』が出ました!
日本からは村上春樹さんやこんまりさんこと近藤麻理恵さんの言葉も新たに掲載。4千年以上前から現代まで2万以上の名句が年代順に並んだ読み応えある「ヒトの記録のダイジェスト」となっております。
これぞまさに、<日本にないもの>。
ぜひ手に取ってお楽しみください。
《チョットついでに》
バートレットの常用引用句の歴史は意外と古く、夏目漱石が1896年発行のものを使っていたようです。
東北大学の漱石文庫、いつか見に行かなくては。
◆最終更新
2023年3月5日(日) 10:30 AM
※記事は、ときどき推敲します。一期一会をお楽しみいただければ幸いです。
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