なんたろう/ライター(小説・エッセイ・絵本等)

受け手の想像力だけで、感情を揺さぶることができる活字の世界が好き。 小説、絵本、エッ…

なんたろう/ライター(小説・エッセイ・絵本等)

受け手の想像力だけで、感情を揺さぶることができる活字の世界が好き。 小説、絵本、エッセイを、自分だけの活字の組み合わせで表現しています。

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記事一覧

なんたろうの本だな~読みたい本を見つけよう!!~

世界には、一生では読み切れないほど、様々なジャンルの本があふれていますが、そんな数ある作品の中から、お気に入りの1冊に出会うのは、なかなか難しいものです。 その…

歓声と拍手に耐える理由は必要か?

熱い戦いが続くパリ五輪 ルールに詳しくないにわかファンの僕も、なんだかんだで楽しんでいます 先日、女子柔道52キロ級で、ウズベキスタン選手に敗れた阿部詩さん 試合後…

【連載小説】 真実なお隣さん⑥-言葉-

インターホンを押しながら、あらかじめ整理しておいた言葉を、頭の中で思い返す。 お隣さんとは、ふだんから接点があるわけでもないので、相手の警戒心を解くためにも、ま…

きっと役立つ大人な対処法 ~あれ?うっかり言っちゃった編~

紳士(しんし)・・・・・・品格があって礼儀正しい男子 それは、誰しもがあこがれる大人界の頂点。 しかし、あなた自身はどれくらい紳士と言えるだろうか? 紳士と呼ばれ…

【連載小説】 真実なお隣さん⑤-訪問-

4月とはいえ、まだ朝の空気は冷たい。 天気予報では、日中の気温は25℃近くまで上がると言っていたが、それでも朝の空気は、身震いするような冷たさを含んでいる。 だから…

100点は存在しない ~結局、最後に決めるのは自分自身~

100点は存在しない  100点は目指すものであって      到達するものじゃない 100点ときいて、皆さんは何を思い浮かべるだろうか? 私が真っ先に浮かんだのは、学校…

きっと役立つ大人な対処法 ~あれ?この人誰だっけ編~

紳士(しんし)・・・・・・品格があって礼儀正しい男子 それは、誰しもがあこがれる大人界の頂点。 しかし、あなた自身はどれくらい紳士と言えるだろうか? 紳士と呼ばれ…

『1ミリの後悔もない、はずがない』 一木けい 著

簡単なあらすじ何不自由なく、幸福に暮らしている由井。 しかし、ふとした瞬間にフラッシュバックしたのは、あのころの恋。 できたての喉仏が美しい桐原と過ごした時間は…

【連載小説】 真実なお隣さん④-不安-

子どもたちの行列が行き過ぎるころを見計らい、史江も重い腰を上げる。 今日は朝からミーティングが入っているので、いつもより早めに出社しなければならない。 先日、入…

【連載小説】 真実なお隣さん③-疑問-

そういえば、ここ1週間ほど、お隣さんの姿を見ていない。 単に、史江がご近所付き合いに無頓着なこともあり、その姿が見えていないだけなのだけだろうか。 いや、そんな…

『幻夏』 太田愛 著

簡単なあらすじ毎日が黄金に輝いていた12歳の夏に出会った、尚と拓という転校生の兄弟。 8月最後の夜、尚は川辺の流木に奇妙な印を残して、忽然と姿を消した。 23年後、…

みんな気になる?6月の運勢! ~伝説の占い師、亘加志覧(あたるかしらん)~

家を出るとき、大事な試験の前、どうしても気になるのが占いである。 しかし、世の中にはたくさんの占いがあふれかえっており、いったいどれを信じればよいのか、そう思っ…

『すいかの匂い』 江國香織 著

簡単なあらすじあの夏の記憶だけ、いつまでもおなじあかるさでそこにある。 つい、今しがたのことみたいにー バニラアイスの木べらの味、ビニールプールのへりの感触、お…

人生で訪れる、4つの”活”のお話 ~みんな避けては通れない!?~

この記事を読んでいるみなさんは、きっとおそらく、誰もが耳にしたことがあるはず。 かの、聖徳太子の弟の友人の従兄弟の隣人が残したという言葉。 "豚活からは何人たり…

『砂の女』 安部公房 著

簡単なあらすじ砂丘へ昆虫採集に出かけた男が、砂穴の底に埋もれてゆく一軒家に閉じ込められる。 考えつく限りの方法で脱出を試みる男。 家を守るために、男を穴の中に引き…

『TUGUMI』 吉本ばなな 著

簡単なあらすじ病弱で生意気な美少女つぐみ。 東京の大学へ進学したまりあは、ある夏、つぐみの誘いもあってふるさとである海辺の小さな町に帰省する。 まだ淡い夜のはじま…

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なんたろうの本だな~読みたい本を見つけよう!!~

世界には、一生では読み切れないほど、様々なジャンルの本があふれていますが、そんな数ある作品の中から、お気に入りの1冊に出会うのは、なかなか難しいものです。 そのため、私たちはどうしても事前に情報を集めたくなるものです。 私自身、当たり前のように情報を集めますが、その際に意識している言葉があります。 それは 「先入観は可能を不可能にする」 です。 私がサラリーマン時代、実体験として次のようなことがありました。 新年度に、他の部署からAさんが異動してくるらしいが、かなり

歓声と拍手に耐える理由は必要か?

熱い戦いが続くパリ五輪 ルールに詳しくないにわかファンの僕も、なんだかんだで楽しんでいます 先日、女子柔道52キロ級で、ウズベキスタン選手に敗れた阿部詩さん 試合後に号泣する姿に、五輪にかける思いの強さを感じました 一方で、勝ったウズベキスタン選手と負けた阿部詩さんに対し、SNSによる場外戦が続いています おそらく、当の選手ふたりは望まぬ場外戦 僕はふと、back numberの『水平線』を思い出しました "透き通るほど淡い夜に あなたの夢がひとつ叶って" "歓声と

【連載小説】 真実なお隣さん⑥-言葉-

インターホンを押しながら、あらかじめ整理しておいた言葉を、頭の中で思い返す。 お隣さんとは、ふだんから接点があるわけでもないので、相手の警戒心を解くためにも、まずは訪問の趣旨を丁寧に話すべきかもしれない。 あとは、もうすぐ総会があること、役員がやることを簡単に。 そう、余計なことは言わなくていい。 仕事がら、人と話す機会が多いため、最新のニュースから芸能人のうわさ、地元の小さな話題まで、幅広く情報を仕入れ、どんな話題でも対応できるように準備している。 そんな努力の甲斐

きっと役立つ大人な対処法 ~あれ?うっかり言っちゃった編~

紳士(しんし)・・・・・・品格があって礼儀正しい男子 それは、誰しもがあこがれる大人界の頂点。 しかし、あなた自身はどれくらい紳士と言えるだろうか? 紳士と呼ばれないことを、ガサツな性格やわがままボディのせいにしてはいないだろうか? そんな方にはぜひ、この『きっと役立つ大人な対処法』シリーズの習得をお勧めしたい。 概要ここ最近のニュースを思い出してほしい。 うっかり発言で辞職に追い込まれた政治家、謝罪会見で炎上した芸能人、軽率な発言でお小遣いを減額されたお父さん。 毎

【連載小説】 真実なお隣さん⑤-訪問-

4月とはいえ、まだ朝の空気は冷たい。 天気予報では、日中の気温は25℃近くまで上がると言っていたが、それでも朝の空気は、身震いするような冷たさを含んでいる。 だから、衣替えには少し早いこの時期は、着ていく服を選ぶのが本当に難しい。 クローゼットの前でさんざん悩んだ挙句、史江は昨日と同じ薄手のシャツを選んだ。 ざっざっとサンダルで草をかき分けながら、玄関を目指す。 史江の前進を妨げるかのように、芽吹いたばかりで勢いのある草たちは、むき出しの足をチクチクと突き刺してくる。 す

100点は存在しない ~結局、最後に決めるのは自分自身~

100点は存在しない  100点は目指すものであって      到達するものじゃない 100点ときいて、皆さんは何を思い浮かべるだろうか? 私が真っ先に浮かんだのは、学校のテストの、いわゆる” 100点満点 ”だ。 このテストのように、満点を100点として減点方式で採点する場合、100点に到達する可能性は十分にある。 それは、日ごろの努力が報われる瞬間であり、自分自身が積み上げてきた知識を証明することができたという、最高の勲章となる。 しかし、いざテストを離れると、世

きっと役立つ大人な対処法 ~あれ?この人誰だっけ編~

紳士(しんし)・・・・・・品格があって礼儀正しい男子 それは、誰しもがあこがれる大人界の頂点。 しかし、あなた自身はどれくらい紳士と言えるだろうか? 紳士と呼ばれないことを、ガサツな性格やわがままボディのせいにしてはいないだろうか? そんな方にはぜひ、この『きっと役立つ大人な対処法』シリーズの習得をお勧めしたい。 概要想像してほしい。 「お久しぶりです!」 街を歩いているとき、後ろから声をかけられる。 振り向くと、そこには一人の紳士が立っているが、誰だか思い出せない。

『1ミリの後悔もない、はずがない』 一木けい 著

簡単なあらすじ何不自由なく、幸福に暮らしている由井。 しかし、ふとした瞬間にフラッシュバックしたのは、あのころの恋。 できたての喉仏が美しい桐原と過ごした時間は、由井にとって生きる実感そのものだった。 逃げ出せない家庭、理不尽な学校、非力な子どもの自分。 誰にも言えない絶望を乗り越えられたのは、あの日々があったから。 桐原、今、あなたはどうしてる? 感想とおススメポイント本作は、由井の人生をたどる連作短編の形式で構成されています。 学生時代、母子家庭という環境の中、

【連載小説】 真実なお隣さん④-不安-

子どもたちの行列が行き過ぎるころを見計らい、史江も重い腰を上げる。 今日は朝からミーティングが入っているので、いつもより早めに出社しなければならない。 先日、入社2年目の若い社員が、契約の手続きを間違えてしまい、大口の顧客を取り逃がしてしまった。 そのせいか、このところ部長の虫の居所が悪く、ささいなことで周りに当たり散らしている。 うっかりミーティングに遅刻でもしようものなら、史江も被害を被りかねない。 そろそろ準備しないと、誰にともなく、ひとりそう呟く。 しかし、頭の

【連載小説】 真実なお隣さん③-疑問-

そういえば、ここ1週間ほど、お隣さんの姿を見ていない。 単に、史江がご近所付き合いに無頓着なこともあり、その姿が見えていないだけなのだけだろうか。 いや、そんなはずはない。 アイマスクでもしてない限り、玄関を開ければイヤでも目に入り、明りが灯ればきっと気づくはずだ。 それに、昨年の夏の台風の時は、あの家が飛ばされないか、ひやひやしながら一晩中覗いていたではないか。 けっきょく、台風自体が大きく逸れたため、瓦一枚飛んでくることはなかったが、寝不足のせいで翌朝の会議に遅刻した。

『幻夏』 太田愛 著

簡単なあらすじ毎日が黄金に輝いていた12歳の夏に出会った、尚と拓という転校生の兄弟。 8月最後の夜、尚は川辺の流木に奇妙な印を残して、忽然と姿を消した。 23年後、刑事となった相馬は、少女失踪事件の現場で同じ印を発見する。 「俺の父親、ヒトゴロシなんだ」 相馬の胸に蘇る親友の言葉。 あの夏、本当は何が起こっていたのか? 今、何が起ころうとしているのか? 人が犯した罪は、正しく裁かれ、正しく償われるのか? 感想とおススメポイント本作の主人公である相馬は、刑事事件を捜査

みんな気になる?6月の運勢! ~伝説の占い師、亘加志覧(あたるかしらん)~

家を出るとき、大事な試験の前、どうしても気になるのが占いである。 しかし、世の中にはたくさんの占いがあふれかえっており、いったいどれを信じればよいのか、そう思ったことはないだろうか。 今回、伝説の占い師である、亘加志覧(あたるかしらん)氏から、6月の運勢が届いた。 説明するまでもないが、亘氏は平安時代から続く占い一家の15代目であり、 その能力は、先代の亘賀茂音(あたるかもね)氏を凌ぐとも言われている。 おひつじ座♈ 右脚のヒザが今にも笑いそう。 今すぐモミアゲにオロナ

『すいかの匂い』 江國香織 著

簡単なあらすじあの夏の記憶だけ、いつまでもおなじあかるさでそこにある。 つい、今しがたのことみたいにー バニラアイスの木べらの味、ビニールプールのへりの感触、おはじきのたてる音、そしてすいかの匂い。 無防備に出会ってしまい、心に織り込まれてしまった事ども。 おかげで困惑と痛みと自分の邪気を知り、私ひとりで、これは秘密、と思い決めた。 11人の少女の、かけがえのない夏の記憶の物語。 感想とおススメポイント本作品は11の短編集ですが、それぞれ、11人の女性が幼いころに体験し

人生で訪れる、4つの”活”のお話 ~みんな避けては通れない!?~

この記事を読んでいるみなさんは、きっとおそらく、誰もが耳にしたことがあるはず。 かの、聖徳太子の弟の友人の従兄弟の隣人が残したという言葉。 "豚活からは何人たりとも逃れられぬ" 忘れているふりをしている方、現実から目を背けたいのは皆も同じだ。 しかしこれは、長い人生において、避けては通れない運命なのである。 だから、心を鬼にして、もう一度、中学校の歴史の教科書を引っ張り出し、235ページの右下の絵を見てほしい。 そこに、きっとおそらく、たぶん豚活に関する記載があるは

『砂の女』 安部公房 著

簡単なあらすじ砂丘へ昆虫採集に出かけた男が、砂穴の底に埋もれてゆく一軒家に閉じ込められる。 考えつく限りの方法で脱出を試みる男。 家を守るために、男を穴の中に引き留めておこうとする女。 そして、穴の上から男の逃亡を妨害し、二人の生活を眺める人々。 渇きと絶望の中で、男の人間らしさが失われてゆく…… 感想とおススメポイント主人公は、休暇を利用して趣味の昆虫採集に砂丘を訪れた男。 たどり着いた集落は、行けども行けども砂だらけ。 集落の老人に勧められた宿泊先は砂に埋もれてゆき、男

『TUGUMI』 吉本ばなな 著

簡単なあらすじ病弱で生意気な美少女つぐみ。 東京の大学へ進学したまりあは、ある夏、つぐみの誘いもあってふるさとである海辺の小さな町に帰省する。 まだ淡い夜のはじまりに、つぐみとまりあは、ふるさとの最後のひと夏をともにする少年に出会った。 少女から大人へと移りゆく季節の、二度と帰らない一瞬を描いた、切なく透明な物語。 感想とおススメポイント本作のタイトルにもなっているつぐみは、生まれたときから体が弱くて、医者も家族も短命を覚悟しました。 そして、家族や周りが彼女をちやほやと甘