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本のご紹介

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これまでに読んだ本を、個人的な感想を交えて紹介しています。 あなたの気になる作品が見つかりますように。。。
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記事一覧

『1ミリの後悔もない、はずがない』 一木けい 著

簡単なあらすじ何不自由なく、幸福に暮らしている由井。 しかし、ふとした瞬間にフラッシュバックしたのは、あのころの恋。 できたての喉仏が美しい桐原と過ごした時間は、由井にとって生きる実感そのものだった。 逃げ出せない家庭、理不尽な学校、非力な子どもの自分。 誰にも言えない絶望を乗り越えられたのは、あの日々があったから。 桐原、今、あなたはどうしてる? 感想とおススメポイント本作は、由井の人生をたどる連作短編の形式で構成されています。 学生時代、母子家庭という環境の中、

『幻夏』 太田愛 著

簡単なあらすじ毎日が黄金に輝いていた12歳の夏に出会った、尚と拓という転校生の兄弟。 8月最後の夜、尚は川辺の流木に奇妙な印を残して、忽然と姿を消した。 23年後、刑事となった相馬は、少女失踪事件の現場で同じ印を発見する。 「俺の父親、ヒトゴロシなんだ」 相馬の胸に蘇る親友の言葉。 あの夏、本当は何が起こっていたのか? 今、何が起ころうとしているのか? 人が犯した罪は、正しく裁かれ、正しく償われるのか? 感想とおススメポイント本作の主人公である相馬は、刑事事件を捜査

『すいかの匂い』 江國香織 著

簡単なあらすじあの夏の記憶だけ、いつまでもおなじあかるさでそこにある。 つい、今しがたのことみたいにー バニラアイスの木べらの味、ビニールプールのへりの感触、おはじきのたてる音、そしてすいかの匂い。 無防備に出会ってしまい、心に織り込まれてしまった事ども。 おかげで困惑と痛みと自分の邪気を知り、私ひとりで、これは秘密、と思い決めた。 11人の少女の、かけがえのない夏の記憶の物語。 感想とおススメポイント本作品は11の短編集ですが、それぞれ、11人の女性が幼いころに体験し

『砂の女』 安部公房 著

簡単なあらすじ砂丘へ昆虫採集に出かけた男が、砂穴の底に埋もれてゆく一軒家に閉じ込められる。 考えつく限りの方法で脱出を試みる男。 家を守るために、男を穴の中に引き留めておこうとする女。 そして、穴の上から男の逃亡を妨害し、二人の生活を眺める人々。 渇きと絶望の中で、男の人間らしさが失われてゆく…… 感想とおススメポイント主人公は、休暇を利用して趣味の昆虫採集に砂丘を訪れた男。 たどり着いた集落は、行けども行けども砂だらけ。 集落の老人に勧められた宿泊先は砂に埋もれてゆき、男

『TUGUMI』 吉本ばなな 著

簡単なあらすじ病弱で生意気な美少女つぐみ。 東京の大学へ進学したまりあは、ある夏、つぐみの誘いもあってふるさとである海辺の小さな町に帰省する。 まだ淡い夜のはじまりに、つぐみとまりあは、ふるさとの最後のひと夏をともにする少年に出会った。 少女から大人へと移りゆく季節の、二度と帰らない一瞬を描いた、切なく透明な物語。 感想とおススメポイント本作のタイトルにもなっているつぐみは、生まれたときから体が弱くて、医者も家族も短命を覚悟しました。 そして、家族や周りが彼女をちやほやと甘

『百花』 川村元気 著

簡単なあらすじ「あなたは誰?」 徐々に息子の泉を忘れていく母と、母との思い出を蘇らせていく泉。 ずっとふたりで生きてきた親子には、決して忘れることのできない”事件”があった。 そう、かつて ”母を一度失った” ことを。 記憶が消えゆく中で、泉はずっとしまい込んできた過去に手を伸ばす…… 過去から去り行く母と息子の、愛と記憶の物語。 感想とおススメポイント主人公の泉はずっと、母の百合子とふたりで生きてきました。 やがて、泉は結婚し家を出ることを決めますが、百合子の記憶が次第に

『雪屋のロッスさん』 いしいしんじ 著

簡単なあらすじ雪屋のロッスさんは、トラクターに似た造雪機に乗って、ほうぼうの街をまわります。 大晦日、誕生日、スキー大会、クリスマス。 ロッスさんの雪は、結晶のかたちに工夫がこさられ、通常の三倍長持ち。 さて、ある冬の夜のこと……      表題作『雪屋のロッスさん』より 個人タクシーのヤンリ・ヘムレンさん。 独自の乗車サービスがあるので、「なぞタクシー」と呼ばれています… 調律師のるみ子さん。 依頼されたピアノのチューニングを、いつも一音わずかに外しておきます… 巡査

『さいはての家』 彩瀬まる 著

簡単なあらすじ郊外に建つ古い借家。 植物が鬱蒼と生い茂るこの家には、人生に行き詰まり、逃げてきた人ばかりが住み着く。   年上の常連客との不倫の果て、駆け落ちした飲み屋のママ   引き返せない罪を犯し、兄貴分から逃亡しているチンピラ   信者の死体を遺棄した罪で、公安に追われる新興宗教の教祖   親が決めた縁談とストーカー彼氏から逃れるため、身を隠す姉妹   妻との関係に悩み、単身赴任を選んだサラリーマン 安息を手に入れたはずの住人たちはやがて、奥底に沈む自分の心の澱を覗

『白夜行』 東野圭吾 著

簡単なあらすじ1973年、大阪の廃墟ビルで一人の質屋が殺された。 普段から、子どもたちの遊び場となっていた現場の廃墟ビル。 顔見知りの犯行と踏んだ刑事の笹垣は、解決は秒読みだと思っていた。 しかし、容疑者は次々に浮かぶが、けっきょく事件は迷宮入りする。 「被害者」の息子、桐原亮司と、「容疑者」の娘、西本雪穂。 あまりにも暗い目をした少年と、並外れて美しい少女。 二人はその後、全く別々の道を歩んでいく。 それから数年後、別の事件を追う笹垣の耳に、聞き覚えのある二人の名前が聴

『くちぬい』 坂東眞砂子 著

簡単なあらすじ夫の定年退職を機に、東京から高知の白縫集落に移り住んだ夫婦。 美術教師だった夫の竣亮は趣味の陶芸に没頭したい、妻の麻由子は放射能汚染の不安のある東京から逃れたいと思っていた。 老人ばかりの村で、若く見られた二人は歓迎されるが、「くちぬいさま」と呼ばれる神を祀る神社に続く道の上に、竣亮が陶芸の窯を作ったことから、村人たちとの関係に亀裂が生じ、陰湿な苛めが始まる…… 山村に根付く因習に酔いしれた、「普通の人」の業を描き出した作品 感想とおススメポイント本作の舞

『ナラタージュ』 島本理生 著

簡単なあらすじかつて演劇部にいた泉 大学2年の春、母校の演劇部顧問で、想いを寄せていた葉山先生から電話がかかってきた。 泉は、ときめきとともに、卒業前のある出来事を思い出す。 後輩の舞台の客演を頼まれた泉は、先生への想いを再認識する。 そして、彼の中にも消せない炎が紛れもなくあることを知った。 あの日、葉山から告げられた事実。 言葉にできずにしまいこんだ想い。 他者を、そして自分を赦すことの答えを探すために苦悩する、不器用で純粋な恋愛小説 感想とおススメポイント気づ

『今日、誰のために生きる?』 ひすいこたろう著

簡単なあらすじアフリカのペンキアート「ティンガティンガ」を学ぶべく、タンザニアのブンジュ村を訪れた、SHOGEN(ショーゲン)さん。 ある日、近所のザイちゃんという3歳の女の子が、お父さんに言いました。「流れ星を捕まえに行きたい」 すると、その村の男たちは全員で流れ星を探しに。 毎日毎日探し続ける大人たちに、ショーゲンさんは、 「流れ星なんて捕まえられるわけがない」 すると…… 大人たちはこう言いました。 「お前は、流れ星を捕まえに行ったことがあるからそう言っているのか?

『自分なくしの旅』 みうらじゅん著

簡単なあらすじ美大を目指し、京都から上京した浪人生の乾純(いぬいじゅん) 美術予備校へと通う純の前に、”東てる美”に似た美奈が現れた。 即、恋に落ちた純は、童貞を捨て覚えたてのセックスにのめり込んでいく。 だが、受験を前にして、親の愛情は重くのしかかり、友人たちとの距離は広がり、すべてが混乱のるつぼと化していく……。 自分を見失った果てには一体、何があるのか!? 感想とおススメポイント著者のみうらじゅん氏が、自らの青春時代を赤裸々に描き上げた、自伝的小説です。 美大を